本記事では、vCenter環境での仮想マシンテンプレートに関する操作を解説します。
「仮想マシンテンプレート作成」や「仮想マシンテンプレートから仮想マシンを新規デプロイ」を実施する際に、本手順をご参照ください。
仮想マシンテンプレートとは
vCenter環境にて使用できる機能です。
デプロイ済みの仮想マシンを「仮想マシンテンプレート」に変換することができ、デプロイ済み仮想マシンの複製が簡単にできるようになります。
ユースケース
1.Windowsを1台デプロイし、この仮想マシンに対して必要な設定を入れます。
2.設定済み仮想マシンを「仮想マシンテンプレート」に変換します。
3.「仮想マシンテンプレート」から新規仮想マシンをデプロイします。
4.設定済み仮想マシンと同じ設定状態のWindowsが新たに作成されます。
仮想マシンのクローンとテンプレートの違い
仮想マシンクローンでは、元となる仮想マシンの全ての情報を引き継ぎます。
仮想マシンのOS情報だけでなく、ハードウェア情報も全く同じ状態で引き継ぐ為、ネットワークアダプタのMACアドレスや、WindowsでいえばSID(固有ID)も引き継いでしまいます。
これでは、元となる仮想マシンと、クローン化した仮想マシンの同時稼働は不可になります。(バッティングしてしまう等)
その点「仮想マシンテンプレート」では、OS情報やハードウェア情報は引き継ぎつつ、仮想マシンの固有値となる情報は引き継がない仕様になっています。
ネットワークアダプタのMACアドレスや、WindowsでいうところのSIDは新たに生成する為、新規デプロイした仮想マシンを並行して稼働させることができます。
操作手順
検証環境
今回の記事は下記の環境で検証を行いました。
- vCenter Server 8.0 Update 1c
- ESXi 8.0a
- Windows 11
- Windows Server 2019
※今回Windows11デプロイに必要な、[NKP(Native Provider Key)]に関する構成は完了している前提とします。
※上記用いて検証環境を構築しましたので、一部設定が不足している場合がございます。あらかじめご認識ください。
仮想マシンテンプレート作成
デプロイ済みの仮想マシンを「仮想マシンテンプレート」に変換します。
1.[対象の仮想マシン]を選択し、[アクション]>[テンプレート]>[テンプレートに変換]をクリックします。
2.[変換の確認]にて、[はい]をクリックします。
3.仮想マシンテンプレートに変換されたことを確認します。
※vCenterのタスクから確認したのち、対象仮想マシンの[サマリ]タブでも表記が変わっていることをご確認ください。
仮想マシンテンプレートからのデプロイ
仮想マシンの新規作成
「仮想マシンテンプレート」から、仮想マシンを新規にデプロイします。
1.「対象の仮想マシンテンプレート」を選択し、[アクション]>[このテンプレートから仮想マシンを新規作成]をクリックします。
2.[名前とフォルダの選択]にて、新規仮想マシン名を入力し、仮想マシン配置場所を選択し、[次へ]をクリックします。
3.[コンピューティングリソースの選択]にて、デプロイするホストを選択し、[次へ]をクリックします。
※互換性に、「互換性チェックは成功しました。」と表示されることを確認します。
4.[TPMプロビジョニングポリシーの選択]にて、[コピー]を選択します。
※このウィザードはWindows11等の一部のOSでのみ表示されます。
※[置き換え]を選択した場合は、ワークロード関連のキーを含む全てのキーが置き換えられます。
5.[ストレージの選択]にて、デプロイするデータストアを選択して、[次へ]をクリックします。
※互換性に、「互換性チェックは成功しました。」と表示されることを確認します。
6.[クローンオプションの選択]にて、任意のオプションを選択し、[次へ]をクリックします。
- オペレーティングシステムのカスタマイズ
- 別途作成が必要な、カスタマイズ設定を取り込むことができます(例:sysprepファイル)
- この仮想マシンのハードウェアをカスタマイズします
- 仮想マシンデプロイ前に、仮想マシンハードウェア情報を編集することができます(例:CPU,メモリ)
- 作成後に仮想マシンをパワーオン
- 仮想マシンの新規デプロイ完了後、自動で仮想マシンをパワーオンします
(オプション)7.[ゲストOSのカスタマイズ]にて、カスタマイズを選択し、[次へ]をクリックします。
8.[設定の確認]にて、[次へ]をクリックします。
9.新規仮想マシンがデプロイされたことを確認します。
仮想マシンへの変換
「仮想マシンテンプレート」を、元の仮想マシンに戻します。
※「仮想マシンテンプレート」を編集及び更新する場合は、一度仮想マシンに戻す必要があります。
1.[対象の仮想マシンテンプレート]を選択し、[アクション]>[仮想マシンへの変換]をクリックします。
2.[コンピューティングリソースの選択]にて、任意のホストを選択し、[次へ]をクリックします。
※互換性に、「互換性チェックは成功しました。」と表示されることを確認します。
3.[設定の確認]にて、[次へ]をクリックします。
4.[仮想マシンテンプレート]が仮想マシンに変換された(戻された)ことを確認します。
最後に
本記事では、仮想マシンと仮想マシンテンプレートに関する操作を解説しました。
「ユーザー一人一人に仮想マシンを提供したい」「使い捨ての検証用仮想マシンを手軽に作りたい」といった要件がある際には、今回ご紹介した手順を是非ご活用ください!