【Microsoft×生成AI連載】シリーズの記事です。
本記事では、ExcelのCopilotを使ってプロンプトで条件付き書式を作成し、テーブルに反映させる方法を説明しています。
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ExcelのCopilot紹介
ExcelのCopilotは、データの入力・編集、分析、自動化、レポート作成、数式生成をサポートするAIアシスタントです。
本記事では、条件付き書式に絞った機能を紹介します。
条件付き書式とは
Excelの条件付き書式は、特定の条件を満たしたセルに対して自動的に書式を適用する機能です。これにより、データの視認性を高めたり、重要な情報を強調したりすることができます。
手動で作成できる、さまざまな条件付きオプションが用意されています。
便利な機能ですが、複雑な条件付き書式を設定するには多くの手順を踏む必要があります。
時間がかかることに加え、誤入力や設定ミスが発生する可能性があります。
Copilotによる条件付き書式を使ってみる
上記のような課題を解決するために、Copilotを使用して簡単な操作で条件式書式を作成します。
以下のようなサンプルテーブルに対して、各列ごとに異なる条件付き書式を、プロンプトで作成していきます。
セルの色を変更
比較のために、まずは手動で条件付き書式を作成します。
- 書式を適用したい範囲を選択
- リボンの「ホーム」タブに移動し、「条件付き書式」を選択
- 「新しいルール」を選択
- 「数式がtrueのセルを書式設定する」を選択し数式を入力、色を選択して完了
- 対象のセルに書式が設定されたことを確認
続いて、ExcelのCopilotで条件付き書式を作成します
- Copilotを選択
- 以下のようなプロンプトを入力
A列でセルの値が50以上の場合に背景色を緑、フォントの色を白に設定してください
- 出力を確認して「適用」を選択
- 対象のセルに書式が設定されることを確認
手動で設定する時と同様の書式を設定することができました。その他の条件付き書式についても確認してみましょう。
データバーの追加
セルの値に応じてバーの長さを変えることで、データの視覚化ができます。
B列でセルの値に応じてバーの長さを変える条件付き書式を設定してください。データバーを利用して、セルの値が大きいほどバーが長くなるようにしてください
カラースケールの適用
値の範囲に基づいて、セルの色をグラデーションで表現します。
C列でセルの値の範囲に基づいて、色をグラデーションで表示する条件付き書式を設定してください。カラースケールを使用して、低い値を青、高い値を赤で表示してください
アイコンセットの使用
値の範囲に応じて異なるアイコンを表示し、データを視覚的に分類します。
D列でセルの値の範囲に応じて異なるアイコンを表示する条件付き書式を設定してください。アイコンセットを使用して、値が高い場合は緑の上向き矢印、値が中間の場合は黄色の横向き矢印、値が低い場合は赤の下向き矢印を表示してください
特定のテキストを含むセルの強調表示
特定の文字列を含むセルをハイライトします。
E列でセルに'テスト'という文字列が含まれている場合に背景色を黄色に設定してください
数式を使用した条件付き書式
カスタム数式を使用して複雑な条件を設定できます。
F列でカスタム数式を使用して複雑な条件付き書式を設定してください。例えば、セルの値が偶数の場合に背景色を青に設定する条件付き書式を設定してください。数式は =MOD(F1,2)=0 です
上位/下位ルールの適用
上位10%や下位10%など、特定の範囲内の値を強調表示します。
G列でセルの値が上位10%または下位10%に該当する場合に、そのセルを強調表示する条件付き書式を設定してください。例えば、上位10%の値を緑色、下位10%の値を赤色に設定してください
重複値の強調表示
重複する値を持つセルをハイライトします。
H列で重複する値を持つセルをハイライトする条件付き書式を設定してください。例えば、重複する値を持つセルの背景色を青に設定してください
一意の値の強調表示
一意の値を持つセルをハイライトします。
I列で一意の値を持つセルをハイライトする条件付き書式を設定してください。例えば、一意の値を持つセルの背景色を緑に設定してください
日付に基づく書式設定
特定の日付範囲に基づいてセルをハイライトします(例:過去の日付、未来の日付、今週など)。
J列で特定の日付範囲に基づいてセルをハイライトする条件付き書式を設定してください。例えば、過去の日付の場合に背景色を赤、未来の日付の場合に背景色を青にしてください
空白セルの強調表示
空白のセルをハイライトします。
空白のセルをハイライトする条件付き書式を設定してください。例えば、空白のセルの背景色を黄色に設定してください
問題なくプロンプトで条件付き書式を作成することができました!
利用シーンとメリット、注意点
利用シーン
- 財務分析
- 収入と支出のデータを視覚的に強調し、異常値やトレンドを識別
- 例)利益が一定のしきい値を下回ったセルを赤色にする
- プロジェクト管理
- 進捗状況や期限を視覚的に管理
- 例)期限が近づいているタスクを黄色、期限を過ぎたタスクを赤色でハイライト
- 在庫管理
- 在庫が少ない商品を強調表示
- 例)在庫が一定以上の場合にセルを赤色で表示
メリット
- 効率化
- 自然言語で指示を出すだけで複雑な条件付き書式を簡単に設定できるため、時間と労力を大幅に節約
- 視覚的なデータの分析
- データの重要な部分を強調することで、視覚的に理解しやすくなり、迅速な意思決定が可能
- エラーの減少
- 手動で数式や条件を設定する際のミスを減らし、正確なデータ分析をサポート
- 柔軟性
- 様々な条件やルールを簡単に設定・変更できるため、データの変化に柔軟に対応
注意点
- 条件の確認
- 設定した条件が正確であることを意識する。誤った条件付き書式はデータの誤解を招く可能性がある
- 過度な使用
- 過度に条件付き書式をを使用すると、シートが視覚的に混乱しやすくなるため、適度に使用することが重要
- パフォーマンス
- 大量のデータに対して複雑な条件付き書式を適用すると、Excelのパフォーマンスが低下する可能性がある
- 互換性
- 他のユーザーとシートを共有する場合、使用しているExcelのバージョンによっては条件付き書式が正しく表示されないことがある
まとめ
本記事では、ExcelのCopilotを使った条件付き書式について紹介しました。
プロンプトで直感的に設定できるため、条件付き書式利用のハードルがぐっと下がる機能だと思います。
おまけ(BizChatによる本記事の要約)
本記事ここまでの執筆内容をBizChatに転記し、記事内容を要約してもらいました。
この記事では、ExcelのCopilotを使って条件付き書式を簡単に作成する方法を紹介しています。
条件付き書式の概要:
- 特定の条件を満たしたセルに自動的に書式を適用する機能。
- データの視認性を高め、重要な情報を強調する。
Copilotの利用方法:
- 簡単な操作で条件付き書式を作成。
- 各列ごとに異なる条件付き書式をプロンプトで設定。
具体的な書式設定の例:
- セルの色変更、データバーの追加、カラースケールの適用、アイコンセットの使用。
- 特定のテキストを含むセルの強調表示、数式を使用した条件付き書式、上位/下位ルールの適用。
- 重複値や一意の値の強調表示、日付に基づく書式設定、空白セルの強調表示。
利用シーンとメリット:
- 財務分析、プロジェクト管理、在庫管理などでの活用。
- 効率化、視覚的なデータ分析、エラーの減少、柔軟性の向上。
注意点:
- 条件の確認、過度な使用の回避、パフォーマンスの考慮、互換性の確認。
まとめ:
- Copilotを使うことで、条件付き書式の設定が直感的に行えるようになり、利用のハードルが下がる。
末永 直也(日本ビジネスシステムズ株式会社)
Data&AI事業本部 AIソリューション1グループ所属。Copilot、Azure AIサービスの勉強をしてします。趣味はドラマ鑑賞、朝の散歩です。
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