寄せられる要望でよくあるものが、ユニファイドコミュニケーション(以降UCと呼称)とクラウドPBXの比較です。比較がしたいと思われる方々の多くは、比較表による機能の網羅情報で自社における採用の検討を行いたいことが理由となります。
システムの比較は非常に重要な作業ではありますが、同じ通信システムでもUCとクラウドPBXは異なるシステムです。
ここでは、将来的な電話システムの選択においてUCとクラウドPBXの違いを理解し自社で必要なサービスを選択いただくためのポイントをまとめたいと思います。
ユニファイドコミュニケーション
近年電話の入れ替えでUCを検討する企業が多くなりました 。
コロナ過の影響もあり、オフィスでの業務が難しくなった経験を生かしオフィス以外での業務も行えるよう、会議電話・チャット・ファイルシェアなど様々なツールを用いることが増えためです。
UCではデスクトップ・ノートPC・スマートフォンを活用できます。そのためBYODの活用も検討できるため、電話機コストの削減に寄与します。
昨今では外線の発着信についても多少の制限はありますが、0ABJ番号と050はUCでの活用が始まっています。既存番号についても、やはり制限はありますが利用可能です。
このように、UCはとても多くのアドバンテージを有しています。リモートワークの推進やデータの共有やデータ閲覧など、会社とそれぞれの個人距離を近くし業務効率の向上が期待できます。
内線通話機能が使えるため従来のスマートフォンの通信に代えて利用すれば、通信コストの削減にもつながります。将来的な拡張性にもUCは効果的だと考えます。
デメリットとしては、既存レガシーPBXとのシステム連携が難しいことです。
回線収容には専用アプライアンスが用意されており、発着信を行えるようにできますが、多くのUCが世界標準のダイヤルインで設計されているため、日本のレガシーPBXでは通常機能で提供されているグルーピング設定が複雑になり、従来の運用が変更される場合があります。
又、運用方法にもよりますが、着信をするにはPC、スマートフォンの電源を入れておく必要があります。
クラウドPBX
システムのクラウドシフトが進む中、クラウドPBXを検討するのは自然な流れです。
クラウドPBXでは電話機がマストではなく、スマートフォン・SIMなしの端末・PCでも通信ができるため、従来のPBXより導入コストが下げる事が出来る可能性があります。
また、既存のPBXの構成をそのまま踏襲し、業務影響を少なくする事もできます。
加えて、数拠点でレガシーPBXを運用している企業においては、PBXの一元化と全国の内線化も行えるため、運用と通信コストの削減が見込めます。制限はありますが、既存番号の流用も進んでいるため、業務影響も少ないでしょう。
既存のCRMとの連携も容易なため、業務で着信を多く行う企業にとってはアドバンテージとなるでしょう。電話番号も現在の物を利用し続ける事が可能で、代表・グループ着信など構成の変更が少なくできます。
また、クラウドPBXはシングルタスクのシステムなため、トラブルの確認がしやすくリカバリも早く行えます。
デメリットはシングルタスクであることです。UCと比べれば機能が電話を中心に作られているため、テレカンファレンス(テレカン)・ビデオ会議は対応できますが、UCで網羅されているデータの共有にはほぼ対応していません。
まとめ
UCもクラウドPBXもコミュニケーションツールの分野としては同じです。出生の時代は違えど、目的は同じものです。しかしながら、ITの歴史の枝分かれで、2つのソリューションは別の分野になりました。企業で採用検討する時、二つのソリューションの検討を開始する前に、自社で利用中の機能の洗い出しと、今後必要になる機能を厳選する必要があります。
その後、現在利用しているレガシーPBXサービス機能を把握するが重要です。
例えば、代表番号への着信が事業継続プロセスに重要な位置に置かれている場合、クラウドPBXへの置き換えを検討するほうが良いと考えます。
一方、普段の代表番号の対応規模を縮小し、社内連絡を携帯電話に置き換えできるようであれば、UCの導入が効果的です。さらに、電話機能はクラウド化し、社内コミュニケーションはUC化する、といったアプローチも可能です。通信の2重コストを運用でカバーできれば最良のシステム導入となると思います。
高山 智行(日本ビジネスシステムズ株式会社)
入社24年目、パケット音声にまつわる技術をJBSにため込みたいと考えています。 そのため、レガシーPBXからクラウドPBXまた通信端末として電話機やスマホに詳しいです。 WindowsよりLinuxやAsteriskに精通しています。 音声パケット通信のためのネットワーク構成もここに残します。
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