Exchange Onlineにおける削除済みアイテムのデータ保持の考え方と訴訟ホールドの有効化タイミング

訴訟ホールドとは、ユーザーが送受信したメールを無期限で管理側で保持することができる機能です。一般的にこの機能は有効にすることが多いですが、有効にするタイミングが重要になります。

今回は、Exchange Onlineで訴訟ホールドを有効にするタイミングと削除済みアイテムのデータ保持の考え方についてご説明します。

ユーザーがメールアイテムを削除した際の動き

ユーザーが Outlook on the web や Outlook クライアントを利用してメールアイテムを削除し、さらに「削除済みアイテム」フォルダーからも削除した場合、「回復可能なアイテム」フォルダーという場所に移動します。

そして、さらに「回復可能なアイテム」フォルダーからアイテムを削除しても、サーバー上からアイテムは削除されず、回復可能なアイテムフォルダーの別フォルダーに移動する動作になります。

 

上図の通り、ユーザーが「回復可能なアイテム」フォルダーから削除した後に移動する別フォルダーには、ユーザーはアクセスができません。そのフォルダーでアイテムが保持される期間が既定で14日になっています。

そのため、メールボックスが作成されてから 14 日以内に訴訟ホールドを有効化した場合、全てのアイテムを保持対象にすることが可能であり、アイテムが消失することはありあません。

もし14日経過後に訴訟ホールドを有効にした場合は、回復可能なアイテムの別フォルダーへ移動し14日以上経過したアイテムは、削除されてしまう動きとなります。

詳細なアイテムの流れ

1. ユーザーが削除済みアイテムフォルダーからアイテムを削除すると回復可能なアイテムフォルダーの Deletions という領域に移動します。​

2. ユーザーが Outlook on the web や Outlookクライアントを利用して Deletions からアイテムを削除した場合、Purges という領域に移動して 14 日間保持されます。

3. 訴訟ホールドを有効化していない場合は、 Purges に移動してから 14 日経過するとサーバー上から完全に削除されますが、14 日以内に訴訟ホールドを有効化することで引き続き Purges で保持することが可能です。​

※ Purges はユーザーからアクセスできないフォルダーになります。​

 

参照元(Exchange Online の回復可能なアイテム フォルダー | Microsoft Learn)

さいごに

以上を踏まえ、14日以内に訴訟ホールドを有効にすれば問題ないので、メールを削除したくない場合はその期間内に有効にするようにしてください。

最後までお読みいただきありがとうございます。

執筆担当者プロフィール
岩瀬 美季

岩瀬 美季(日本ビジネスシステムズ株式会社)

ITエンジニア歴8年 主にMicrosoft 365関連に携わっています。

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