Configuration Managerの管理下にあるPC上でMicrosoft 365 Appsの更新チャネルを変更する

Configuration ManagerでMicrosoft 365 Apps (Office アプリ)の更新チャネルを制御している環境下にて、別の更新チャネルへ変更する必要があり、その手順についてまとめました。

前提
事前確認
Office 展開ツール (ODT) を使用して更新プログラムチャネルを変更する
確認
注意点
おわりに
追記：更新チャネルを元に戻す方法

前提

更新チャネルについての前提は以下の通りです。

組織の設定
- 半期エンタープライズチャネル
特定の端末で使いたいチャネル
- Currentチャネル

参考：Microsoft 365 Apps 用更新プログラムチャネルの概要 - Deploy Office | Microsoft Learn

なお、今回は、Configuration Manager側で端末やユーザーごとにチャネルを制御するのではなく、「組織の設定としては半期エンタープライズチャネルで配信された上で、ユーザーがCurrentチャネルに変更する」というシナリオで考えます。

事前確認

任意のOfficeアプリケーションを起動し、現在の更新チャネルを確認します。

Office 展開ツール (ODT) を使用して更新プログラムチャネルを変更する

こちらを参考に進めます。

learn.microsoft.com

ODTのダウンロードと展開

まず、ODTをダウンロードします。

Download Office Deployment Tool from Official Microsoft Download Center

ダウンロードしたファイルを開きます。

ユーザーアカウント制御のポップアップが出たら「はい」をクリックし、ライセンス条項に同意します。

展開先を指定します。今回はC:\Workを指定しました。

ファイルが展開されたことを確認します。

構成ファイルの作成

続いて、構成用のxmlファイルを用意します。今回は、「Office 展開ツール (ODT) を使用して更新プログラムチャネルを変更する」に書かれている例の通りに作ります。

<Configuration> 
        <Updates Channel="Current" />
    </Configuration>

これを、C:\Work\config.xmlとして保存しました。

Office 展開ツールの実行

Windows ターミナルなどを起動し、以下のコマンドを実行します。

 .\setup.exe /configure .\config.xml

実際の実行画面です。

ユーザーアカウント制御のポップアップが出たら「はい」をクリックします。

特にポップアップなどは出ませんので、そのまま次の手順に進みます。

更新の手動実行

公式情報だとタスクスケジューラから"Office Automatic Updates 2.0"を実行する、という手順になるのですが、バックグラウンド処理となり状況が見えないため、今回はこちらを参考に、OfficeC2RClient.exeを直接実行することにました。

参考：Windows 10ミニTips(365) コマンドラインからOffice 365を更新する | マイナビニュース

Windows ターミナルなどを起動し、以下のコマンドを実行します。

cd "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun"
.\OfficeC2RClient.exe /update user displaylevel=True

更新プログラムのダウンロードが始まります。

ダウンロード後、更新に移る際に、Officeアプリケーションが起動したままだと警告が出ますので、指示に従い続行します。

確認

再度、任意のOfficeアプリケーションを起動し、更新チャネルを確認します。

注意点

組織における更新チャネルの設定がグループポリシーによって設定されている場合は、今回紹介した方法は実行できません。

今回のように、Configuration Managerで配信されているようなケースの場合、Office 展開ツールが優先されるため、組織の設定以外のチャネルを利用可能です。

※ ただし、今回のケースでも、実行時にローカルコンピューターの管理者権限は必要になります。

おわりに

長期的な運用で、組織内で更新チャネルを分けるようなケースではConfiguration Manager側で設定してあげたほうが良さそうですが、検証など個別で一時的に必要になるようなケースでは、今回のような方法で回避できるのは便利だと感じました。

なお、実際に設定される際は、社内のITポリシー的に問題ないか確認いただいたうえでご利用ください。

追記：更新チャネルを元に戻す方法

※ 2023/9/11 追記

元の半期エンタープライズチャネルに戻す際は、構成ファイルを下記のように修正し、

<Configuration> 
        <Updates Channel="SemiAnnual" />
    </Configuration>

「Office 展開ツールの実行」と「更新の手動実行」を同様に実施する事で実現可能です。

前提