本記事では、VMware vCenter Server (以降、vCenter)に拡張リンクモードを設定する流れを紹介します。
拡張リンクモードとは、複数の vCenter インスタンスをグループ化し、1つの管理インターフェイス上からそれらを管理する便利な機能です。
メリットとして、1つの vSphere Client から複数の vCenter 環境を管理可能になり、vCener 間での仮想マシン移行ができるようになります。
vCenter を2つ用意する
拡張リンクモードを行うために事前準備として、vCenter を2つ用意します。以降、VC01 と VC02 と呼びます。vCenter のデプロイの流れは割愛いたします。
前提として、両 vCenter がパワーオンされていることを確認します。本検証では、下記バージョンの2つの vCenter デプロイ後に Datecenter や Custer の作成、ホストの追加まで実施しています。
拡張リンクモードを使用するには前提として、対象とする複数の vCenter が共通の vCenter Single Sign-On ドメインに参加している必要があります。また、ライセンスは vCenter Server Standard が必要です。vCenter Server Foundation や vCenter Server Essentials ではサポートされません。
- vSphere Client バージョン:7.0.3.01400
- VC01のFQDN:vc01.test.local
- VC02のFQDN:vc02.test.local
- Single Sign-On ドメイン名:vsphere.local
- Single Sign-On ユーザ名:administrator
下図は拡張リンクモード実行前の VC01です。
vCenter のファイルベースのバックアップを取得する
データの損失を防ぐため、事前に vCenter のファイルベースのバックアップを取得しておきます。
Windows Server の FTP サーバーにバックアップする手順は(こちら)のブログで紹介しています。
vCSA に SSH 接続する
VC01 に SSH 接続します。
事前チェック
VC01にて下記コマンドによる事前チェックを行います。
cmsso-util domain-repoint -m pre-check --src-emb-admin administrator --replication-partner-fqdn vc02.test.local --replication-partner-admin administrator --dest-domain-name vsphere.local
下図のように、Source embedded vCenter Server Admin Password と Replication partner Platform Services Controller Admin Password を求められるため、パスワードを入力します。
All Repoint configuration settings are correct; proceed? の質問に対し、Y を入力します。
入力後、Pre-checks successful. と事前チェックが成功することを確認します。
実行コマンド
VC01 にて下記コマンドによる拡張リンクモードの実行を行います。
cmsso-util domain-repoint -m execute --src-emb-admin administrator --replication-partner-fqdn vc02.test.local --replication-partner-admin administrator --dest-domain-name vsphere.local
事前チェックと同様にパスワードを入力します。
こちらも事前チェック同様に Y を入力します。入力後、下図のように Repoint successful. と成功することを確認します。
※VC02からコマンドを打つ必要はありません。
実行結果の確認
両 vSphere Client にログインし、どちらの環境からも2つの vCenter が見えていれば完了です。
コマンド実行前からログインしていた場合は、ログアウト/ログインをお試しください。下図では、VC01 の vSphere Client から VC02 が確認できます。
おわりに
以上、拡張リンクモードの設定の流れはいかがだったでしょうか。コマンドを2回打つシンプルな設定でしたね。
複数のデータセンター毎に vCenter がある環境ではこの機能を利用すると管理が便利です。ぜひ皆さんもお試しください。