クラウドPBX導入時の既存キャリアサービス対応について

はじめに

クラウドPBXを導入する際、既存の電話関連サービスを継続利用するのか、そもそも継続利用出来るのか、確認が必要です。

キャリアのサービスはきめが細かく、社内業務でにおいても多く活用されています。クラウドPBXに変更する際に、業務影響を出さずにクラウドシフトするためには、同様のサービスを事前設定する必要がある可能性があります。

本編ではクラウドPBX導入の際、知らずに停止されトラブルになる懸念があるサービスを抜粋して記載してみました。

INS64 とINS1500 

INS64は3チャネルの電話回線です。通話チャネル×2、Bチャネル×1で構成されています。一般的なビジネス用途で利用するのは2つの通話チャネルで、電話番号数は必要なだけ追加できます。

INS1500は23チャネルの電話回線です。通話チャネル22、Bチャネル1で構成されています。番号構成はパイロット番号1と追加番号ので構成できます。追加番号は必要なだけ追加できます。

通話用の回線と電話番号については、クラウドPBX業者によってさまざまな収容方法を準備しています。番号をクラウドにポータリングする方法やVoIPゲートウエイに光回線を接続する方法など、今後の設備運用を見え据えて選択いただけます。

問題はBチャネルで利用するサービスの対応です。

Bチャネルはデータ線とも呼ばれおり、代替サービスはインターネットになります。

最も多く利用されているのが各種決済サービスで、その他はセキュリティ会社への緊急呼び出しサービスです。その移行方法はインターネットの活用となっている場合が多いようです。

Bチャネルをインターネットサービスに切り替える場合、グローバルアドレスの取得や、新たなインターネット機器の準備など、電話番号のクラウド収容より時間が掛かることがあるので注意が必要です。

発信者無料通話サービス

0120や0080などの発信者無料サービスはクラウド移転時は難しいのではと予想しがちですが、納期以外はさほどの心配もないようです。

今回は、0120の場合を例に見ていきます。

お使いの0120の発行元がNTTであれば、クラウドPBXへの移行が可能です。また、NTTで発行番号でなくても、VoIPゲートウエイ収容で今まで通り利用ができます。

0120は仮想番号であり、実請求番号ではありません。そのため、通常の番号利用料に加えて仮想番号利用料の支払いが発生します。また、実請求番号0ABJ番号が付帯することが必須となります。付帯される0ABJ番号に通話料が請求されます。(050や携帯番号は請求番号として利用できません)。

また、クラウドPBXで発信者無料通話サービスを利用する際は、どの場所の0ABJを選択するで通話料金が変わるので、事前に着信場所を確定しておく必要があります。

収容方法は2種類で、番号ポータリングとVoIPゲートウエイがあります。

ポータリングの場合、書類の提出が必要で、納期も長くなるため、早めの準備が必要です。

VoIPゲートウエイで収容できる場合は回線変更などの準備が無くなり、比較的容易に準備が可能です。ただし、コールセンターなど多くの通話チャネルを利用する場合、VoIPゲートウエイの通話可能チャネル数に注意が必要です。通話チャネルを増加させると、機器費用が高価になります。

ボイスワープ

ボイスワープは、電話局で転送を請け負う有料転送サービスです。転送したい場合、あらかじめ電話及びWEBで設定し、設定された電話番号に転送します。

通話は電話局で転送されるため、発信者は転送に気が付くことはありません。そのため、移転などのビジネス上の変更の場合でもチャンスを逃さず受電出来ます。 電話番号表示ににも対応していいます。

キャリアが変更になる場合だけ注意が必要です。キャリアで実施したボイスワープ設定は契約したいキャリアでしか動きません。ポータリングを実施したタイミングでボイスワープは停止します。

クラウドPBXの多くは自動転送に対応しています。設定中のボイスワープは業務状況に合わせて自動転送の設定をあらかじめ設定しておく必要があります。

仮想番号

ひかり電話が普及するにつれて、実態のない仮想番号が多く使われています。

仮想番号とは請求番号でもなく、ダイヤルイン用途などで追加された番号を言います。

これら番号は既存キャリアで利用されている場合はそのまま利用できますが、利用場所変更も名義変更もできない電話番号です。また、親回線への切り替えもできない番号でもあります。業務で利用されている場合は利用状況を確認の上、番号変更を含めて最適な方法を検討する必要があります。

まとめ

お手軽、簡単と唄われることが多いクラウドPBXですが、導入前の準備には注意が必要です。クラウドPBXはレガシーPBXを見本に設計されてはいますが、同じものではないということを理解しておく必要があります。

特にクラウドPBX機能でカバーできない電話番号のやりくりに関しては 導入業者とよく検討し、業務影響が出ない方法を準備しておく必要がります。

又、これら機能をクラウドで使う場合、今までとの使い方が変わる場合もあります。

クラウドPBX管理サイトでの操作方法が変更になったり、今まで目視確認できた設定がコマンド(番号+*)で実行する形になるなど、確認方法が変更になる場合も想定されます。

サービス利用者とよく相談し、これらの問題を事前に理解し業務に影響のない以降を提供する必要があるでしょう。既存サービスの理解と自社サービスへの対応方法を事前に認識することで、心配のないクラウドPBX導入を行えると思います。

執筆担当者プロフィール
高山 智行

高山 智行(日本ビジネスシステムズ株式会社)

入社24年目、パケット音声にまつわる技術をJBSにため込みたいと考えています。 そのため、レガシーPBXからクラウドPBXまた通信端末として電話機やスマホに詳しいです。 WindowsよりLinuxやAsteriskに精通しています。 音声パケット通信のためのネットワーク構成もここに残します。

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