前回、AWS Application Migration Service【概要編】では、Application Migration Serviceの機能紹介や、実際のサーバー移行までの流れを説明しました。
今回は画像付き*1で実際の手順を説明していきます。
AWS Application Migration Service 移行手順
Applocation Migration Serviceの移行手順は以下です。次の項目から手順を記載します。
- 初期設定
- レプリケーションサーバーの作成
- ソースインスタンスへのレプリケーションエージェントのインストールとAWS MGN コンソールへの追加
- 起動テンプレートの構成
- テストインスタンスの開始
- カットオーバーインスタンスの開始
初期設定
1.AWSコンソールのApplication Migration Serviceから「使用を開始」を選択します。

2.セットアップ画面が出てくるので、「サービスをセットアップ」を選択し、Applocation Migration Serviceを有効化します。

Application Migration Serviceのコンソールが確認できれば、初期設定は完了です。

レプリケーションサーバーの作成
1.左ペインの「レプリケーションテンプレート」を選択し、「編集」を選択します。

2.レプリケーションサーバーの設定を行います。レプリケーションサーバーの設定項目は以下になります。
| 設定項目 | 内容 |
| ステージング領域サブネット | レプリケーションサーバーを構築するVPCのサブネット |
| レプリケーションサーバーインスタンスタイプ | レプリケーションサーバーインスタンスタイプ |
| EBSボリュームタイプ | レプリケーションサーバーのEBSボリュームタイプ |
| EBS暗号化 | レプリケーションサーバーのEBSの暗号化有無 |
| 常にApplocation Migration Serviceセキュリティグループを使用 | レプリケーションサーバーに対して、インバウンド TCP ポート 1500 のセキュリティグループを自動でアタッチ |
| 追加のセキュリティグループ(オプション) | レプリケーションサーバーに対して、追加で付与したいセキュリティグループ |
| データのルーティングとスロットリング | どのルートからデータを取得するか。 |
| ネットワーク帯域幅をスロットリング(オプション) | レプリケーションデータ送信データに対して、ネットワーク帯域制限をかける |
| リソースタグ(オプション) | レプリケーションサーバーのリソースタグ |
各設定の実際の画面は下記の通りです。




全ての設定を行ったら「テンプレートを保存」を選択します。
レプリケーションサーバーの設定は、レプリケーションテンプレートの画面から確認可能です。

ソースインスタンスへのレプリケーションエージェントのインストールとAWS MGN コンソールへの追加
1.ポリシー名「AWSApplicationMigrationAgentPolicy」を付与したIAMユーザを作成します。IAMユーザのアクセスキーを発行し、IAMアクセスキーとシークレットアクセスキーを控えておきます。

2.左ペインの「ソースサーバー」を選択し、「サーバーを追加」を選択します。

3.Replication Agentをインストールするためのコマンド発行画面が表示されるので、移行したいサーバーを基に以下項目を入力します。
| 設定項目 | 詳細 |
| オペレーティングシステムを選択します | 移行したいサーバーのOS |
| レプリケーション設定を選択します | 移行したいディスク |
| IAM アクセスキー ID | 1で作成したアクセスキーID |
| IAM シークレットアクセスキー | 1で作成したシークレットアクセスキー |
| セッショントークン | セッショントークンを利用する場合に記載 |
| ユーザー提供のリソース ID- オプション | リソースIDを指定する場合記載 |
| 次のコマンドを使用して、 インストーラをソースサーバーにダウンロードします | Replication AgentダウンロードURL。今回は端末にダウンロードし、移行したいサーバーに配置しました。 |
| 以下のコマンドをコピーして、ソースサーバーの PowerShell コマンドラインに入力します | Replication Agent実行コマンド。控えておいてください。 |
各設定の実際の画面は下記の通りです。

4.移行対象のサーバーにログインし、「次のコマンドを使用して、 インストーラを ソースサーバーにダウンロードします」でダウンロードした、Replication Agentを配置し、「以下のコマンドをコピーして、ソースサーバーの PowerShell コマンドラインに入力します」でコピーしたコマンドをPowershellで実行します。
「The AWS Replication Agent was successfully installed.」と表示されればインストール完了です。

完了するとAWSコンソール上で、ソースサーバーが表示されます。

起動テンプレートの構成
起動テンプレートは、AWS上に移行した際のサーバー等の設定になります。
1.「ソースサーバー名」を選択します。

2.「起動設定」からEC2起動テンプレートの「変更」を選択します。

「変更」を選択します。

3.起動テンプレートの画面で、設定変更します。
項目が多いので、Applocation Migration Serviceで設定変更しそうな項目のみ抜粋して記載します。
| 設定項目 | 詳細 |
| インスタンスタイプ | サーバー移行後に設定したいインスタンスタイプ |
| サブネット | サーバー移行後に配置するサブネット |
| セキュリティグループ | サーバー移行後に設定したいセキュリティグループ |
各設定の実際の画面は下記の通りです。


変更変更を完了するには「テンプレートのバージョンを作成」を選択します。

「起動設定」の「EC2の起動テンプレート」から設定変更が確認できます。
各設定の実際の画面は下記の通りです。

テストインスタンスの開始
1.「ソースサーバー名」を選択します。

2.「テストおよびカットオーバー」から「テストインスタンスを起動」を選択します

2.「起動」を選択します。

テストインスタンスの起動が開始されます。「ジョブの詳細を表示」でテストインスタンスの起動状況が確認できます。

3.起動が完了すると、「移行ダッシュボード」の起動ステータスが「起動済み」となりますので、「EC2コンソールで表示」を選択します。

4.テストインスタンスが表示されるので、インスタンスにログインし、レプリケーションされているか確認します。

5.テストが完了したら「カットオーバーの準備完了としてマーク」を選択します。


しばらくすると、「移行ダッシュボード」でカットオーバーの準備完了となります。

カットオーバーインスタンスの開始
1.「テストおよびカットオーバー」から「カットオーバーインスタンスを起動」を選択します。

「起動」を選択します。

カットオーバーインスタンスの起動が開始されます。テストインスタンスの時と同様、「ジョブの詳細を表示」で起動状況が確認できます。

2.起動が完了すると、「移行ダッシュボード」の起動ステータスが「起動済み」となりますので、「EC2コンソールで表示」を選択します。

3.カットオーバーインスタンスが表示されるので、インスタンスにログインし、レプリケーションされているか確認します。

4.確認が完了したら「カットオーバーを最終処理」を選択します。

「最終処理」を選択します。

「カットオーバー完了」となり、移行が完了します。

最後に
Application Migration Serviceの具体的な移行手順についてまとめました。
本記事の手順が参考になれば幸いです。
*1:画像は2024/7/1時点のもの