AWS Application Migration Serviceはオンプレミス等にあるサーバーをAWS上に移行するためのサービスです。
AWS上にサーバーをそのままEC2に移行するサービスの為、AWSが提唱している6つの移行戦略*1の中では「リホスト」にあたります。
本記事では、Application Migration Serviceの機能紹介や、実際のサーバ移行までの流れについて解説します。
AWS Application Migration Serviceの全体像
Application Migration Serviceの大まかな全体像は以下になります。
- 移行元サーバーにReplication Agentをインストール。(S3からインストーラーをダウンロードします。)
- レプリケーションサーバーで移行元サーバーのデータを取得
- コンバージョンサーバーで2で取得したデータを基にAMIを作成、テストインスタンス/カットオーバーインスタンスを起動
用語の説明
レプリケーション エージェント
移行したいサーバーにインストールするエージェントになります。
インストーラーは公開されており、S3経由でダウンロードします。
レプリケーションサーバー
移行元のサーバーのデータを受け取るサーバーになります。
レプリケーションエージェントをインストールすると、自動的に作成されます。
作成されるのは、EC2インスタンスで、EC2のマネジメントコンソール上から確認できます。
Application Migration ServiceのAWSコンソール上で、レプリケーションサーバーの設定値を変更可能です。
コンバージョン サーバー
レプリケーションサーバが受け取った移行元サーバのデータを基にAMIを作成するサーバーになります。
作成されるのは、EC2インスタンスで、EC2のマネジメントコンソール上から確認できます。
テストインスタンス
コンバージョンサーバーが作成したAMIで起動する最初のEC2インスタンスです。
ここで設定値に問題がないか等のテストを行います。
問題なければ、AWSコンソール上からカットオーバーインスタンスの作成に移行します。
カットオーバーインスタンス
テストインスタンス起動後、コンバージョンサーバーが作成したAMIから起動するインスタンスです。
本番稼働するEC2インスタンスになります。
特に問題がなければ移行完了となります。
通信要件
移行元サーバから以下の通信を許可します。
- Migration Service向けにTCP 443
- レプリケーションサーバー向けにTCP1500
またレプリケーションサーバーからもMigration Service,EC2,S3向けにTCP443が開いている必要があります。
通信要件図はAWSドキュメントから引用しています。
また、DirectConnect経由でもApplication Migration Serviceは利用可能です。
その場合、VPCエンドポイントを経由で各サービスと通信できるように構成します。
利用料金
移行するサーバーごとに90日間無料となります。
つまり、エージェントインストールしてAWSコンソール上で確認出来るようになってから90日以内にAWSへの移行が完了すれば、Application Migration Serviceの料金は無料です。
90日経過すると、Application Migration Serviceとして以下料金が発生します。
- 1時間あたりのコスト:0.042USD/サーバー
- 1ヵ月あたりのコスト:~30USD/サーバー
上記料金以外にも、レプリケーションサーバーや、カットオーバーインスタンス等のリソースはEC2で作成されるため、EC2利用料として追加料金が発生します。
まとめ
Application Migration Serviceの機能についてまとめてみました。
本記事を通して、少しでもApplication Migration Serviceとは何かわかって頂ければ幸いです。
次回、具体的な設定方法を記載しようと思います。
参考情報
- AWSへの移行:ベストプラクティスと戦略
- Connect to Application Migration Service data and control planes over a private network - AWS Prescriptive Guidance (amazon.com)
*1:本記事末尾の参考情報に記載した「AWSへの移行:ベストプラクティスと戦略」より