前回の記事では、Nutanix Community Eddition(以降はCE)のデプロイとクラスタ作成手順を紹介させていただきました。
本記事ではNutanix CEクラスターの設定をPrismから行っていきます。
Prismの基本的な設定手順として参考にして頂ければと思っています。
本章での検証範囲
本記事では、前回の記事で紹介した6ステップのうち、ステップ3の「Prism 基本設定」について記載します。
- Nutanix CE インストーラー入手
- Nutanix CE デプロイ&クラスター作成
- Prism 基本設定
- Async DR 方法
- Nutanix Move 移行方法
- Flow 利用方法
「Prism 基本設定」として設定する項目は、本記事では下記の通りとなります。
- クラスター名、クラスターIP設定
- コンテナー設定
- Virtual Switch設定
- 仮想ネットワーク設定
- SMTP設定
- SNMP設定
- HTTP Proxy設定
- 仮想マシン設定
Prism 基本設定
クラスター名、クラスターIP設定
ログイン画面から左上部の[Unnamed]をクリックします。
クラスター名、クラスターIPをそれぞれ入力し[Save]を押下します。
左上部から設定したクラスター名が反映されていることを確認します。
クラスターIPが付与されていることを確認するため、新たにブラウザを開き、設定したクラスターIPでアクセスします。
※ 下図のように表示される場合は[thisisunsafe]と入力し、次に進めます。
ユーザー名、パスワードを入力し[Enter]を押下します。
以上の手順により、設定したクラスターIPにアクセスしてログインが実施できる事と、Prismホーム画面が表示されてることが確認出来ました。
コンテナー設定
上部タブから[Storage]を選択します。
[Table]-[+ Storage Container]を選択します。
Create Storage Containerから作成するコンテナの[Name]と[Storage Pool]を入力します。
- Name: ストレージコンテナの名前を入力します
- Storage Pool: ドロップダウンリストからストレージプールを選択します。
その他パラメーターを設定するには[Advanced Settings]を選択します。
画面に表示されているフィールドで設定可能な項目は以下になります。
それぞれ必要な設定をし、[Save]を押下します。
- Replication Factor :
- クラスタ内で維持されるデータ コピー数を表示します
- Reserved Capacity :
- このストレージコンテナに対して確保するストレージ容量を設定できます
- 容量はGiB単位で入力します
- Advertised Capacity :
- このストレージコンテナが利用可能とする最大容量を設定できます
- 容量はGiB単位で入力します
- Compression :
- 書き込みと圧縮との間の遅延時間を設定することができます
- デフォルトは0に設定されており、即時圧縮となります
- Deduplication :
- CACHEチェックボックスを有効にすると、パフォーマンスを最適化するため読み込みキャッシュのインライン重複排除を設定することができます
- Erasure Coding :
- このチェックボックスを有効にすると、イレイジャーコーディングが有効になり、クラスタの実効容量または使用可能な容量を増やすことができます。
- Filesystem Whitelists :
- ホワイトリストを 使って、適切なトラフィックを許可し、他の発信元からの不正アクセスを拒否することができます
- コンマ区切りのIPアドレスとネットマスク値を入力します( ip_address/ netmask形式)
詳細はこちらをご覧ください。
コンテナが作成されていることを確認します。
コンテナー作成の手順は以上となります。
Virtual Switch設定
上部タブから[Settings]を選択します
左ペインから[Network Configuration]-[Virtual Switch]の順に押下します。
[+ Create VS]を押下し、仮想スイッチを作成します。
Generalでは下記の項目を入力し[Next]を押下します。
- Virtual Switch Name :
- 仮想スイッチの名前を入力します
- Description :
- 仮想スイッチに関する説明文を入力します
- Physical NIC MTU :
- MTUは1280から9216の範囲で入力します
- Select Configuration Method :
- Standard (Recommended):
- 設定を適用する前に、ホストをメンテナンスモードにして VM をホストから移行することで、ワークロードに中断が発生しないようにします
- Quick:
- ネットワークが遮断される可能性があるため、本番ワークロードを実行していない場合にのみ使用します
- Standard (Recommended):
Uplink configurationでは下記の項目を入力し[Create]を押下します。
- Bond Type :
- 適切なボンドタイプを選択します。
- ボンドタイプの詳細はこちらをご覧ください。
- Select Hosts :
- 仮想スイッチを作成するホストを選択する
- Select Uplink Ports :
- アップリンクポートに対して適用する必要がある条件を選択します
- Connected and Unconnected Uplink Ports :
- 現在は接続されておらず、将来的に接続される可能性があるポートを使用したい場合に選択します
- Only Connected Uplink Ports :
- 接続されているポートのみを使用する場合に選択します
- また、On Switches (with LLDP) ドロップダウンボックスで、LLDP を搭載したスイッチを選択する必要もあります
- Select Uplink Speeds :
- アップリンクポートスピードを選択すると、選択した速度のポートが表示されます
- 速度は、1G、 10G またはその両方 (All Speeds) を選択できます
- ポート表 :
- 「アップリンクポートの選択」セクションで選択した条件を満たすアップリンクポートを持つホストが表に表示されます
- アップリンクに使用するポートを選択します
作成した仮想スイッチが表示されます。
仮想スイッチの作成の手順は以上となります。
仮想ネットワーク設定
vSwitch作成後、[Subnets]-[Create Subnet]の順で押下します。
[Subnet Name]-[vSwitchの選択]-[VLAN ID]を入力し、[Save]を押下します。
作成した仮想ネットワークが表示されます。
仮想ネットワーク設定の手順は以上となります。
SMTP設定
Nutanixでは、SMTP設定をすることでイベントの種類や説明(NICダウン、電源切断など)を設定した宛先に送信できることができます。
残念ながらNutanix CEではSMTP機能の利用が制限されていますが、設定画面の確認までは可能です。
ここでは本番環境での設定を想定して、設定手順と入力値の説明をします。
左ペインからSMTP Serverを選択し、設定項目を確認します。
- Host Name or IP Address :
- SMTP サーバーの IP アドレスか完全修飾ドメイン名を入力します
- Port :
- 使用するポート番号を入力します
- 標準SMTPポートには以下の物があります
- 25 (暗号化されていない)
- 587 (TLS)
- 465 (SSL)
- Security Mode :
- オプションは以下の通りです
- なし (暗号化なし)
- STARTTLS (TLS 暗号化を使用)
- SSL (SSL暗号化を使用)
- オプションは以下の通りです
- User :
- ユーザー名を入力します
- Password :
- ユーザーパスワードを入力します
- From Email Address :
- 送信者アドレスとして表示するEメールアドレスを入力します
- デフォルトでは、警告とクラスタステータス情報が表示され、Eメールは送信者のアドレスとして「cluster@nutanix.com」と表示されます
Nutanix CEの場合、ここで[Save]をクリックすると、画面上部に「Cannot update SMTP server details in Community Edition.」と表示され設定できません。
SNMP設定
組織内にSNMPサーバーを立てて監視している環境では、既存の監視の仕組みに組み込む形でNutanixを管理したい事もあるかと思います。その場合にはSNMP設定を行います。
本検証では、検証環境と同じネットワーク上にSNMPサーバを作成し、トラップを受信します。
左ペインから[SNMP]-[Transports]を選択し、Enableチェックボックスにチェックを入れます。また、トランスポートを追加するため[+ New Transport]を押下します。
以下の項目の入力をし、[Save]を押下します。
- Protocol:
- プルダウンリストから使用するプロトコルを選択します
- オプションは以下のいずれかです
- TCP
- TCP6
- UDP
- UDP6
- Port:
- 使用するポート番号を入力します
- 標準の SNMP ポート番号は 161 です
[User]タブでは必要な場合下記の項目を入力し、[Save]を押下します。
- Username:
- ユーザー名を入力します
- Priv Type:
- プルダウンリストからプライバシー暗号化タイプを選択します
- オプションはAES (Advanced Encryption Standard) となります
- Priv Key:
- このフィールドにプライバシー鍵フレーズ(パスワード)を入力します
- ユーザーが作成されると鍵フレーズは AES で暗号化されます
- Auth Type:
- プルダウンリストから認証ハッシュ機能を選択します
- オプションはSHA (Secure Hash Algorithm) となります
- Auth Key:
- このフィールドに認証鍵フレーズ(パスワード)を入力します
- ユーザーが作成されると鍵フレーズは SHA-1 で暗号化されます
[Traps]タブでは下記の項目を入力し、[Save]を押下します
- Receiver Name:
- 受信者の名前を入力します
- SNMP Version:
- V3 または v2c のいずれかの SNMP バージョンを選択します
- バージョン 1 はサポートされていません
- Username:
- プルダウンリストからユーザーを選択します
- Address:
- SNMP 対象のアドレスを入力し、トラップメッセージなどの発信通知を受信する宛先とユーザーを指定します
- Port:
- 使用するポート番号を入力します
- 標準の SNMP ポート番号は 161 になります
- Engine ID:
- エンジン識別子の値を入力します
- エンジン ID を指定しない場合、レシーバーで使用するためのエンジン ID は自動的に生成されます
- Inform:
- SNMP 通知方法として通知リクエストを使うには、プルダウンリストからTrueを選択します
- SNMP 通知方法としてトラップを使用する場合はFalseを選択します
- Transport Protocol:
- プルダウンリストから使用するプロトコルを選択します
- オプションは以下の通りです
- TCP
- TCP6
- UDP
- UDP6
SNMPの設定完了後、[Traps]タブの[Test all]を押下し、SNMPトラップレシーバに対してテストトラップを送信します。
準備しておいたSNMPサーバにトラップが受信できたことを出来ました。
レシーバー側でトラップの受信が確認することができれば、手順は以上となります。
HTTP Proxy設定
Nuatanix CE では、初期設定時にCVMがインターネットと接続できる必要があります。
Nutani CE を構築する場合は気を付ける必要はないかもしれませんが、本番環境で構築する場合は、セキュリティ上の要件でプロキシサーバーを介してインターネットに接続する必要なケースも考えられます。
プロキシサーバーの設定が必要な場合、HTTP Proxy設定から行います。
※ 本検証環境はプロキシサーバーがありませんが、手順や設定の確認のために一度HTTP Proxy設定を行いました
左ペインから [HTTP Proxy]-[+ New Proxy]を順に選択します。
[Name]-[Address]-[Port]-[Username]-[Password]を入力し、[Save]を押下します。
※最低限、Name、Address、Portの情報が必要となります。
- Name:プロキシサーバー名を入力します
- Address:プロキシサーバーの IP アドレスまたはホスト名を入力します
- Port:使用するポート番号を入力します
- Username:ユーザー名を入力します
- Password:パスワードを入力します
- Protocols: プロキシへのプロトコル(HTTP、HTTPS、またはその両方) のチェックボックスにチェックを入れます
プロキシの設定が表示されます。
プロキシの設定手順は以上となります。
仮想マシン設定
Nutanixでは二つの拠点間でデータを保護するときに非同期的にデータをレプリケーション出来るAsync DRという機能があります。
この機能を利用するためには、Async DR時に移行するための仮想マシンをあらかじめ用意しておきます。
左ペインから[Image Configuration]-[+ Upload Images]を押下します。
[Name]-[Image Type]-[Storage Container]-[Image Source]をそれぞれ入力します。
今回はUpload a fileを選択し、ファイルをアップロードします。
- Name:
- イメージの名前を入力します
- 例ではWindwos Server 2019と入力しています
- Annotation (オプション):
- イメージの説明を入力します
- Image Type (オプション):
- プルダウンリストから、ISOまたは Diskのイメージタイプを選択します
- Storage Container:
- プルダウンリストから使用するストレージコンテナを選択します
- Image Source:
- From URL
- インターネットやWEBサーバーからイメージをインポートします
- URLの形式で指定します
- 例)nfs://[hostname or IP_addr]/path
- 例)http://[hostname or IP_addr]/path
- Upload a file
- 作業端末から直接アップロードします
- From URL
イメージファイルを選択し、[開く]を押下します。
※今回はWindows Server 2019のiSOファイルを選択します。
イメージファイルを確認し、[Save]を押下します。しばらく時間が経つとアップロードタスクが表示されるため、完了まで待機します。
アップロードが完了したら、ホーム画面の上部タブから[VM]を選択します。
[+ Create VM]を押下してCreate VMのダイアログボックスを表示し、仮想マシンを作成する際に必要な各項目に以下のような値を入力します。
- Name:{任意の仮想マシン名}
- Description:(空白)
- Timezone:(UTC + 09:00) Asia/Tokyo
- vCPU(s):1
- Number Of Cores Per vCPU:1
- Memory:4 ※GB単位
- Boot Configuration : UEFIを選択します
UEFIを選択すると以下のように表示されるため、 [OK] を押下します。
使用するイメージを選択するため、DisksからCD-ROMの編集ボタンを押下します。
CD-ROMは以下のように設定し[Upgrade]を押下します。
- Operation :
- Clone from Image Service
- Bus Types :
- IDE
- BIOSでブートする場合
- SATA
- UTFIでブートする場合
- 今回はこちらを選択
- IDE
- Image :
- 作成したイメージコンフィグを選択
仮想マシンのブート用ディスクを作成するため [+ Add New Disk] を押下します。
下記の項目を入力し[Add]を押下しディスクを追加します。
- Type : Disk
- Operation : Allocate on Storage Container
- Bus Types : SATA
- Storage Container : 任意のコンテナーを選択します
- Size(GiB) :ディスクサイズを入力します
[+ Add New NIC]を押下し、仮想ネットワークを追加します。
[Subnet Name]から仮想ネットワークを選択し、[Add]を押下します。
VMをインポートするホストを選択し,[Save]を押下します。
しばらくするとVMが作成されます。
以上が、Async DR時に移行するための仮想マシンの作成手順となります。
最後に
長くなりましたが、Prism 基本設定の手順は以上となります。
Nutanix CEは機能やサポートには制限がありますが、本記事でご紹介したようなNutanixの基本的な設定をすることが出来ます。実際に機能を体験することで理解が深まるのではないでしょうか。
次回は、Nutanixの機能の一つであるAcync DRについて紹介します。
濱本 夢人(日本ビジネスシステムズ株式会社)
クラウドソリューション本部所属。主にHCI製品(Azure Stack HCI、Nutanix、vSAN etc)、仮想基盤、Switchの構築を担当しています。趣味はラーメン、つけ麺巡りです。
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