これまでにいくつかAzure File Syncの記事を作成しましたが、そもそもクラウド階層化がどういったものなのか説明していなかったので、Azure File Syncのクラウド階層化について二部構成でまとめます。
クラウド階層化とは
クラウド階層化とは実ファイルをクラウドで持ち、サーバー側ではデータを持たないことで、サーバーのデータ量を減らすことができる機能のことです。
階層化されているファイルはファイル名の表示が薄くなり、中を参照するためにクラウド上からダウンロードする必要があります。
階層化ポリシー
どのファイルを階層化するかは、管理者自身がポリシーを設定して決めることが一般的です。階層化ポリシーには日付ポリシーと空き領域ポリシーという2つのポリシーが存在します。その2つについて以下で説明します。
日付ポリシー
日付ポリシーとは、XX日間アクセスされていないファイルを階層化するポリシーのことです。
1~2147483647日を指定することが可能なので、1日アクセスしなかったファイルを階層化したり、3か月間アクセスしなかったファイルを階層化したりできるため、要件にあった日数で階層化することができます。
アクセスされていないことの判断基準としては、更新日時ではなくアクセス日時となります。
なお、後述する空き領域ポリシーと連携して設定することが可能ですが、優先されるのは空き領域ポリシーとなります。
空き領域ポリシー
空き領域ポリシーとは、ローカルボリュームのうちXX%が常に空き領域として保持されるポリシーのことです。
例えば、すべてのファイルをクラウドで持つ場合は[100%]で設定する必要があります。
なお、クラウド階層化を有効にする場合、空き領域ポリシーの設定は必須となります。
最小容量
上記で説明した日付ポリシーと容量ポリシーを設定してもクラウド階層化ができない場合があります。それがクラウド階層化の最小容量です。
クラウド階層化には最小容量が定められており、ボリュームクラスターごとの最小容量が以下のドキュメントで紹介されています。
階層化するファイルの最小ファイル サイズは、ファイル システムのクラスター サイズに基づいています。 クラウドの階層化の対象となる最小ファイル サイズは、クラスター サイズに 2 を乗算して算出され、最小で 8 KiB となります。
上記の通り、最低でも8kiB以下のファイルは階層化されません。例えば4kiBのファイルが10000個あっても階層化してくれないわけです。
そのため、階層化したいファイルの容量が小さい方は運用方法を考える必要があります。
おわりに
クラウド階層化は設定したらどのようなファイルでも階層化がされるというわけではないということを念頭に置きつつ、構築を行いましょう。
第二部ではより実際のクラウド階層化の動きについて紹介します。
伊藤 潤人(日本ビジネスシステムズ株式会社)
HC本部所属です。Azure・AWSともに経験がありますが、最近はAzureのPaaSサービスをメインに業務を行っています。趣味はドライブです。
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