はじめに
”クラウド”というキーワードから、多くの企業でシステムのクラウド化が実施されてきました。その中で残置されていることが多いのが電話システム。いわるゆる電話交換機(以後PBXと呼称)です。PBXは長年ビジネスシーンで使われ、また会社のステータスとしても重要な役割を担っています。
電話のクラウド化を検討すると、思わぬ壁が立ちふさがることを経験された方も少なくないと思います。
電話番号の扱い、携帯電話との連携、パンデミック対応など、多くの要素が検討課題になります。
クラウドPBXを導入する際の検討事項と注意点を押さえれば、自社に適した電話交換システムの導入が推進できると考えます。
様々なサービス体系
一口に電話交換機のクラウド化といっても様々なサービスが各社から提供されています。
- 既存のPBXをデータセンターに設置し、VPNでPBXを利用する方法
- 専用通信機器をオフィスに設置し、クラウドPBXサービスを利用する方法
- 専用機器なしでクラウドPBXサービスを利用する方法
- 利用中電話番号が使えない安価内線サービスを利用する方法
4つの方法が考えられます。
どれも魅力ある構成提案ですが、実施方法が様々でオフィスのニーズに合致するサービスを採用するにはかなりの情報が必要です。
又、最近ではユニファイドコミュニケーションとして、通話、会議、プレゼンス、チャットなどの機能を搭載したサービスも提供されております。選択を行うために機能、コストなどの比較を行いたいところだと思います。
クラウドPBXの波及
昨今注目されるビジネス用途のクラウドPBXは、コールセンター用のクラウドPBXをデチューンしたものがほとんどです。
欧米のコールセンターにおいては、PBXとCRM連携の観点から、10年以上前からクラウドPBXが導入されてきました。GENESYS、3CXなどの大手メーカーソリューションから、Astariscでスクラッチビルドされたシステムが多く利用されています。
昨今の日本においてもGENESYS 3CX Astariscは多く使われていますが、レガシーPBXの根強い人気から導入が進んでいません。
パンデミックの影響から、ビジネス用のクラウドPBXサービスの導入を促進する企業が多く発生し、それぞれのオフィスに適したクラウドPBXが導入され始めました。
スマートフォンとPBXの関係
ビジネス用途のPBXにスマートフォンとの連携はとても重要と考えます。
近年では固定電話とスマートフォンのキャリアを同一にすることで、通話料金を0円とすることが一般的になりました。このようなサービスをFMC(Fixed Mobile Convergence)といいます。ただし、これによりクラウドPBXへの変更はさらに難易度が上がりました。
FMCはPBXの拡張機能でありクラウドへの移行ができません。とは言え、固定電話とスマホの通話コストの削減は大命題となっています。
昨今では、スマートフォンアプリで会社の電話番号と内線通話の利用ができるサービスも開始され、会社からの通信コストだけでなく、スマートフォンの通信コストの削減を行う企業も出現しています。
最後に
時代はすでに 「買う」から「借りる」に変貌しており、電話交換機もクラウドにあるものを借りることができるようになりました。
ただし、クラウドPBXを導入する際には、手持ちの既存番号の流用性、スマートフォンとの連携、オフィス環境へのインテグレーションなど考慮する点が多くあるため、複雑になりがちです。
- 自社電話番号から使えるクラウドPBXを選択
- スマホでの外線内線の発着信の可否
- PBX機能として代表組やグループ発着信機能、自動応答や録音機能といった必須機能を網羅
- PBXの運用の手軽さ
これらを軸にクラウドPBXサービスの選択を行う必要があります。
次回は電話回線のクラウド化について説明します。
高山 智行(日本ビジネスシステムズ株式会社)
入社24年目、パケット音声にまつわる技術をJBSにため込みたいと考えています。 そのため、レガシーPBXからクラウドPBXまた通信端末として電話機やスマホに詳しいです。 WindowsよりLinuxやAsteriskに精通しています。 音声パケット通信のためのネットワーク構成もここに残します。
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