Teamsアプリの管理方法が“アプリ中心”へ ─ 管理者が押さえておきたい設定と統合管理のメリット

Microsoft Teamsにおいて、アプリごとにアクセス許可設定やインストール済みアプリ設定を管理するアプリ中心の管理が導入されます。

アプリ中心の管理へ移行が完了していないテナントは、2025年5月中旬~6月下旬の期間で自動的にアプリ中心の管理へ移行されるため、アプリ中心の管理方法について確認しておきましょう。

この記事では、Microsoft Teamsのアプリ中心の管理におけるアプリ管理の変更点や、新たに可能となる機能、そして他のMicrosoft 365アプリとの統一管理について紹介します。

※本記事で案内している内容は、作成日時点でのものであり、マイクロソフトの方針により変更される場合があります。

アプリ中心の管理に関する概要

これまで、Microsoft Teamsのアプリ管理は主にアクセス許可ポリシーとセットアップポリシーを用いて行われてきました。

アクセス許可ポリシーでは、ポリシーごとにアプリへのアクセス許可を設定し、そのポリシーをユーザーに割り当てることで、各ユーザーが利用できるアプリを制御していました。

具体的には、組織全体や特定の部署向けにポリシーを作成したうえで、許可またはブロックするアプリを指定し、それをユーザーに適用することでアプリの利用を管理していました。

また、セットアップポリシーでは、ユーザーに初めからインストールされるアプリの設定を行っていました。これにより、ユーザーがTeamsに初回ログインした際に、あらかじめ指定されたアプリがインストールされ、必要なアプリをすぐに利用できる環境を整えていました。

今後は、アプリごとにアクセス許可の設定を行う「アプリ中心の管理」へと移行します。

この新しい管理方法では、各アプリに対して直接、アクセス許可を行います。

つまり、アプリごとに利用を許可するユーザーやグループを指定できるようになります。

これにより、個々のアプリに対して細かな制御が可能となり、ユーザーの多様なニーズや組織の変化に柔軟に対応できます。

参考情報: Teams アプリへのユーザー アクセスを管理するためのアプリ中心の管理 - Microsoft Teams | Microsoft Learn

機能の詳細

アプリ中心の管理を導入することで、以下のさまざまなニーズやシチュエーションに合わせて設定が行えます。

  • セキュリティリスクが懸念されるアプリを特定のユーザーからブロックしたい
  • 従来は一律で導入されていたアプリを一部の部署のみ利用可能にしたい
  • 新しく立ち上げたプロジェクトチームに対して、特定のアプリだけをすぐに利用可能にしたい

こうしたシナリオを踏まえ、具体的にどのような項目を設定できるのか、またどのように設定作業を進めればよいのかを順を追って見ていきましょう。

ここでは、Microsoft Teamsの管理画面で利用できる主な機能や設定手順を紹介します。

設定までの流れ

始めに「組織全体の設定」を行うことで、組織全体のアプリ利用に関する要件を決めます。

次に「アプリのブロックと許可」を実施することで、アプリ単位で利用可否を設定します。

その後、「アクセス許可の設定」から各アプリにアクセスできるユーザーまたはグループを割り当てます。

組織全体の設定

概要

組織全体でのアプリの使用に関する既定の動作を設定できます。

組織全体でサードパーティ製アプリやカスタムアプリの利用を制限する場合には、以下の手順で設定を行います。

設定手順
  1. Teams 管理センターにアクセスし、左側のメニューから [Teams のアプリ] > [アプリを管理] を選択します。

  2. 画面右上にある [アクション] > [組織全体のアプリ管理] セクションで、以下の項目を設定します。

    設定項目 説明
    Microsoftアプリ オンに設定すると既定でMicrosoftAppsがすべてのユーザーに割り当てられます。
    サードパーティ製アプリの許可 組織でサードパーティ製アプリの使用を許可するかどうかを設定します。
    カスタムアプリの許可 自社開発のカスタムアプリの使用を許可するかどうかを設定します。また、ユーザーがカスタムアプリをアップロードできるかどうかを設定します。
    ユーザー要求の構成 ブロックされたアプリへのアクセスを要求する際にユーザーに表示されるメッセージなどを設定できます。

アプリのブロックと許可

概要

アプリごとに、組織内での利用を許可するかブロックするかを設定できます。これにより、特定のアプリの使用を制限し、セキュリティリスクを低減します。

また、ブロックされたアプリは、ユーザーのTeamsアプリ一覧から削除され、新規に追加することもできなくなります。

設定手順
  1. Teams 管理センターにアクセスし、左側のメニューから [Teams のアプリ] > [アプリを管理] を選択します。
  2. アプリの一覧が表示されるため、対象のアプリを検索またはリストから選択します。
  3. アプリ名をクリックすると、詳細ページが表示されます。
  4. 画面右上に表示されている [アクション] から [アプリをブロックする] または [アプリのブロック解除] を設定します。
    • [アプリのブロック解除] を選択すると、組織内でアプリの使用が可能になります。
    • [アプリをブロックする] を選択すると、組織内でアプリの使用が禁止されます。
    • ※ アプリがブロックされている場合、画面上部に「このアプリはブロックされています。....」と表示されます。
  5. 設定内容は自動で保存され、画面上部に「変更内容が保存されました。」と表示されます。

アクセス許可の設定

概要

アプリごとに、特定のユーザーやグループに対してのみ利用を許可することができます。これにより、機密性の高いアプリや特定の部署のみが必要とするアプリの利用を制限できます。

設定手順
  1. Teams 管理センターにアクセスし、左側のメニューから [Teams のアプリ] > [アプリを管理] を選択します。
  2. アプリの一覧が表示されるため、対象のアプリを検索またはリストから選択します。
  3. アプリの詳細ページで [ユーザーとグループ] タブを選択し、[状態の編集] から以下のいずれかを選択します。

    設定値 利用可能範囲
    全員 組織内のユーザー、ゲスト、外部ユーザーを含む、すべてのユーザーがインストールして使用できます。
    特定のユーザーまたはグループ 選択されたユーザーまたはグループのみがアプリをインストールして使用できます。
    該当者なし どのユーザーもアプリをインストールまたは使用することはできません。
  4. 特定のユーザーまたはグループを選択した場合は、[ユーザーまたはグループを検索] からアクセスを許可するユーザーやグループを検索して追加します。

  5. 必要なユーザーやグループを追加したら、[適応] をクリックします。

アプリに関する情報の確認

概要

各アプリの詳細情報や利用状況、対応するプラットフォームなどを確認できます。これにより、適切なアプリ管理とユーザーサポートが可能になります。

確認手順
  1. Teams 管理センターにアクセスし、左側のメニューから [Teams のアプリ] > [アプリを管理] を選択します。
  2. アプリの一覧が表示されるため、対象のアプリを検索またはリストから選択します。
  3. アプリの詳細ページで、以下の情報を確認できます。

    設定項目 説明
    全般情報 アプリ名、カテゴリ、サポート対象のプラットフォーム、活用範囲、アプリIDなどを確認できます。
    プライバシー 各アプリのプライバシーポリシーのURLからアプリのプライバシーを確認できます。
    アプリの使用条件 各アプリの使用条件のURLから使用条件を確認できます。

    また、[アクセス許可] タブからアプリを利用するのに必要なアクセス許可の一覧を確認・ダウンロードできます。

運用のポイント

  1. グループ管理の活用:
    • アクセス許可を設定する際、個々のユーザーではなくグループを活用することで、管理効率を向上できます。
    • 部署やプロジェクトごとのグループを作成し、それらに対してアプリを割り当てると、メンバー変更時の手間が削減されます。
  2. アクセス許可対象の確認:
    • 従来のアクセス許可ポリシーから移行する際、どのアプリにどのグループを割り当てるといった事前確認が必要です。

Teams、Outlook、およびMicrosoft 365アプリ間の統一アプリ管理

今後、アプリの管理を効率化するために Teams、Outlook、およびMicrosoft 365アプリ間で統一したアプリ管理が展開される予定です。

これまでMicrosoft 365管理センターでの変更は、OutlookやMicrosoft 365アプリにのみ影響し、Teams管理センターでの変更はTeamsにのみ影響していました。

そのため、各プラットフォームに別々の管理が必要となり一貫性の維持が困難でした。

アプリ間の統一アプリ管理による変更点を以下に記載します。

変更点 変更内容
アプリカタログの強化 各アプリがどのプラットフォーム(Teams、Outlook、またはMicrosoft365アプリ)で利用可能であるかを表示します。
組織全体の設定 アプリの利用可能性のデフォルト設定がTeams、Outlook、Microsoft365アプリに適用されるようになります。
アプリのインストール Microsoft365管理センターから展開したアプリは、そのアプリが動作するすべてのプラットフォームに自動的にインストールされます。
アプリの可用性 アプリの可用性の管理は、アプリが動作するすべてのプラットフォームに適用されます。これにより、一貫した可用性設定を維持できます。
アプリのブロック/ブロック解除 アプリのブロックまたはブロック解除は、アプリが動作するすべてのプラットフォームに適用されます。
既存のアプリ設定の統合 Microsoft365管理センターとTeams管理センターの既定のアプリ設定は統一されます。これにより、アプリ設定の一貫性と整合性が保たれます。

参考情報: Microsoft Teams 管理センターで、Teams アプリの組織向けアプリを管理します。 - Microsoft Teams | Microsoft Learn

まとめ

Microsoft Teamsにおけるアプリの管理方法がアプリ中心の管理に変更されたことで、アプリごとにアクセス許可やアプリのブロックなどの設定を見直す必要が出てきました。

これを機に組織内のアプリ設定を確認する際、本記事が参考になれば幸いです。

今回ご紹介した内容についてご不明点がございましたら、<#LSB20250418>を添えてLive Supportへお問い合わせくださいますようお願いいたします。

※Live Support for Office 365をご契約いただいているお客様のみお問い合わせいただくことが可能ですのでご了承ください

PR:マイクロソフト製品専門のエンジニアがお客さまの要望に合わせて柔軟かつ幅広く支援するタイムチャージ制サポートサービスのご紹介

JBSサービス"Live Support"は、豊富な構築実績に基づき、各マイクロソフト製品専門のエンジニアがお客さまの要望に合わせて柔軟かつ幅広く支援するタイムチャージ制のサポートサービスです。

情報システム部のお客様向けに、Microsoft 365 の運用で直面する課題に対し、問い合わせ対応の形で技術的なご支援をしております。ただお問い合わせに一問一答形式で回答するだけでなく、Teams会議を通じての技術相談や活用に関するアドバイスなど、柔軟にご利用いただけます。

Live Supportについてご興味がございましたら、下記ページよりお問い合わせください。

Live Support|JBS 日本ビジネスシステムズ株式会社

執筆担当者プロフィール
原嶋 航大

原嶋 航大(日本ビジネスシステムズ株式会社)

テクニカルサポートセンターに所属。 Microsoft 365、特にOffice 365 E3ライセンスで提供されている製品を中心に日々勉強しています。

担当記事一覧