データベースをクラウドに移行する際のポイントを簡潔に整理しました。
以前の以下の記事(データベースパフォーマンスチューニングの勘所)と合わせて移行の際の参考になれば幸いです。
はじめに
データセンターの返却、H/W・OSのEOS等にあわせて、オンプレミスからクラウドへデータベースを移行する、ということの検討がさらに加速してきました。
バックアップやリプレイス・保守のランニング費用を考えるとシステムのクラウド化はかなりのメリットかと思います。
DBA不在の場合、プランを立てるのもなかなか難しいですが、ポイントを押さえておくことでスムーズに進められると思います。
もちろん、オンプレミスとクラウドの違いを理解しておくことは重要です!
また、コスト比較も必須なのでできるようになっておきましょう。
確認ポイント
以下に主な確認ポイントを列挙します。
- 規模(サーバースペック、データベースサイズ、利用システム)
- ステークホルダー
- パフォーマンス要件
- 運用(RTO/RPO)
- リンクサーバー/データベースリンク
- 外部テーブル
- ストアドプロシージャ
- データ型
- PaaSにするか/IaaSにするか
運用面を除き、基本は現調(現状調査)です。データベースの構成情報を調べるツール等を使用して機械的に行いましょう。
その情報をもとに、移行時の制約や障壁を洗い出します。合わせてクラウド移行時にPaaSの利用を検討します。
クラウドの特性として、ディスクアクセスは基本的にはネットワークアクセスになるため、スループットに注意が必要なのと、IOPSの費用対効果も考慮が必要になります。
そして移行に際しての重要なポイントがステークホルダーです。
移行対象のデータベースを誰が・いつ・どのシステム(アプリケーション)からどのように利用しているかを確認し、調整することとなります。
PoC(Proof of Concept)
データベース規模や要件によって必須ではありませんが、利用している特定のアプリケーションから処理を選定し、スループットを確認することをお勧めします。
また、検証をすることで移行時の課題や問題の確認ができます。
移行計画
これまでの確認・検証してきた内容をもとに実際の移行の段取りを検討して計画していきます。
長時間の停止が可能であればオンプレミス環境からエクスポートし、クラウド環境にインポートという手段が使えますが、基本的にはデータの整合性を考慮し、関係各部署と調整しながら計画を立てていきます。
移行データの妥当性確認、アプリケーション動作確認項目、リカバリプランは必ず入れておきましょう。
おわりに
クラウドには便利な移行ツールがあるので技術的な敷居は下がっていると思いますが、オンプレミスとクラウドのデータベース切り替えタイミングや停止、作業時間の調整にはまだまだ人の手が必要になり、この部分が移行の難しい部分だと考えてます。
土山 和也(日本ビジネスシステムズ株式会社)
ユーザーサポート、開発、運用、構築業務を経験し、現在はアーキテクトとして提案・プロジェクト支援に従事。専門はデータベースでDBA歴十数年。Azure/AWSを担当。
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