【Microsoft×生成AI連載】寺澤です。今回はAgent Builderを使用してみました。
※ この記事の情報は11/29時点のものです。
「なんでもCopilot」のAdvent Calendar 12/11分の投稿となります。
これまでの連載
これまでの連載記事一覧はこちらの記事にまとめておりますので、過去の連載を確認されたい方はこちらの記事をご参照ください。
Agent BuilderのCopilot紹介
Agent Builderとは、宣言型エージェントを構築するために使用するインターフェイスのことを指します。
利用可能場所
Agent Builderは下記で利用可能です。
- microsoft365.com/chat
- office.com/chat
- Microsoft Teams デスクトップと Web クライアント
参照:エージェント ビルダー Copilot Studio使用してエージェントを構築する | Microsoft Learn
機能
Agent Builderは、宣言型エージェントを自然言語、または手動で構築するためのインターフェースを提供します。
宣言型エージェントとは独自のCopilotのことを指し、Microsoft 365 Copilotをカスタマイズするための指示、アクション、ナレッジを宣言することで作成されるものです。
そのため、Agent Builderを使用すると簡単に、ナレッジに指定したでデータをもとに回答するCopilotを作成することができます。
本記事では、Microsoft Teams デスクトップ アプリでの宣言型エージェントの作成を行います。
参照:Microsoft 365 Copilotの宣言型エージェント | Microsoft Learn
エージェントの作成/共有
作成する
Microsoft Teams デスクトップ アプリを起動し、Copilotボタンを押します。
この時、画面上部で「職場」を選択すると、画面右に「エージェント」の項目があること確認してください(本記事「注意点」の※1を参照)。
「エージェントの作成」を押し、表示される画面で設定方法を選択します。
- 自然言語で設定する場合:説明
- 手動で設定する場合:構成
今回は「説明」を選択して設定します。
質問に対して作成したいものに沿うように回答します。緑枠が質問、赤枠が私が入力した回答です。
回答した内容に従って自動で設定され、画面右側に現在の設定を反映したエージェントが表示されます。自動で設定される項目は「構成」内で確認できます。
自然言語での設定が完了後、「構成」を押します。「構成」には下記のフィールドがあります。「説明」で設定をした場合、赤字のフィールドが設定されています。
フィールド | 説明 |
---|---|
名前 | エージェントの名前です。 一意なものを使用し、30 文字の文字制限があります。 |
アイコン | エージェントを表す画像を手動でアップロードします。
|
説明 | 説明は、大規模言語モデル (LLM) が特定のタスクまたは状況に対してエージェントを識別して使用するのに役立ちます。 可能な限り短く、正確でシンプルにします。 また、アプリ カタログで使用するためにアプリ ファイルにも表示されます。 文字数制限は1,000 文字です。 |
指示 | Microsoft 365 Copilotの機能を拡張するために使用する LLM に対する具体的な指示です。 エージェントのタスクや完了方法など、エージェントの動作を指示します。 [説明] タブを使用している場合は、自動生成されます。 文字数制限は 8,000 文字です。 |
ナレッジ | 最大 20 個のナレッジ ソース (SharePoint サイト、フォルダー、ファイルを含む) 、WebまたはMicrosoft Graph コネクタ(本記事「注意点」の※2を参照)を指定できます。 ※WebのパブリックURLは指定できません。 |
アクション(近日公開) | 特定のアクションと機能でエージェントを強化します。 |
スターター プロンプト | スターター プロンプトは、他のユーザーがエージェントによって一般的にサポートされるシナリオを理解するのに役立ちます。 各スターター プロンプトには、名前と説明が付いています。 スターター プロンプトの最小数はありません。最大6個作成できます。 |
引用元:Copilot Studio エージェント ビルダーを使用してエージェントをビルドする > エージェントを構成する
「構築」に設定された値を確認し、必要に応じて修正します。
ナレッジの「SharePoint」は、回答時に参照して欲しいファイルが保存されているSharePointサイト、フォルダ、ファイルを入力します(本記事「注意点」の※3を参照)。
ナレッジの「Webコンテンツ」のON/OFFは、インターネット上から最新の情報を取得したい場合はONに設定します。今回はインターネット上の情報は必要ないので、OFFに設定しました。
「スタータープロンプト」は、エージェント起動時に最初に表示される項目です(画面右の「データーソースを元に回答」「データソースの検索」等のプロンプトのことです)。「+ スタータープロンプトを追加する」を押すと、追加することができます。
フィールド | 説明 |
---|---|
タイトル | このプロンプトの名前です。 |
メッセージ | このプロンプトをクリックした際に入力される文字列です。 |
「構成」の内容に問題がない場合は、画面右で実際に質問をして、回答が返ってくることを確認します。
回答に問題がない場合は、画面右上の「作成」を押します。
作成が完了すると下記の画面が表示されるため「エージェントに移動する」を押します。共有設定を変更するまでは、自分のみがこのエージェントを使用できます。
作成したエージェントは「エージェント」内に表示されます。作成したエージェントをクリックし質問をすると、設定したナレッジに従って回答を返してくれます。
以上で、作成完了です。
参照:Copilot Studio エージェント ビルダーを使用してエージェントをビルドする | Microsoft Learn
共有する
作成したエージェントを別の人に共有する場合、リンクを使用して共有することが可能です。
Microsoft Teams デスクトップ アプリを起動し、Copilotボタンを押します。
「エージェントの作成」を押し表示される画面で「自分のCopilot エージェント」を押し、「エージェントをすべて表示する」を選択します。
共有したいエージェントの共有ボタン押します。
表示されるウィンドウで共有方法を選択します(本記事「注意点」の※4を参照)。保存をすると、リンクが表示されます。
共有オプション | 説明 |
---|---|
organizationのすべてのユーザー | テナント内のだれでも、共有リンクを使用してエージェントを使用できます。 |
セキュリティ グループを経由する組織内の特定のユーザー | 特定のユーザー グループは、共有リンクを使用してエージェントを使用できます。 これらのユーザー グループは、テナントの Microsoft ディレクトリ内のセキュリティ グループを使用して指定する必要があります。 |
自分のみ | エージェントを使用できるのは、エージェントの作成者だけです。 共有リンクを他のユーザーが使用することはできません。 この共有オプションは既定で選択されています。 |
引用元:エージェント ビルダー エージェントの発行と管理Copilot Studio > エージェントを共有する > 共有オプション
表示されたリンクを共有された人がクリックすると、その人のTeamsにエージェントを追加するかの確認画面が表示されます。確認画面で「追加」を押すと、エージェントが追加できます。
以上で共有は完了です。
参照:エージェント ビルダー エージェントの発行と管理Copilot Studio | Microsoft Learn
利用シーンとメリット、注意点
利用シーン
Agent Builderは例として下記のシーンで利用可能です。
- 自部門のナレッジ エージェント
- 従業員が過去に作成した資料、ナレッジについてのエージェントを作成し、現在の業務で困った際に質問することで、素早く情報を検索し、業務にそのナレッジを使用することができます。
- 自社製品回答 エージェント
- 営業担当者が自社の製品についてのエージェントを作成し、お客様からの質問に対して素早く回答を用意することができます。
- 社内QA エージェント
- 社内システムの使い方や過去のQAについてのエージェントを作成し社内に公開することで、問い合わせ回数の減少や情報検索の時間削減につながります。
メリット
Agent Builderでエージェントを作成することで業務の「効率化」にメリットが考えられます。
過去に使用したファイルやナレッジ等をどこに保存したか分からなくなった場合、探すのに時間がかかることがあります。
その際に、エージェントを使用することで、対象のナレッジをすぐに見つけることができ、短縮した時間を別の作業に充てることができます。
また、社内システム等で問い合わせが多い場合、エージェントを使用することで、回答者目線では問い合わせ件数の削減、質問者目線では問い合わせの必要や過去QA確認時間の削減につながります。
注意点
※1 Microsoft 365管理者センターでCopilot エージェントを利用できるユーザーが制限されている場合、表示されない可能性があります。
統合アプリで Copilot エージェントを管理する - Microsoft 365 admin | Microsoft Learn
※2 ナレッジでMicrosoft Graph コネクタは、Microsoft 365管理センターでテナントにデータソースを取り込む設定をしている場合のみ表示されます。設定がされている場合は、ナレッジのWebコンテンツの下に対象の項目が表示されます。
参照:Copilot Studio エージェント ビルダーを使用してエージェントをビルドする | Microsoft Learn
※3 ナレッジには特定のSharePointサイト、ファイル、フォルダを指定することができます。サポートされているファイルは下記の通りです。
ファイルの種類 | ファイル サイズの制限 |
---|---|
.docx | 512 MB |
.doc | 150 MB |
512 MB | |
.txt | 150 MB |
.pptx | 512 MB |
.ppt | 150 MB |
.html | 150 MB |
また下記の注意点もあります。
- 制限付き SharePoint Searchが有効な場合、SharePointをナレッジとして使用できません。
- SharePointサイトのURLは、2階層までが有効です。
- モダンページのみがサポートされています。
- SharePointのクラシック aspxページのコンテンツは回答の生成には使用されません。
参照:Copilot Studio エージェント ビルダーを使用してエージェントをビルドする | Microsoft Learn
※4 エージェントは、共有されたユーザーがアクセスできるナレッジ ソースからの情報のみを返すことができます。Agent Builderで作成したエージェントに SharePoint ファイルとフォルダーのナレッジ ソースが含まれている場合は、セキュリティ グループを使用して組織内の特定のユーザーに共有すると、自動でファイルをユーザーに共有し回答を返すことができるように設定してくれます(※共有されたユーザーにアクセス権を自動で付与します)。
参照:エージェント ビルダー エージェントの発行と管理Copilot Studio | Microsoft Learn
まとめ
今回はAgent Builderとエージェントについて記載しました。今までこのようなRAG構成を作るには専門的な知識が必要でしたが、Agent Builderを使用することで簡単、かつ直感的に作成することができました。
実際に使用してみて、過去に作成したファイルや部門内のナレッジ等、必要な情報を探す際にかかっていた時間を大幅に削減できたと感じました。
おまけ(BizChatによる本記事の要約)
本記事のここまでの執筆内容をBizChatに転記し、記事内容の要約をしてもらいました。
この記事では、MicrosoftのAgent Builderを使用して宣言型エージェントを作成する方法を紹介しています。以下は要約です:
Agent Builderの紹介:
- Agent Builderは、自然言語や手動で宣言型エージェントを構築するためのインターフェースです。
- Microsoft 365 Copilotをカスタマイズするための指示、アクション、ナレッジを宣言することでエージェントを作成します。
利用可能場所:
- Microsoft 365、Office.com、Microsoft TeamsのデスクトップとWebクライアントで利用可能です。
エージェントの作成/共有:
- 作成: Microsoft TeamsでCopilotボタンを押し、エージェントの設定を自然言語または手動で行います。設定が完了したら「構築」を押してエージェントを作成します。
- 共有: 作成したエージェントはリンクを使用して他のユーザーと共有できます。共有オプションには、組織内の全ユーザー、特定のユーザーグループ、自分のみの3つがあります。
利用シーンとメリット、注意点:
- 利用シーン: 自部門のナレッジエージェント、自社製品回答エージェント、社内QAエージェントなど。
- メリット: 業務の効率化、時間短縮、問い合わせの削減など。
- 注意点: Microsoft 365管理者センターでの設定が必要な場合があります。
まとめ:
- Agent Builderを使用することで、専門的な知識がなくても簡単にエージェントを作成でき、業務効率が向上します。