【Microsoft×生成AI連載】Skillsエージェントにより組織のスキル検索が便利に

Microsoft×生成AIというテーマでシーズン3まで連載を実施しておりましたが、シーズン4として連載を再開いたします。執筆者の人数も増え、20名の体制でお送りしたいと思います。

シーズン3ではMicrosoft 365 Copilot、Copilot Agents、Copilot in Power Platformを中心に連載しておりましたが、シーズン4ではさらに枠組みを広げてFabric等のデータ基盤との連携に関連する記事も連載する予定ですので、ぜひお楽しみに!

シーズン4初回となる今回は Skills エージェントのご紹介と実際に使用してみた様子に関する記事となっています。新しい機能であるPeople Skillsや、組織のスキル管理について興味のある方はぜひご覧ください。

これまでの連載

これまでの連載記事一覧はこちらの記事にまとめておりますので、過去の連載を確認されたい方はこちらの記載をご参照ください。

blog.jbs.co.jp

People Skills機能概要

ユーザーのMicrosoft 365の各種サービス(ExcelやWord等のドキュメント・Outlook・Teamsチャットや会議 等)における操作やデータとプロフィールからAI 推論で従業員ごとのスキル・プロファイルを生成し、組織のカスタマイズ可能なスキル分類にマッピングする機能をもっています。

管理センターで有効化することでPeople Skillは使用できるようになります。管理センター上では、スキルライブラリ管理(既定16,000語の活用や独自技能の取り込み)、プライバシーの共有範囲の制御が可能です。

より詳細に機能概要を知りたい方はMicrosoftの公式ドキュメントをご覧ください。

Peopleスキルの概要 | Microsoft Learn

今回発表されたSkillsエージェントは、People Skillsと連携されたエージェントとなっており、組織内の従業員のスキルやプロファイルについて回答することができます。

呼び出し手順

Skillsエージェントを利用する際には前提として、管理者によりPeople Skillが有効化されている必要がありますのでご注意ください。ここからは、People Skillが組織で有効化されている前提で各ユーザーの操作を解説していきます。

Skillsエージェントを使用するためには、エージェントをユーザー自身のCopilot環境に追加する必要があります。

まず最初に、Microsoft 365 Copilot画面の左側[エージェント]を選択します。

エージェントを選択します

すると、エージェントの一覧が表示されます。画面下部にスクロールし、[Microsoftによるビルド]の中の[Skills(Frontier)]を選択します。

Skills(Frontier)を選択します

エージェントの説明が書かれたタブが表示されるので、[開く]を選択します。

[開く]を選択します

すると、エージェントとチャット可能な画面が表示されエージェントとチャットできるようになります。

Skillsエージェントとのチャット画面

新しく追加したエージェントは左側[エージェント]タブ内のエージェント一覧にて確認することが可能です。

エージェント一覧にSkillsエージェントが追加されています

利用ユースケース

実際にエージェントに質問をしてみます。

Skillsエージェントに対して「Copilotについて詳しい社内メンバーはだれか?」について質問したところ、次のように回答が返ってきました。

回答内容は社内のCopilotや生成AIに関連するメンバーであり、所属や連絡先等も正しいものでした。

特定のスキルをもつメンバーについて聞いてみました

Copilotからの返答の全文は次のようになっています。今回は個人情報を含む箇所はマスキングのうえでのご紹介となります。

Copilotに詳しいチームメンバーを探しているとのことですね。社内で「Microsoft Copilot」や関連技術に精通している人物を調査したところ、以下の方が特に豊富なスキルを持っていることが分かりました。
---
### 詳しい人物:**[氏名非公開]**
- **所属**:**企業名非公開**、AI関連部門(東京本社)
- **役職**:主任
- **連絡先**:**メールアドレス非公開**
- **電話番号**:**非公開**

#### 認済みスキル(Microsoft Copilot関連)
- **Microsoft Copilot**:AIによるコード生成・デバッグ支援ツールの活用
- **Microsoft Copilot Studio**:AIチャットボットや仮想アシスタントの設計・管理
- **Generative AI**:生成系AIの活用
- **Prompt Engineering**:効果的なプロンプト設計
- **Large Language Models (LLM)**:大規模言語モデルの理解と応用
- **Microsoft 365 / Teams / Power Platform / Power BI**:Microsoft製品群の高度な活用

#### AIによって推定されたスキル
- **AI Solutions**:AIを活用した業務改善
- **End User Training**:ユーザー向けトレーニングの設計・実施
- **Technology Adoption**:新技術の導入支援
- **Strategic Planning**:戦略的な導入計画
- **UX / Collaboration Tools / CRM**:ユーザー体験やコラボレーションツールの活用

---

### 関連情報源
- **Microsoft Azure Team**:GitHub Copilot関連のワークショップ開催
- **GitHub**:GitHub Copilot CLIの情報発信

---

人物の情報やスキルについて詳細に記載されていることがわかります。
エージェントの使い方については以下のようなものがあります。

 

  • エキスパート探索
    • 指定スキルを持つ同僚を探し、プロフィール情報と併せて把握。
    • チーム組成や相談相手の発見に使える。
  • スキルに基づく学習や成長の提案
    • 個人のスキル・プロファイルをもとに、強みを伸ばす領域を可視化。
  • 組織・リーダー向け可視化
    • 部門や組織のスキル分布、ギャップや過不足の把握、リソース配置・育成計画の判断を支援
  • People Skills上の操作レクチャー
    • 自身のスキルの変更方法など、People Skillsの管理を支援

メリットと注意点

メリット

  • エキスパートの探索とチーム編成の即時化が可能
    • 特定のスキルを持つ同僚の発見や、相補的なスキルを持つ人選をエージェント自身で行う
  • 既存のMicrosoft 365データを活かしており、導入が容易
    • 別系統のHRデータに依存しておらず、管理者が機能を有効にするだけでPeople Skillsの推論結果をそのまま活用できる
  • 組織スキルの見えるかと学習推奨に接続
    • Copilotでの人探しだけでなく、スキル分析等で組織視点の意思決定が可能

注意点

  • プレビュー前提(Frontier)
    • 機能やUI、提供範囲が変動しうるため今後機能が大幅に変更される可能性がある
  • データ品質と推論精度
    • Microsoft 365関連アプリでの活動の量や質によってスキル分類の精度が変わる
  • 可視化と共有ポリシーの設計が必須
    • People Skills側で事前にスキルの公開範囲や共有範囲を設定することができるため、利用前の設計が必要となる

まとめ

今回のシーズン4初回記事では、SkillsエージェントとPeople Skills機能を通じて、組織内のスキル管理に新しい視点をもたらす仕組みをご紹介しました。

Microsoft 365のデータを活用し、AIによる推論で従業員のスキルを可視化することで、エキスパート探索やチーム編成、学習提案など、日常業務に直結するユースケースが広がります。People Skillsのアップデートが今後進む中でさらに便利になっていくと予想されますので、ぜひお試し下さい。

シーズン4連載ではでは、Fabricとの連携やデータ基盤との統合など、さらに広がるCopilotの世界をお届けしますので、次回もぜひ閲覧ください。

おまけ(Copilot Chatによる本記事の要約)

シーズン4の連載再開にあたり、Microsoft×生成AIのテーマをさらに拡張し、Fabricなどのデータ基盤との連携も取り上げる予定であることを紹介しています。初回記事では、新機能であるSkillsエージェントとPeople Skillsに焦点を当て、組織内のスキル管理やエキスパート探索の仕組みを解説しました。
People Skillsは、Microsoft 365の活動データとプロフィール情報をもとにAIがスキルを推論し、組織のスキル分類にマッピングする機能で、管理センターで有効化やスキルライブラリ管理、共有範囲の設定が可能です。SkillsエージェントはこのPeople Skillsと連携し、従業員のスキルやプロファイルに関する質問に答えられるため、チーム編成や学習提案、組織スキルの可視化など幅広いユースケースに対応します。
記事では、エージェントの追加手順や実際の利用例を紹介し、Copilotに詳しい社内メンバーを検索した結果を個人情報をマスキングした形で提示しました。また、導入のメリットとして、即時のエキスパート探索やMicrosoft 365データの活用による容易な導入、組織スキル分析との連携が挙げられています。一方で、プレビュー段階であること、データ品質や推論精度への依存、共有ポリシー設計の必要性といった注意点も示されています。
最後に、今回のアップデートにより、スキル管理や人材探索がCopilotエコシステム内で完結できるようになったことを強調し、今後のFabric連携などさらなる展開への期待を述べています。

執筆担当者プロフィール
宅見 健太朗

宅見 健太朗(日本ビジネスシステムズ株式会社)

Data&AI事業本部に所属。AzureをメインにAI関連サービスなどを勉強中です。

担当記事一覧
執筆担当者プロフィール
渋谷 優輝

渋谷 優輝(日本ビジネスシステムズ株式会社)

Microsoft Azure、特に生成AIやデータパイプラインのインフラ構築を行っています。

担当記事一覧