Amazon Q Developer 概要

近年、多くの企業でクラウド化が進み、AWS環境の運用を任される方が増えています。同時に、ChatGPTをはじめとする生成AIの登場で「AIを使えば運用が楽になりそう」という期待も高まっています。

しかし、「実際にどう活用すればいいの?」「運用にAIってどう使うの?」と、具体的な方法がわからず困っている方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが、AWSが提供する生成AIアシスタント「Amazon Q Developer」です。

本記事では、Amazon Q Developerの概要について記載します。

Amazon Q Developerとは

Amazon Q Developerは、AWSが提供するAIチャットアシスタントです。

難しい専門用語を使わなくても、普段使っている言葉で質問するだけで、AWSの使い方やトラブルの解決方法を教えてくれます。

例えば、「このエラーメッセージの意味は?」「サーバーの状態を確認したい」といった質問に、わかりやすく回答してくれます。AWSの公式ドキュメントを一から読む必要がなく、必要な情報をすぐに得られるのが大きなメリットです。

運用面での主要機能

Amazon Q Developerには、AWS運用で役立つ機能がたくさんあります。専門知識がなくても使える主な機能を紹介します。

「今どうなってる?」を簡単に確認できる

「動いているサーバーの一覧を見せて」「このサーバーの設定を教えて」など、普通の言葉で質問するだけで、AWS環境の状態を確認できます。複雑な画面操作を覚える必要はありません。

エラーが出たときの味方

画面にエラーメッセージが出て困ったとき、Amazon Q Developerに聞けば「何が原因か」「どうすれば直るか」を教えてくれます。エラーコードをコピーして貼り付けるだけでOKです。

「これで大丈夫?」の確認

設定を変更する前に「この設定で問題ないか」を確認できます。セキュリティ上のリスクや、より良い設定方法があれば教えてくれるので、安心して作業を進められます。

コストの見える化

「今月の料金はいくら?」「無駄に動いているサーバーはない?」といった質問にも答えてくれます。思わぬ高額請求を防ぐのに役立ちます。

利用方法

Amazon Q Developerは、いろいろな場所から使えます。最も簡単なのは、AWSの管理画面(マネジメントコンソール)からの利用です。

AWSマネジメントコンソール

ブラウザでAWSにログインした画面から使う方法です。

画面上にあるAmazon Qのアイコンをクリックするだけで、すぐにチャットを始められます。日常の運用作業、エラー対応、設定確認など、最も基本的な使い方です。はじめての方は、まずここから使用することをおすすめします。

IDE(統合開発環境)

Visual Studio Code(VS Code)などのIDEでもAmazon Q Developerを使うことができます。

拡張機能をインストールすると、コードを書きながらAWSの設定方法を質問したり、AWS CLIのコマンドを教えてもらったりすることができます。CloudFormationなどのテンプレートを書くときにも便利です。

コマンドライン(CLI)

ターミナル(コマンドプロンプト)から使う方法です。

q chatコマンドでチャットを開始できます。スクリプトを書いたり、サーバーにSSH接続しながら質問したいときに便利です。現在Windowsには対応しておらず、macOSとLinuxのみ利用可能です。

その他の利用方法

上記以外にも、スマートフォンアプリ(AWS Console Mobile App)から外出先で確認したり、SlackやMicrosoft TeamsにAWS Chatbotを連携してチームで情報共有したりすることもできます。

aws.amazon.com

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料金について

Amazon Q Developerには、無料で使えるプランと、より高機能な有料プランがあります。

Free Tier(無料プラン)

個人での利用や、まずは試してみたい方向けのプランです。

チャットでの相談

AWSマネジメントコンソールやIDEから、AWSに関する質問ができます。「このエラーの意味は?」「S3の設定方法を教えて」など、日常的な疑問に回答してくれます。

エラー診断

AWSの画面で発生したエラーの原因を分析し、解決方法を提案してくれます。エラーメッセージをコピー&ペーストするだけで、何が問題かを教えてもらえます。

コード補完・提案

IDEで使用する場合、コードを書いている途中で次に書くべきコードを提案してくれます。AWS CLIコマンドの記述をサポートします。

Free Tierの制限
  • コード補完の提案回数に月間制限あり
  • 自社のAWSリソース情報を参照した詳細な回答は得られない
  • 組織でのメンバー管理機能なし

個人での学習や、まずは試してみたい場合には十分な機能ですが、業務で本格的に使う場合は制限に注意が必要です。

Pro Tier(有料プラン)

組織で本格的に使う場合や、より高度な機能が必要な場合のプランです。

自社環境に特化した回答

自社のAWSアカウント内のリソース情報にアクセスして、より具体的で詳細な回答を得られます。「このEC2インスタンスの設定を確認して」といった質問に対応できます。

組織でのメンバー管理

AWS IAM Identity Centerと連携して、組織のメンバーを一元管理できます。誰がどの機能を使えるかを管理者が制御できます。

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Amazon Q Developerがあると何が変わる?

Amazon Q Developerを使うとAWS運用がどのように変わるのか、具体的な場面で見てみましょう。

エラーが出た時

これまでは、エラーコードをコピーしてブラウザで検索し、英語のドキュメントを読み解き、自分の状況に当てはまるか判断する…という作業が必要でした。

Amazon Q Developerなら、エラー画面から直接「このエラーの原因は?」と質問するだけで、日本語で原因と対処法を教えてもらえるので、解決までの時間が大幅に短縮されます。

設定を確認したいとき

従来は、確認したい設定がどの画面にあるのか調べ、複数のサービス画面を行き来しながら情報を集める必要がありました。

Amazon Q Developerでは「このEC2インスタンスのセキュリティグループ設定を教えて」と聞くだけで、必要な情報をまとめて表示してくれます。画面を探し回る手間がなくなります。

正しい設定方法がわからないとき

AWSの公式ドキュメントは情報量が多く、専門用語も多いため、初心者には読み解くのに時間がかかります。

Amazon Q Developerなら「S3バケットを作成して、特定のユーザーだけがアクセスできるようにしたい」のように、やりたいことを伝えるだけで、手順をわかりやすく説明してくれます。

ベストプラクティスを知りたいとき

「この設定で問題ないか」「もっと良い方法はないか」を確認したいとき、これまではAWSのベストプラクティス資料を探して読む必要がありました。

Amazon Q Developerに現在の構成を伝えれば、セキュリティやコストの観点から改善点を具体的にアドバイスしてくれます。

まとめ

今回は、Amazon Q Developerの概要と基本的な機能について紹介いたしました。

次回は、Amazon Q Developerを使用するにあたっての必要な準備や利用方法、上手に質問をするコツをご紹介いたします。

執筆担当者プロフィール
神田 皓貴

神田 皓貴(日本ビジネスシステムズ株式会社)

クラウドソリューション事業本部所属。AWSを中心としたクラウドインフラに携わっています。

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