【Microsoft×生成AI連載】【やってみた】障害やエラーの報告をCopilotに任せてみた

【Microsoft×生成AI連載】担当の満江です!

私からはCopilot for Microsoft 365 × Teamsの一つの機能についてご紹介したいと思います。

これまでの連載

これまでの連載記事一覧はこちらの記事まとめておりますので、過去の連載を確認されたい方はこちらの記事をご参照ください。

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今回紹介するシナリオ

参画しているプロジェクト内で障害やエラーが発生すると、関係者のグループチャット上やチャネルで活発に議論が行われる事があります。すぐには解消しない課題となった場合、途中経過をお客さまや上司へ報告する機会も多いと思います。

ですが、対応に追われている中で、説明報告用に文章を作成するのは大変です。

そこで、報告の文章作成をCopilotに任せてみました。

背景と目的

お客さま環境で発生する障害は、誰であっても遭遇したくないものです。その一方で、SIerでエンジニアとして勤めている以上、それは避けられないものでもあります。

Teams上のチャットやチャネルのやりとりから、障害およびエラーの経過報告をまとめる業務を簡略化できれば、障害発生時のメンバーや上長の負荷を少しでも解消できるのではと思いました。

プロンプトに任せる処理

大きく二つに分かれます。

  • チャネルやグループチャットの内容を要約する
  • 4つの項目に分類して、それらを文字数制限以内にまとめる

プロンプトの紹介

以下のプロンプトを、チャネルやグループチャットのCopilotに貼り付けます。

あなたは障害対応を行っているエンジニアです。

障害についてお客様に報告を行う必要があります。
本チャット/チャネルでやり取りが行われている「<エラーの内容>」について、報告をまとめてください。
報告については下記「前提条件」を必ず守ってください。

前提条件:
・報告内容については、「1.概要」「2.詳細」「3.原因」「4.対応」という4項目に分ける必要があります。
・各項目については、最大250文字以内でまとめ、4項目合計で1000文字以内でまとめる必要があります。

使い方

チャットの場合

  1. プロンプトの「<エラーの内容>」の箇所を具体的なサービス名、事象に書き換えておく
  2. Teamsのチャット、またはグループチャットを開く
  3. 画面右上の「Copilotを開く」ボタンをクリックする
  4. 「このチャットについて質問する」の箇所に、プロンプトをコピーしてペーストする
  5. 「送信」ボタンをクリックする
  6. 出力された文章を確認して、文章を整形する

チャネルの場合

  1. プロンプトの「<エラーの内容>」の箇所を具体的なサービス名、事象に書き換えておく
  2. Teamsのチャネルを開く
  3. チャネル内で障害、エラーのやり取りを行っている投稿を探す
  4. 該当する投稿の一番上の投稿にマウスカーソルを動かし、「・・・」 >「 この会話のハイライト」をクリックする
  5. プロンプトをコピーしてペーストする
  6. 「送信」ボタンをクリックする
  7. 出力された文章を確認して、文章を整形する

実際の動作

既定で表示されるプロンプト「この会話のハイライト」を使用して出力した場合と、本プロンプトを使用した場合の差異を以下に示します。

まず、既定で表示されるプロンプト「この会話のハイライト」を使用して出力した結果の例です。

既定の命令「この会話のハイライト」を使って出力した場合

続いて、事前に用意したプロンプトを使った場合の結果例です。

本プロンプトを使って出力した場合


ご覧のように、文章のまとめ方に少し差異が出ていることが分かると思います。

今回ご紹介した投稿においては、検証環境のエラー共有を目的とした投稿であったため、チャネルで発言するメンバーが少なく、差異が少なく見えてしまっています。

ですが、実際の業務では多くのメンバーが発言し、情報が錯綜しがちになります。このようなケースでは、スクリプトを使用した場合としない場合で大きく結果が変わります。

工夫した点

障害対応時という状況を想定しており、少しでも素早く内容を把握できるようにするための工夫をしました。

具体的には、出力された内容を一目みたときの視認性を高めるべく、項目を分けて出力されるようにプロンプトを記載しました。*1

また、各項目の最大文字数を指定することで、冗長な文章になってしまうことを防いでいます。

おわりに

ここまでご覧いただきありがとうございます。

このプロンプトを用いて、皆さんの障害やエラー対応が、少しでも楽なものになれば幸いです。

*1:実際に検証したところ、Copilotにただチャットのやり取りをまとめてもらうだけでは、Copilotによって出力された内容を人間が見たときにすぐ理解することが難しいことがありました。

執筆担当者プロフィール
満江 陵太

満江 陵太(日本ビジネスシステムズ株式会社)

Azureのインフラ、最近はOpenAI関連を扱う部署に所属しています。週2回剣道であざをよく作ります。

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