前回、Oracle Enterprise Manager Cloud Control (OEM CC) の構築について紹介しましたが、今回は OEM CC の運用、監視の機能を紹介します。
前回の記事はこちら blog.jbs.co.jp
検証環境
前回の記事で構築した環境を利用します。
役割 | ホスト名 | データベース名 | プラガブルデータベース |
---|---|---|---|
OEM CC | oracleem.local | oraemdb.local | - |
管理対象DB | ora19c-rhel8 | orcl | ORAPDB01 |
ライセンスの確認
OEM CC のライセンスは監視対象の Oracle製品のライセンスによります。監視対象のライセンスを所有していれば、 OEM CC のために新たにライセンスを購入する必要はありません。
OEM CC で Tuning Pack などの Oracle Database Enterprise Edition の有償パックの機能を管理する場合、管理対象の有償パックライセンスを購入する必要があります。
OEM の機能と必要な有償パックライセンスは Oracle の FAQサイトで確認できます。
Oracle Enterprise Managerの有償Pack製品のライセンスについて詳しく教えてください。
この FAQ で確認できる資料によると、 Oracle Database Standard Edition でも利用できる機能は以下になります。
- 複数データベースの統合管理
- データベースの起動 / 停止
- 可用性監視
- 初期化パラメータの管理
- スキーマ (表 / インデックス / ビュー / プロシージャ等) の管理
- 記憶域 (制御ファイル/ 表領域 / データファイル / UNDO等) の管理
- データベース・ユーザー / ロール / プロファイルの管理
- セグメント・アドバイザ
- メモリー・アドバイザ
- スケジューラ・セントラル (Oracle Scheduler、自動メンテナンス・タスク、含むEnterprise Managerジョブ)
- バックアップ / リカバリ
- ハードウェア・リソース割当ての制御 (データベース・リソース・マネージャー)
- パッチ推奨 (My Oracle Supportパッチ推奨の取得)
- フレキシブルなデータベース・アクセス制御
Oracle Standard Edition を使用している場合、有償パックへのアクセスを無効にする必要があります。
「設定」タブから「Management Pack」-「Management Pack のアクセス権」をクリックしてアクセス権を無効にします。
データベースの起動・停止
ここでは、ホスト ora19c-rhel8 の起動中のデータベース orcl を停止して、起動する手順を試します。
「ターゲット」タブから「データベース」をクリックしてデータベースの一覧を開き orcl をクリックします。
プラガブルデータベースのクローズ
「Oracleデータベース」メニューから「制御」-「プラガブル・データベースのオープン・クローズ」をクリックします。
停止するデータベースを選択して「閉じる」をクリックすると、プラガブルデータベースがクローズされます。
コンテナデータベースの停止
「Oracleデータベース」メニューから「制御」-「起動/停止」をクリックします。
OSユーザーとDBユーザーの資格認証を行い、停止を実行します。
コンテナデータベースの起動
停止と同様に「Oracleデータベース」メニューから「制御」-「起動/停止」をクリックします。
OSユーザーとDBユーザーの資格認証を行い、起動を実行します。
プラガブルデータベースのオープン
停止と同様に「Oracleデータベース」メニューから「制御」-「プラガブル・データベースのオープン・クローズ」をクリックします。
起動するデータベースを選択して「開く」をクリックするとプラガブルデータベースがオープンされます。
データベースの管理
初期化パラメータの管理
「管理」メニューから「初期化パラメータ」をクリックして初期化パラメータの一覧を表示します。
値を修正して「適用」をクリックすると反映されます。動的に変更できない値は「SPFile」タブで値を修正し、DBを再起動すると反映されます。
スキーマの管理
「スキーマ」メニューから「データベースオブジェクト」-「表」をクリックすると表の検索画面が表示されます。
条件を入力して検索するとテーブルの一覧が表示されます。
表名をクリックすると表の定義情報が表示されます。
表に関するアクションを実行したり、「編集」をクリックすることで。定義を変更できます。
表だけでなく索引、ビュー、などのデータベースオブジェクトについても定義を変更できます。
記憶域の管理
「管理」メニューから「記憶域」-「データファイル」をクリックすると、データファイルの一覧が表示されます。
データファイルの追加、サイズ変更、自動拡張の設定を行うことができます。
「管理」メニューから「記憶域」-「表領域」をクリックすると表領域の一覧を確認できます。
表領域の作成、データファイルの追加、表領域の設定を行うことができます。
ユーザーの管理
「スキーマ」メニューから「ユーザー」をクリックすると、ユーザー・ロール・プロファイルの一覧の確認、設定変更ができます。
バックアップ
データベースのバックアップも OEM CC から設定することが可能です。
「可用性」メニューの「バックアップとリカバリ」-「バックアップのスケジュール...」をクリックして、バックアップスケジュールを設定します。
ここでは「推奨バックアップのスケジュール」を設定します。
バックアップのメディアに「ディスク」を指定します。
推奨バックアップでは設定が事前に定義されています。
バックアップの実行時刻を指定します。
設定内容を確認します。実行される RMAN スクリプトが生成されています。
ジョブが登録され指定した時刻にバックアップが開始されます。
おわりに
今回は OEM CC の機能の一部を実機で検証しました。
通常はコマンドで実行するデータベースの運用も、 OEM CC を使えばブラウザ上の操作でできてしまいます。
複数の Oracle Database を管理するのであれば OEM CC を構築・運用してみる価値があるのではないでしょうか。