Microsoft Copilotの解説連載3日目となります。
本投稿の概要
本投稿では以下の内容を理解いただくことを目的としております。
- ChatGPTとの違いを理解する
- Copilotが生成する回答に対するMicrosoftの考え方を理解する
ChatGPTとの違い
今回はChatGPTとBing Chat Enterprise、Microsoft 365 Copilotを比較して、何が異なるのかを整理していきます。
ChatGPTとは何か
ChatGPTは皆さんご存知かと思いますが、今回はMicrosoft 365 Copilotを利用してChatGPTとはまず何かを教えてもらいましょう。
比較観点
今回はChatGPTとの比較をするにあたり、以下4つの観点で比較を行います。
- 入力
- 処理
- 出力
- 学習
いわゆるコンピュータの処理の仕組みに合わせて考えていきます。さらに各項目を細かく分類し、以下の観点で整理します。
- 入力
- 場所:プロンプト入力場所
- データ形式:インプット可能なデータ形式
- 処理
- LLM:LLMのバージョン
- 参照情報:参照情報の取得元
- 出力
- データ形式:インプット可能なデータ形式
- 学習
- LLMへの反映:LLMへの学習有無
比較結果
処理 | 内容 | ChatGPT | Bing Chat Enterprise | Microsoft 365 Copilot |
---|---|---|---|---|
入力 | 場所 | プラグイン API |
Edge Bing |
Microsoft 365 Apps Edge(Microsoft 365 Chatのみ) API |
データ形式 (プラグインなし) |
テキスト | テキスト |
テキスト ファイル |
|
データ形式 (プラグインあり) |
テキスト ファイル |
テキスト |
テキスト ファイル |
|
処理 | LLM | GPT-3.5(無料) GPT-4(有料) GPT-4v(有料) |
GPT-4 | GPT-4 |
参照情報 (プラグインなし) |
LLM |
LLM インターネット |
LLM 組織データ インターネット |
|
参照情報 (プラグインあり) |
LLM インターネット 外部サービス |
- |
LLM 組織データ インターネット 外部サービス |
|
出力 | データ形式 (プラグインなし) |
テキスト | テキスト |
テキスト ファイル |
データ形式 (プラグインあり) |
テキスト ファイル |
テキスト |
テキスト ファイル |
|
学習 | LLMへの反映 | あり | なし | なし |
Microsoft 365 Copilotの大きなポイント
上記の表の中でMicrosoft 365 Copilotを語る上で大きなポイントとなるのは以下の4つとなります。
- Microsoft 365 Appsで利用が可能
- 組織データの利用が可能
- プラグインなしでもファイル参照が可能
- LLMへの学習には利用されない
Microsoft 365 Appsで利用が可能
まずはこの点が大きく、Microsoft 365 Appsに生成AIが組み込まれていることがMicrosoft 365 Copilotのポイントとなります。
つまり、普段馴染みのあるTeamsやOutlook、Power Pointなどの製品で生成AIが利用できるということです。
組織データの利用が可能
次に組織データの利用が可能ということです。
こちらも非常に大きなポイントで、ChatGPTやBing Chat EnterpriseはWeb検索はできるものの、組織内のデータ(SharePointやExchangeなど)にはアクセスできません。生成AIの処理に組織データを利用できるのがMicrosoft 365 Copilotの大きな強みです。
プラグインなしでもファイル参照が可能
プラグインなしでもファイル参照が可能となります。そのため、標準の利用方法でもデータの入力形式の幅が広いです。
LLMへの学習には利用されない
最後に、LLMの学習データとして利用されない点について触れたいと思います。
業務での利用において、セキュリティは非常に重要な懸念点です。ユーザーが入力した情報や出力結果が他のユーザーに漏れることは許されません。
しかし、Microsoftは明確に、これらのデータを学習に利用しないと明言しています。そのため、安心して業務での利用が可能です。
Copilotの回答結果の著作権
Copilotで出力された画像などの著作権は?
CopilotはMicrosoft 365 Appsが利用できるため、画像などの生成なども可能となります。
PowerPointでスライドを作成すれば、特に自分自身で保持していない画像ファイルが使われるということもあり、著作権の観点で心配されることもあるかと思います。
Microsoftの考え
その答えですが、著作権に対する考えをMicrosoftは「Copilot Copyright Commitment」という形で明確に打ち出しております。
マイクロソフト、お客様向けの Copilot Copyright Commitment を発表 - News Center Japan (microsoft.com)
大きく以下の2点を謳っております。
- MicrosoftはCopilot出力結果の知的財産権の主張なし
- 著作権による問題発生時はMicrosoftが責任を負う
適用対象
ただし、すべてに適用がされるわけではなく、適用条件も示されています。
- 商用サービス(カスタムビルドは除外)のCopilotが適用対象
- 製品組込のコンテンツフィルター等の仕組みの利用が前提
簡単に整理すると、商用利用の製品を標準で利用している限りは安心してよいということです。
カスタムして利用するということをしていく場合は、どのようなカスタムをするべきなのかを考える必要がありそうです。
次回予告
次回は”【機能を理解する】Microsoft 365 Copilotの動作基本”となります。楽しみにお待ち下さい!
堤 裕一(日本ビジネスシステムズ株式会社)
Microsoft 365をメインに活動。FY23 Microsoft Top Partner Engineer Award - Modern Work受賞。今はCopilotにわくわく。
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