はじめに
Power Platformの管理ツールの1つにMicrosoft Power Platform Center of Excellence (CoE) スターターキット(以下、CoEスターターキット)があります。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/guidance/coe/starter-kit
例えば、アプリの使用者を確認したり、フローが何回実行され、そのうち何回失敗したのか、など様々な事がCoEスターターキットには実現可能です。
詳細は以下の記事に記載しています。
Microsoft Power Platform Center of Excellence (CoE) スターター キットとは? - JBS Tech Blog
今回、CoEスターターキットはどこに導入するのか、またどの範囲のアプリやフローが閲覧することができるのか、について紹介します。
CoEスターターキットが導入される場所
CoEスターターキットはPower Platformの「環境」に対して導入します。
そのため、CoEスターターキットを導入した環境内のアプリやフローに対して上記のようなデータを収集することが可能です。
CoEスターターキットの閲覧範囲
しかし、実際にCoEスターターキットを複数環境を所有するテナントのどこか1つの環境に導入すると、導入していない環境のアプリの数やアプリの使用者、フロー作成者やフローの実行回数等のデータも見ることができます。
例えば、画面右下付近の円グラフはどの環境にどれだけのアプリが存在するのかを示すグラフになっているため、この画像は少なくとも2環境について観測することができていることになります。
なぜ、Power Platformの「環境」に対して機能するものが他環境のデータを見ることができるのか。
これは、Power Platform管理センターにある「テナントレベルの分析」の範囲で取得できるデータだからです。
そのため、テナントレベルの分析範囲外の情報は、CoEスターターキットを導入した環境のものしか確認できません。
導入方法
以上のことから、CoEスターターキットの導入方法は以下の2つがあります。
1つ目は管理したいアプリやフローが存在する既存環境に導入する方法(Microsoft推奨)で、2つ目はCoEスターターキット専用の環境を新たに作成し、導入する方法です。
アプリやフローの管理をするためには、既存環境に導入する方が望ましいです。
しかし、それを妨げる問題がいくつか考えられます。
例えば、既存環境のデータ損失ポリシーにより、環境内で使用できるコネクタが制限されている場合です。
CoEスターターキットでは、プレミアムコネクタを含めた全15個のコネクタを使用します。
これらのコネクタを使用できない場合、CoEスターターキットは機能しません。
そのため、既存環境でこれらのコネクタを制限していた場合、CoE用に新たな環境を作成するか、既存環境のポリシーを変更するかの二択になります。
既存環境のポリシー変更は、制限しているコネクタによっては小さくない影響が出る可能性があるため、簡単に判断できません。
さいごに
CoEスターターキットは環境を超えてテナント内のアプリやフローを把握することができることを紹介しました。また、導入する場所や導入方法についても紹介しました。
上記で言及した通り、CoEスターターキットを採用する理由に応じて、導入方法は変わります。Power Platformの利用状況だけ知りたい場合は、CoEスターターキット用の新規環境を作成し導入することになりますし、アプリやフロー自体の管理や制御をしたい場合は既存環境に導入することになります。
自分や組織のニーズに合わせて、導入方法を選んでみてください。