【Microsoft×生成AI連載】シリーズの記事です。
本記事では、Microsoft ExcelのCopilotによるクリーンデータ機能を紹介します。
- これまでの連載
- ExcelCopilotの概要
- ExcelCopilotのクリーンデータ機能とは
- クリーンデータ機能を使ってみる
- 利用シーンとメリット、注意点
- まとめ
- おまけ(Copilot Chatによる本記事の要約)
これまでの連載
これまでの連載記事一覧はこちらの記事にまとめておりますので、過去の連載を確認されたい方はこちらの記載をご参照ください。
ExcelCopilotの概要
Microsoft ExcelのCopilotは、AI技術を活用してユーザーの業務効率を向上させる革新的なツールです。データの入力補助や分析の自動化、グラフ作成の支援などを通じて、複雑な作業を簡素化します。
さらに、数式の提案やエラーの検出、傾向の可視化なども行い、データに基づいた意思決定をサポートします。
Copilotは、ユーザーの目的や作業内容に応じてパーソナライズされたアシスタンスを提供し、より迅速かつ正確なデータ処理を実現します。
ExcelCopilotのクリーンデータ機能とは
ExcelのAIベースの「クリーンデータ」機能を使えば、ボタンをクリックするだけでデータのクリーニングが簡単に行えます。
対象となるのは、テキストの表記ゆれ・数値形式の不統一・余分なスペースといったよくある問題です。これらを自動的に検出し、整える候補を提示してくれます。
クリーンデータ機能を使ってみる
以下のテーブルを対象に各機能を試してみます。
Customer1 | Apple | 1 | 100 | 100 |
Customer2 | Apple | 2 | 100 | 200 |
Customer3 | Apple | 3 | 100 | 300 |
Customer4 | Banana | 1 | 50 | 50 |
Customer5 | Orange | 1 | 80 | 80 |
Customer6 | Strawberry | 1 | 150 | 150 |
Customer7 | Grape | 1 | 120 | 120 |
Total | 1000 |
同じ値のセル内の一貫性のないテキスト
この機能は、見落とされがちなデータのばらつきを検出し、後々の集計ミスや分析エラーを防ぐことを目的としています。たとえば、次のようなケースでは、同じ値であっても異なるものとして扱われ、正確な集計ができない可能性があります。
- 大文字と小文字が混在しているテキスト
- 句読点やアクセント記号(発音区別記号)の違いがあるデータ
クリーンデータ機能は、こうした問題のある箇所を自動的に見つけ出し、簡単に修正できるようサポートしてくれます。
先ほどのテーブルのうちFruit行のAppleを以下のように「Apple」、「APPLE」、「apple」と3パターンの表記に書き換えました。
クリーンデータ機能を使用するためには、以下のいずれかの操作を行います。
- ファイルを開いた際に表示される「Copilotでデータをクリーニングする」から「候補の表示」を押下する
- リボンの「データ」から「データのクリーニング」を押下する
Copilotのチャットウィンドウにクリーンデータ機能による提案として、整合性のないテキストと置き換えるためのバリデーションの提案が行われました。テーブルの対象箇所が赤くハイライトされています。
プルダウンから「Apple」を選択します。
「適用」を選択します。
表記が「Apple」に統一されました。
余分なスペースの削除に関する提案
テーブル内のデータに含まれる不要なスペース(先頭や末尾の空白、値と値の間の余分なスペースなど)を自動的に検出して取り除く際に役立ちます。
機能を試すために、サンプルテーブルのFruit列の「Banana」の前に、半角のスペースを挿入しました。
上記と同様の手順でクリーンデータ機能を使用すると、以下のように余分なスペースを削除する旨の提案が表示されました。
「適用」を選択します。
不要な空白が削除されました。
列の一貫性のない数値形式
この機能は、テキスト形式と数値形式が混在している列を検出し、計算ミスの原因となる可能性のある不整合を特定するためのものです。
クリーンデータ機能を使えば、こうした不一致を見つけ出し、「テキスト」形式のセルを正しい数値形式に変換できます。
サンプルテーブルの以下の値を文字列に書式設定しました。
この状態でクリーンデータ機能を使用すると、下記のように、「番号の形式に一貫性がない」として、列R(Total)のセルを数値に変えることを提案してくれました。
「適用」を選択します。
該当のセルが数値に変換されました。
利用シーンとメリット、注意点
利用シーン
- ビジネス文書の作成
- 報告書や提案書に使用するデータを迅速かつ正確に整形できます。
- たとえば、表記ゆれ、不要な空白の除去、フォーマットの統一などを自動で行い、信頼性の高い資料作成をサポートします。
- クリエイティブライティング
- 物語やエッセイの構成に使うアイデアリストやプロット表なども、クリーンデータ機能で整理整頓できます。
- カテゴリごとの分類を自動化することで、創作活動の下準備をスムーズに進められます。
メリット
- 効率的なデータ整理
- 表記ゆれの修正、空白セルの処理、フォーマットの統一などを自動で行うことで、手作業によるミスを防ぎます
- 短時間で整ったデータを作成できます
注意点
- 提案の選択
- Copilotが提示するデータ整形の提案は便利ですが、すべてが最適とは限りません。
- たとえば、意図しないデータの削除や変換が行われる可能性もあるため、最終的な判断はユーザー自身が行うことが重要です。
- 過信しない
- 自分の業務知識や目的に照らして確認することが大切です。
- 特に、業務上の意思決定に関わるデータ処理では、最終的な責任を持つ意識が求められます。
まとめ
Microsoft ExcelのCopilotに搭載されたクリーンデータ機能は、データの整理や前処理を効率化し、作業の質とスピードを大きく向上させる強力なツールです。
表記ゆれ・空白セルの処理・フォーマットの統一など、面倒な作業を自動で行ってくれるため、誰でも簡単に整ったデータを扱えるようになります。
Copilotによって自動的にデータに対するチェックが行われるため、人為的なミスの削減や業務効率化に役立つ機能だと思います。
おまけ(Copilot Chatによる本記事の要約)
本記事ここまでの執筆内容をCopilot Chatに転記し、記事内容の要約をしてもらいました。
Microsoft ExcelのCopilotは、AI技術を活用してデータ入力や分析、グラフ作成、数式提案、エラー検出などを支援することで、業務効率を大幅に向上させるツールです。その中でも「クリーンデータ機能」は、表記ゆれや数値形式の不統一、余分なスペースといったデータの不整合を自動的に検出し、修正候補を提示する機能です。
この機能を使うことで、たとえば「Apple」「APPLE」「apple」といった表記の違いを統一したり、セル内の不要なスペースを削除したり、文字列として入力された数値を正しい数値形式に変換することができます。操作は簡単で、対象のファイルを開いた際に表示される「Copilotでデータをクリーニングする」ボタンや、リボンの「データ」タブから「データのクリーニング」を選択することで利用できます。
実際の使用例では、表記ゆれのあるデータをCopilotが自動で検出し、統一表記の候補を提示。ユーザーが選択して適用することで、データの整合性が保たれます。また、空白の削除や数値形式の統一も同様に提案され、クリック操作だけで修正が完了します。
この機能は、ビジネス文書の作成やクリエイティブライティングなど、さまざまな場面で活用できます。たとえば、報告書や提案書のデータ整形、アイデアリストの整理などに役立ちます。メリットとしては、手作業によるミスの防止、短時間でのデータ整理、信頼性の高い資料作成が挙げられます。
一方で、Copilotの提案はすべてが最適とは限らないため、最終的な判断はユーザー自身が行う必要があります。また、業務知識に基づいた確認や、機密情報の取り扱いには注意が必要です。
まとめとして、Excel Copilotのクリーンデータ機能は、誰でも簡単に整ったデータを扱えるようにする強力な支援ツールであり、人為的なミスの削減と業務効率化に大きく貢献します。
末永 直也(日本ビジネスシステムズ株式会社)
Data&AI事業本部 AIソリューション1グループ所属。Copilot、Azure AIサービスの勉強をしてします。趣味はドラマ鑑賞、朝の散歩です。
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