Microsoft Copilotの解説連載7日目となります。
本投稿の概要
本投稿では以下の内容を理解いただくことを目的としております。
- Microsoft 365 Copilotの機能拡張パターンを知る
- Microsoft 365 Copilotの機能拡張の内容を理解する
- Microsoft 365 Copilotの機能拡張パターンごとの違いを理解する
機能拡張パターン
まずはMicrosoft 365 Copilotの機能拡張とはどのようなパターンがあるのかを紹介いたします。
拡張パターン
大きくは以下の2パターンとなります。
- プラグイン
- Graphコネクタ
それでは、2つの意味合いをまず理解していただくために、2つの立ち位置を理解していきましょう。
以前の記事で、Microsoft 365 Copilotの構成要素は大きく3つあることを解説いたしました。*1
拡張パターンも、この構成要素を意識すると理解することができます。
関係性としては以下の通りです。
- プラグイン=Microsoft 365 Apps
- Graphコネクタ=Microsoft Graph
Copilot Stackをもとにしたパターン整理
この図は、Copilot Stackと呼ばれるCopilotの構成要素を体系化したものです。これを利用して、さらに理解を深めていきましょう。
Copilot Stackは、主に開発をする際に意識する考え方ですので、利用する際に意識をしないといけないわけではありません。ただ、これをシステムの一般的な構成要素と合わせるとさらに理解が進みます。
一般的にはフロントエンド、中間層、バックエンドというようにアプリを分類する事がありますが、それと機能拡張パターンを照らし合わせていきます。
- フロントエンド=プラグイン
- 中間層=Graphコネクタ
- バックエンド=機能拡張なし
フロントエンドはユーザーが直接触る部分となるため、プラグイン=Microsoft 365 Appsの拡張となります。
中間層は組織データを取得する際の情報取得元を外部サービスまで拡張するため、Graphコネクタ=情報取得元の拡張となります。
拡張パターンまとめ
まとめると以下の考えです。
- プラグイン=Microsoft 365 Apps拡張=ユーザーUIの拡張
- Graphコネクタ=Microsoft Graph拡張=情報取得元拡張
拡張内容解説
パターンはご理解いただけたかと思いますので、次は具体的な内容について触れていきます。
プラグインについて
発表済みのサードパーティー製プラグイン
Microsoft 365 Copilot用のプラグインについては、すでに多数の企業から提供される予定が発表されております。
プラグインの作成パターン
サードパーティー製のプラグインを使うだけではなく、自分たちで作成する事も可能です。
プラグインは以下の3パターンがあります。
- Teamsメッセージ拡張機能
- Power Platformコネクタ
- ChatGPTプラグイン
ChatGPTプラグインはOpenAIのプラグインエコシステムとなり、オープンなプラグイン規格を採用したプラットフォームとなります。つまり、ChatGPTで使えるプラグインが使えるということになります。
また、Teamsメッセージ拡張機能とPower Platformコネクタがすでに利用可能なパターンであるのに対し、ChatGPTプラグインは2023年5月にMicrosoft Build 2023で発表された新しいプラグイン作成パターンとなります。
プラグインの動作
Copilotがユーザーの意図を理解してプラグインを選択してくれるため、ユーザーはプラグインを意識することなく利用が可能です。
大きく以下の流れで動作します。
- ユーザーによる入力
- 利用可能なプラグインをCopilotが確認
- ユーザーの意図を理解し、適切なプラグインをCopilotが選択
- プラグインにより処理実行、結果出力
実際の動作を見て、上記の動作を理解していきましょう。
こちらではユーザーは2つのチャットをしております。
- Find the travel itinerary that Casey shared in email earlier this week.
⇒ケイシーが今週初めにメールで共有した旅程を探して - Can you book the same itinerary for me?
⇒同じ旅程を予約してもらえますか?
ユーザーはこの2つのテキストしか入力していないですが、Copilotが内容を理解し、Cytric Easyという出張管理のプラグインを選択して動作してくれています。
Graphコネクタについて
Graphコネクタ概要
続いてGraphコネクタについて見ていきましょう。
まずはGraphコネクタについてですが、簡単に言うと、外部サービスからデータを受信するためのコネクタです。
詳細は別記事でまとまっていますので、併せてご覧ください。
Microsoft Graphの概要と簡単な使い方 - JBS Tech Blog
Graphコネクタを利用すると、BoxやService Nowなどの外部サービスやSQLなどのデータベースへの接続する事も可能です。
Graphコネクタの一覧は下記のサイトをご覧ください。
Microsoft Search - Intelligent search for the modern workplace
Graphコネクタの動作
Graphコネクタを利用する際は、Semantic Indexが利用されます。*2
Semantic IndexはGraphを通じてコンテンツを取得する際に文脈理解をしてくれる機能です。
つまり、Microsoft Graphを通じて組織データを取得する際は、Microsoft 365テナント内のデータであろうが、外部サービスであろうが、文脈理解をした上で情報取得をしてくれます。この点がプラグインとは大きく異なる点です。
プラグインとGraphコネクタの違いまとめ
プラグインとGraphコネクタの違いは大きく以下の内容にまとめられます。
観点 | プラグイン | Graphコネクタ |
---|---|---|
拡張対象 | Microsoft 365 Apps (UIの拡張) | Graph (情報取得元の拡張) |
Semantic Indexの利用 | - | ○ |
Microsoft 365 セキュリティ、ガバナンス、プライバシー | ○ | ○ |
責任あるAIの適用 | ○ | ○ |
次回予告
次回は”【動作を見る】Microsoft 365 Copilotのデモ”となります。楽しみにお待ち下さい!
*1:Microsoft Copilot連載4日目~【機能を理解する】Microsoft 365 Copilotの動作基本 - JBS Tech Blog
*2:Microsoft Copilot連載4日目~【機能を理解する】Microsoft 365 Copilotの動作基本 - JBS Tech Blog
堤 裕一(日本ビジネスシステムズ株式会社)
Microsoft 365をメインに活動。FY23 Microsoft Top Partner Engineer Award - Modern Work受賞。今はCopilotにわくわく。
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