電話回線のクラウド化

はじめに

クラウドPBXを検討する際の第一の壁となるのが電話番号と電話回線です。

利用中の電話番号のサービスや回線種別は多くの場合、無意識に利用されていることが多く、情報を持っていないことが一般的です。

クラウドPBXでどのような番号を使うかはとても重要な項目なので、出来る事と出来ないことを整理し、速やかな導入に結びつけることができるようにしたいと思います。

現在どのような固定回線を使っているか確認したい。

現在お使いの固定回線は様々な状態に置かれています。

お使いの電話設備の回線収容方法を確認の上、クラウドPBXでの回線収容方法を検討する必要があります。

まず、自社の通信環境の確認を実施することをお勧めします。

また、2024年のサービス期限を迎えるにあたり、PBXのサポート残年数にかかわらず、回線収容機器構成の変更が必要な場合あり注意が必要です。

  1. INS64, INS1500 等のサービスは2024年に終了がアナウンスされています。
  2. アナログ回線サービスはメタルIPへの変更が2024年に行われます。

ひかり回線を導入され、変更の必要が無いと思っている場合でも注意が必要です。2014年9月までに導入された光サービス機器の場合、クラウドPBXを利用する際には、新サービス機種への変更が必要となります。

総務省や大手キャリアからの通達は出ています。しかしながら、連絡が届かない場合も多いです。また、キャリアとの契約が古く、確認が難しい場合もあります。

クラウドPBXへの変更を検討している場合は、自社が利用中の回線サービスを月次の請求書や利用中キャリアへ確認する必要があります。

利用中電話番号のクラウド利用方法

利用中の電話番号をそのままクラウドで利用したい場合、いくつかの方法に絞られます。

回線ゲートウエイを利用し、既存回線を収容。クラウドPBXと通信させる。

一番、一般的な方法です。ただし、利用中回線種別や回線数に応じて収容できるゲートウエイの選定が必要です。

また、キャリアによって収容できない回線もあるため対応する機器の選択が必要です。

光回線の場合、直接的な回線直収を行うことができないため、キャリア終端装置の変更が必要な場合もあります。特に2014年9月以前の製造の終端装置はゲートウェイのインターフェースに合わせて変更が必要です。 

デメリットは社内に回線収容の機器が残るため、停電時に外線が停止してしまいます。

クラウドPBXは稼働しているので、インターネットにつなげれば、内線は利用できます。

既存番号を番号ポータビリティする。

クラウドPBX事業者によりますが、利用中番号をSIPトランク回線へとローカルナンバーポータビリティ(番号持ち運び制度=LNP)を行える場合があります。

ポータビリティが行える場合、クラウドPBXに番号を保持させることができるため、社内にゲートウェイや電話交換設備を設置する必要がありません。

また、社内に機器を置く必要が無いため、停電時でも外線の発着信が可能であり、災害時のBCP対策にも役立ちます。

デメリットは申請時にあります。LNPができる地域が少ないため、地域により利用できない場合があります。

新規番号をSIPトランクで取得する。

多くのクラウドPBX業者では 東京都(03)の0~ABJと050番号の取得が可能です。

利用中番号を廃棄し、新たな番号を利用することで、SIPトランクのメリットを適応できます。

デメリットは多くあり、利用中番号は、会社登録、名刺、インターネット、愛着、宣伝効果などがあり、手放すのが難しい場合があります。

回線の通話チャネルについて

従来の回線は、アナログで1チャネル、INS64相当で2チャネル、INS1500で23チャネル、とチャネル数が決まっていました。

このチャネル数は電話利用者と同時通話可能性を考慮し、同時通話が多ければ、多くの回線を契約するするものでした。

SIPトランクにおいてはインターネット回線を利用するため、制限方法が変わり、利用したい電話番号で同時通話数が自由に設定できます。

1番号あたりで1~約100チャネルの設定が可能になるため、従来のような高額な回線の引き込みが不要になります。多くの企業で、回線利用料の削減が見込めるため、SIPトランクを利用することが多くなっています。

最後に

昨今、スマートフォンの反映とともに、固定電話回線の意味合いも大きく変貌を遂げています。多くの企業では スマートフォンへの設備投資を優先し、従来のような固定電話用設備に予算を縮小する傾向にあります。 

様々な導入方法で、自社に適した回線収容方法を見つけることで、今後のクラウドPBX検討方針の方向性が見えると考えいます。

次回は電話交換機のクラウド化について書きます。

執筆担当者プロフィール
高山 智行

高山 智行(日本ビジネスシステムズ株式会社)

入社24年目、パケット音声にまつわる技術をJBSにため込みたいと考えています。 そのため、レガシーPBXからクラウドPBXまた通信端末として電話機やスマホに詳しいです。 WindowsよりLinuxやAsteriskに精通しています。 音声パケット通信のためのネットワーク構成もここに残します。

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