Nutanix Community Edition 環境の構築 Part5

前回の記事では、AsyncDRの概要と設定方法の紹介をさせていただきました。

今回はNutanix仮想基盤への移行をサポートするNutanix Moveついて紹介していきます。

本章での検証範囲

本記事では、前回の記事で紹介した6ステップのうち、ステップ5の「Nutanix Move 移行方法」について記載します。

  1. Nutanix CE インストーラー入手
  2. Nutanix CE デプロイ&クラスター作成
  3. Prism 基本設定
  4. Async DR 方法
  5. Nutanix Move 移行方法
  6. Flow 利用方法

Nutanix Moveについて

Nutanix Moveとは、VMwareやHyper-Vなどの仮想基盤からNutanix AHVの環境への移行をサポートする、無償のツールになります。

Nutanix Moveの特徴は以下となります。

  • 最小のダウンタイム
    • 移行に必要なダウンタイムがほとんどない
  • リスクフリー
    • 元のデータストアやプラットフォームの削除や変更をしないため、ニーズに応じてロールバックできる
  • 移行プロセス
    • VirtIOドライバーのインストールやIPアドレス、MACアドレスの保持など、移行プロセスの多くが自動化されている

Nutanix Moveポート要件について

Nutanix Moveのポート要件は以下となります。

  • ESXi 移行の要件
    • ESXi ホスト
      • ポート TCP 443 および TCP 902 で Nutanix Move から到達可能である必要がある
    • vCenter Server
      • Nutanix アプライアンスからポート TCP 443 で到達可能である必要がある
    • Nutanix
      • Nutanix MoveネットワークとAHV CVMネットワーク間のポート2049および111(いずれもTCPおよびUDP)を許可する
  • Hyper-V 移行の要件
    • WinRM-HTTPS
      • ポート 5986 を使用して通信する
    • WinRM-HTTP:
      • ポート 5985 を使用して通信する
    • RDP
      • ポート 3389 (インバウンドのみ) を使用してリモートデスクトップ接続を許可する
    • SSH
      • ポート 22 を使用してセキュアシェル接続を許可する

Nutanix Move 利用方法

それでは、Nutanix Moveのインストール方法や設定手順を解説していきます。

Nutanix Moveのインストール

以下のURL(サポートサイト)にアクセスし、Nutanix Moveのイメージをダウンロードします。

https://portal.nutanix.com/page/downloads?product=move

※今回はESXi環境にNutanix Moveを構築するため、Move OVA file for ESXiをダウンロードする

ダウンロードが完了したことを確認します。

ESXiホストから仮想マシン作成する際に、[OVFファイルまたはOVAファイルから仮想マシンをデプロイ]を選択し。[次へ]をクリックします。

仮想マシン名を入力し、ダウンロードしたMoveのOVAファイルを選択して、[次へ]をクリックします。

仮想マシンをデプロイするストレージを選択します。

ネットワーク、ディスクモードなどは環境に適したものを選択します。

内容を確認し、[完了]をクリックします。

仮想マシンがデプロイされたことを確認し、起動します。

しばらくするとログインを求められるため、[User名]、[Password]を入力しログインします。

Move OVAの場合、下記の情報でログインできます。

  • User名:admin
  • Password:nutanix/4u

ログイン後、パスワードの変更を求めたれるため、任意のパスワードを設定します。

「Do you want to configure static IPv4 address? [y/N]」と問われるため、[y]を入力し、以下の項目を設定をします。

  • IPアドレス
  • サブネットマスク
  • デフォルトゲートウェイ
  • DNSserver Primary
  • DNSserve secondary
  • my.dc.domain

下図のように「Static IPv4 configuration completed successfully」と表示された事を確認します。

Webブラウザに先ほど設定したMoveのIPを入力してアクセスし、[I have read and agree to terms and conditions]にチェックし、[Continue]をクリックします。

画面が切り替わるため、Moveの新しいパスワードを入力しログインします。

※ MoveのWeb UIでログインするデフォルトユーザーは「nutanix」となるため、初回ログイン時は再度パスワード変更が求められます。

Nutanix Moveの設定

移行元ESXi環境の設定

ログインすると以下のような画面になるため、[×]をクリックして閉じます。

Select Migration Typeに[VM]にチェックを入れ、[Continue]をクリックします。

[+Add Environment ]-[Select Environment Type]から[VMware ESXi]を指定します。

以下の項目を入力し、[Add]をクリックします。

  • Environment Name
  • vCenter Server or standalone ESXi hostのIPアドレス
  • User Name
  • Password

[Environment]が追加されていることを確認します。

移行先環境の追加

再度、同じ手順で[Environment]の追加を行います。次は移行先の環境(AOS)の追加となります。

以下の項目を入力し、[Add]をクリックします。

  • Environment Name
  • vCenter Server or standalone ESX hostのIPアドレス
  • User Name
  • Password

[Environment]が追加されていることを確認し、[Create a Migration Plan]をクリックします。

[Plan Name]を入力し、[Proceed]をクリックします。

移行する仮想マシンを選択し、[Next]をクリックします。

※ 移行対象のVMにVMware Toolsがインストールされていない場合、移行中のチェックポイントでエラーが出ます

Target Networkから移行先のNetworkを選択し、[Next]をクリックします。

下記の項目を入力し[Next]をクリックします。

  • Preparation Mode→Automatic(デフォルト)
  • Guest Operations
    • チェックあり:Retain static IP addresses from source VMs(デフォルト)
    • チェックあり:Uninstall Vmware tools on target VMs(デフォルト)
    • チェックなし:Bypass guest operations on source VMs
  • Credentials for Source VMs
    • Windows VMsの場合
      • Username:Administrator
      • Password:xxxxxxxx
    • Linux VMsの場合
      • Username:root
      • Password:xxxxxxxx

下記の項目を入力し、[Next]をクリックします。

  • VMs Priority
    • Medium
  • Timezone
    • Default
  • チェックあり:Retain MAC addresses from the source VMs
  • チェックなし:Skip CDROM addition on target VMs
  • チェックなし:Enable Memory Overcommit
  • VM Migration Type
    • チェックあり:Configure Target VM Properties
    • チェックなし:Retain Source VM Properties

問題がなければ[Save and Start]をクリックします。

しばらくすると移行が開始されます。

移行が完了後、カットオーバーの操作を行うことで移行後の環境が利用できるようになります。カットオーバーの準備が出来ましたら、以下の画面から[Cutover]をクリックします。

画面が変わるため、[Continue]をクリックします。Migration StatusがCompletedになった事を確認します。Prismにアクセスし、仮想マシンが移行され、起動されていることを確認します。

結果まとめ

移行時の準備

  • 移行元のVMに電源を入れておく
  • 移行元のVMにVMWareToolsをインストールしておく
  • 移行対象のWindowsのUACを無効化している必要がある
  • セキュアブートを無効化しておく
  • 同じVMを移行させる際はMACアドレスが被るため片方のVMを削除するかNetworkの接続を外す必要がある

仮想マシンの移行

  • 単体でも複数の仮想マシンでも移行が可
  • Windows、Linuxの混在での移行も可能
  • VMのネットワークはVMXNET3、e1000どちらでも移行が可能
  • 仮想マシンアダプターはNutanix Virtual Adapterとして認識される
  • Nutanix Moveで移行する際はMACAdressもIPAddressも引き継いで移行される
    • [CentOS8]移行先でのping疎通OK、ssh接続OK
    • [Wimdows2022]移行先でのping疎通OK、リモートデスクトップ接続OK
    • [ubuntu client 20.04]移行先でのping疎通OK、ssh接続OK
    • [ubuntu server 20.04]移行先でのping疎通OK、ssh接続OK

最後に

Nutanix CE でのNutanix Moveのインストール、設定手順は以上となります。

ESXiからNutanixへ仮想マシンを移行させる際は、VNware Toolsのインストールをしておくことが必須となるため、移行前に確認しておきましょう。

次回は、Prism Centralをインストールし、Flowの利用方法をご紹介したいと思います。

執筆担当者プロフィール
濱本 夢人

濱本 夢人(日本ビジネスシステムズ株式会社)

クラウドソリューション本部所属。主にHCI製品(Azure Stack HCI、Nutanix、vSAN etc)、仮想基盤、Switchの構築を担当しています。趣味はラーメン、つけ麺巡りです。

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