Exchange Online を設計する際、初心者が最初に直面する壁のひとつが 「アイテム保持ポリシー」 です。
下記の2つが同じ “保持” という言葉を使っているため、混乱を招きやすくなっています。
- Microsoft Purview のアイテム保持ポリシー
- Exchange Onlineのアイテム保持ポリシー(MRM)
本記事では、混乱ポイントを技術者が理解しやすい視点で整理していきます。
- PurviewとExchange Onlineの保持ポリシーは“目的”が異なる
- PurviewとExchange Onlineの保持ポリシーの特徴と利用シナリオ
- PurviewとExchange Onlineの保持ポリシーが競合した場合はどうなるのか
- まとめ
PurviewとExchange Onlineの保持ポリシーは“目的”が異なる
まずは、両者の違いを端的に表した比較表をご覧ください。
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保持ポリシー |
用途 |
対象範囲 |
制御方式 |
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Purview |
組織としてのコンプライアンス対応(法的保持/情報ガバナンス) |
Microsoft 365全体 |
Purviewによるコンテンツ検索・監査・保持 |
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Exchange Online |
メールボックスのライフサイクル管理(運用管理) |
メールボックス内のメール |
メールボックス単位の |
まとめると、以下の通りであり、目的が大きく異なります。
- Purview = 法的・ガバナンス要件を満たすための保持
- Exchange Online = メール運用を整理・自動化するための保持
PurviewとExchange Onlineの保持ポリシーの特徴と利用シナリオ
続いて、各機能の特徴や実際の利用シナリオを表した比較表をご覧ください。
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保持ポリシー |
特徴 |
代表的な利用シナリオ |
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Purview |
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Exchange Online |
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表からもわかるように、Purviewはコンプライアンス領域、Exchange Onlineは運用領域と、適用シーンが明確に分かれています。
この違いを踏まえたうえで設計を進めることで、意図しない削除や保持の不整合を防ぐことができます。
PurviewとExchange Onlineの保持ポリシーが競合した場合はどうなるのか
では、両ポリシーが競合した場合にはどちらが適用されるのでしょうか。
結論として、保持期間や削除の判断はPurviewの保持ポリシーが優先されます。
競合例です。
- Purview:メールを「10年間保持」
- Exchange Online:メールを「2年間で削除」
この例の場合、適用されるのはPurviewの10年間保持です。
Purviewが優先される理由は以下のとおりです。
- Purviewは法的・コンプライアンス上の「削除してはいけない」という強制力を持っているため。
- Exchange Onlineの保持ポリシーはあくまで運用レベルの整理を目的としており、Purviewの保持ロックを上書きできないため。
まとめ
Exchange OnlineとPurviewの保持ポリシーは、どちらも“保持”という言葉を使っているため混同しやすい仕組みですが、目的と役割は明確に異なります。本記事で解説した要点を以下にまとめます。
- Purview と Exchange Online の保持ポリシーは目的が違う
- Purview:コンプライアンス・法的保持・ガバナンスを満たすための仕組み
- Exchange Online:メールボックス運用を整理・自動化するための仕組み
- Purview は Microsoft 365 全体を対象にし、強制力が強い
- Exchange Onlineはメール専用の運用機能
- 両者が競合した場合は Purview が優先
- 設計の考え方
- 削除してはいけない情報の管理 → Purview
- メール運用の自動化 → Exchange Online
この記事が、Purview / Exchange Onlineにおける保持ポリシーの混乱ポイントを整理する一助になれば幸いです。