はじめに
ビジネスフォンで長年ビジネスを支えてきたINS64とINS1500回線が、2024年1月をもってサービス終了します。
代替案として光回線への切り替えが推進されていますが、INS64とINS1500回線がいまだ利用されている企業が、規模を問わず存在しているというのが現状です。
まだこれらの回線を使用している企業は、例外なく早めに、持続可能な通信ソリューションへの切り替えが必要となります。
ここではINS64やINS1500をお使いの方々へ、”何が必要か”を説明します。
PSTNマイグレーション
総務相は2010年からPSTNマイグレーションと称しプロジェクトを開始しています。この時期から光回線の積極導入を開始しています。
このプロジェクトは、企業だけでなく、一般家庭も対象となっていますが、このプロジェクト開始により、従来電話回線は徐々に減り、現在一般家庭の切り替えはほぼ完了した(一部地域を除く)とされています。
半面、企業向けは多くが取り残されていました。
一般家庭においては、従来電話回線をやめて携帯電話に置き換える、という選択肢も多く取られました。ですが、企業においては、固定電話の電話番号は会社の顔でもあり、これをなくすという事は現実的ではありません。
また、INSのデジタル信号を使ったビジネスもある事から、簡単に切り替えることが出来ない、という事情もあります。
ただ、このPSTNマイグレーションは現在も続いており、2025年中をもって完了とするべく計画が進行中です。企業においては引き続き、何らかの形で対応が必要となっています。
INS64とINS1500
INS64 とINS1500 はインターネットの普及も相まって、1998年ころからサービス開始されてきました。
INSネットと呼ばれた同サービスはこれまでアナログ通信で行っていた業務を、デジタル通信で行えることとなり、インターネットの閲覧にも利用されていました。
また、多くの通話チャネルを必要とする企業では、現在に至るまで利用されてきました。その用途は通話だけでなく、クレジットカードの決済端末、ショップのPOSシステム、電子商取引や警備などにも使われています。
ただ、昨今、クレジットカードの決済端末など、通話以外の用途については、代替案としてSIMによるモバイル通信が積極的に利用されています。
2つの方法
INS64 とINS1500 のサービスが終了するので、何かしらのサービスに移行する必要があります。
2015年ごろまでは光回線への変更が唯一の方法でしたが、現在はSIPトランクへの移行も可能となっています。それぞれの方法は導入から運用が全く異なる仕様となるため検討が必要となります。
1.INSから光回線への移行
2.SIPトランクへの移行
ここでは、SIPトランクとは何か、検討に値するのか、といった観点で紹介いたします。
INSから光回線への移行
光回線への移行はかなり普及しているため詳細は割愛しますが、簡単に触れておきたいと思います。
INS64 とINS1500 から光回線への移行は単純な回線変更となります。ただし、既存電話交換機を回線に対応させるため、対応機器のインストールと工事が発生します。
SIPトランクへの移行
対してSIPトランクの場合、従来の交換機は利用せず、クラウド電話交換機を利用することになります。クラウドのメリットは本記事では列挙しませんが、ハードウエアが無くなることや運用が自社化されるためコストメリットが大きく、採用に至ることが多いです。
SIPトランクとはIP音声サービスと呼ばれるものです。日本におけるサービスのSIPトランクは、過去に「インターネット電話」と呼ばれていたこともあり、そちらで聞き覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。
SIPトランクのサービスでは電話番号が割り当てられます。
昨今ではMicrosoft TeamsやZoomなどで050の発着信番号を持たせるサービスがありますが、実はこれらもSIPトランクです。
また、数年前から0AB~J番号(一般の固定電話と同様の「03-XXXX-XXXX」のような形式の番号)が使えるSIPトランクサービスが登場しています。既存で利用中の番号でインターネット通話できる番号ポータビリティサービスも提供されています。
おわりに
前述のように、2024年1月にはINS64とINS1500 のサービスは終了します。そのため決断を迫られます。
1.光回線に変更→従来の交換機を使い続ける
2.SIPトランクに変更→クラウド電話交換機に移行する。
いずれもメリットがあり、デメリットがあります。
従来の交換機はコストでデメリットがありますが、使い勝手が変わらないメリットがあります。
SIPトランクを有したクラウド電話交換機は、コストでは大きなメリットがありますが、使い勝手が変わることがデメリットとなります。
コストだけでなく、自社の状況に合わせて選択する必要があります。
高山 智行(日本ビジネスシステムズ株式会社)
入社24年目、パケット音声にまつわる技術をJBSにため込みたいと考えています。 そのため、レガシーPBXからクラウドPBXまた通信端末として電話機やスマホに詳しいです。 WindowsよりLinuxやAsteriskに精通しています。 音声パケット通信のためのネットワーク構成もここに残します。
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