開発や学習等で利用できる無料のデータベースサービス

パブリッククラウドサービスでは、初心者や利用を検討しているユーザー向けに様々なサービスが無料で提供されています。

登録後○○日間無料、1年間有効の○○円分クレジットなどの形で提供されているものが多いのですが、中には無期限で提供される無料のサービスもあります。

開発や学習等で利用できる無料のデータベースサービスをまとめました。

各クラウドの無料データベースサービス

「常に無料」「AlwaysFree」など無期限で無料で使えるデータベースを調べてみました。データベース容量、CPUリソース、リクエスト数に制限がありますが、無期限・無料で利用できます。

※ 確認したのは2024年7月になります。無料提供が今後もつづくとは限らないので確認が必要です。

Azure

無料のサービス Microsoft Azure

Microsoft Azureでは、Azure SQL Database と Azure Cosmos DB が常時無料として提供されています。

AWS

AWS クラウド無料利用枠 | AWS

AWS では Amazon DynamoDB 常に無料として提供されています。

Oracle Cloud Infrastructure (OCI)

Cloud Free Tier | オラクル | Oracle 日本

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)では、Oracle Autonomous Database と Oracle NoSQL Database が AlwaysFree として提供されています。

無料インスタンスが提供されているので、仮想マシンを作成してデータベースを構築することも可能です。

Google Cloud

https://cloud.google.com/free?hl=ja

Google Cloud では BigQuery と Firestore が無料枠プロダクトとして提供されています。

無料インスタンスが提供されているので、仮想マシンを作成してデータベースを構築することも可能です。

各サービスの比較

本番運用や開発用途での利用は厳しいですが、個人的な学習目的での利用であれば十分な性能のデータベースが利用できます。

Azure と OCI では RDBMS が提供されています。BigQuery も RDBMS に分類されますが、使い勝手や用途が異なるのでここでは DWH としています。

NoSQL は各サービスで提供されています。

オープンソースの PostgreSQL や MySQL は提供されていませんが、OCI や GoogleCloud の無料仮想マシンで構築することはできそうです。

クラウドサービス DB種別 サービス名 容量 他制限
Azure RDBMS Azure SQL Database 32GB 100,000 仮想コア秒
Azure NoSQL Azure Cosmos DB 25GB 1,000 要求ユニット/秒
AWS NoSQL Amazon DynamoDB 25GB 月間2億回の読込書込リクエスト
OCI RDBMS Oracle Autonomous Database 20GB 1CPU
OCI NoSQL Oracle NoSQL Database 25GB 月間1億3300万回の読込リクエスト、1億3300万回の書込リクエスト
GoogleCloud DWH BigQuery 10GB 10TBのクエリ
GoogleCloud NoSQL FireStore 1GB 5万回の読込、2万回の書込、2万回の削除オペレーション

無料データベースを利用してみる

無料で使える RDBMS である Azure SQL Database と Oracle Autonomous Database を構築してみます。

Azure SQL Database

SQL Database を作成します。

「free serverless database」のオファーが表示されているので、「Apply offer (preview)」をクリックします。

「リソースグループ」「データベース名」「サーバー」にはそれぞれテスト用に用意した「test-rg」「test-db-02」「dbsvr0001」を指定します。

「Behavior when free offer limit reached」では無料提供の100000vCPU秒に到達したときの動作を選べます。翌月まで休止するか、追加料金で利用を続けるか選択できます。

作成されたデータベースでは「価格レベル」が Free、「Free monthly vCore amount」が 100,000 vCore seconds remaining と表示されていて無料で利用できていることがわかります。

Oracle Autonomous Database

Autonomous Database を作成します。OCI では Oracleベース・データベース・サービス(BaseDB)というサービスも提供されていますが、AlwaysFree は Autonomous Database のみです。

「表示名」「データベース名」はそれぞれ TEST-DB-01、TESTDB01とします。

「Always Freeの構成オプションのみを表示」を有効にすると、間違って有料構成になることはないので安心です。

「データベース・バージョンの選択」では 19c のみ選択可能です。リリースされたばかりの 23ai は Autonomous Database では選択できないようです。

作成されたデータベースでは「インスタンス・タイプ」が無料になっています。

Always Free では以下の制限があります。有料インスタンスに変更することで制限が解除されます。

  • CPU、ストレージのスケーリング不可
  • 最大30同時セッション
  • 手動バックアップ不可(自動バックアップは取得される)
  • 手動リストア不可
  • HTTPインターフェースの同時接続数

Always Free Autonomous Database

おわりに

常時無料で利用できるデータベースサービスがあれば、利用料を気にして停止したり削除したりなくて済むので便利です。

簡単な開発や個人的な学習など、負荷の少ない環境で使ってみてはいかがでしょうか。

執筆担当者プロフィール
三条 光暢

三条 光暢(日本ビジネスシステムズ株式会社)

Oracle、PostgreSQLを中心に各種データベースの設計・構築・運用を携わっています。

担当記事一覧