【Microsoft×生成AI連載】【Agents】Microsoft Copilot Studioのコードインタープリター機能を使ってみた

【Microsoft×生成AI連載】寺澤です。今回は、Microsoft Copilot Studioでコードインタープリター機能を試してみました。

本記事では、Excelファイルを読み取って、ExcelファイルとPDFファイルの出力をします。

※ この記事の情報は2025/10/30時点のものです。

これまでの連載

これまでの連載記事一覧はこちらの記事にまとめておりますので、過去の連載を確認されたい方はこちらの記載をご参照ください。

blog.jbs.co.jp

コードインタープリターの概要

Microsoft Copilot StudioのコードインタープリターはPythonコードの実行やExcel、PDFファイルなどの処理が可能です。

参照:コード インタープリターを使用して Python コードを生成および実行する - Microsoft Copilot Studio | Microsoft Learn

前提条件

コードインタープリターを使用するための条件は下記の通りです。

機能

コードインタープリターを使用すると下記が可能です。

  • Excelファイルの処理
  • WordおよびPowerPointファイルの処理
  • PDFファイルの処理
  • 複雑な数学計算と統計計算
  • データ分析、操作、視覚化

今回はこの中のExcelのファイルの処理とその出力を試してみます。

コードインタープリンターは「プロンプト」に下記の機能を追加します。

  • 出力の種類としてファイルのサポート
  • 入力と出力の種類としてExcelファイルのサポート

またコードインタープリターはMicrosoft Copilot Studioのエージェントのチャットでも使用することができます。

実装

PowerPlatform管理センターでコードインタープリターを有効にする

PowerPlatform管理センター(Power Platform admin center)の[Copilot] > [設定]の「Copilot Studioでのコード生成と実行」を押します。

コードインタープリターを有効にしたい環境を選択して「追加」を押します。

「オン」にチェックを入れて「保存」を押します。

プロンプトでコードインタープリターを実装

Microsoft Copilot Studio(Microsoft Copilot Studio)を開き、[ツール]の「+新しいツール」から「プロンプト」を選択します。

指示の「・・・」の「設定」を押します。

「コードインタープリターを有効化する」を有効にします。

指示に下記を入力します。

あなたはデータ分析エージェントです。
1. インプット:
- Excelファイル:商品の売り上げの日付、商品名、個数、総売上が記載されています
inputfile 

2. 処理:
- Excelファイルでの処理:
- 売上フラグ:
    - 総売上が5,000以上のセルにフラグ
- 個数フラグ
    - 個数が10以上の取引にフラグ
- 上記の満たすフラグに下記の処理を実施:
    - 売上フラグ:該当の総売上列のセルを赤色でハイライト.
    - 個数フラグ:該当の商品列のセルにコメントを追加 (例,  "売上多い").
            
3. サマリを生成:
- 全てのフラグの取引.
- フラグの理由.
        
4. アウトプット:
- ハイライトとコメントが追加されてアップデートされたExcelファイル.
- サマリが記載されたtextファイルとPDFファイル.

上記の[inputfile]は[ファイルまたは画像]の入力を設定しています。プロンプト実行時はファイルをエージェントにアップロードして実行します。

「テスト」を実行して結果を確認します。

「出力」を「ドキュメント/画像」に変更して、生成されたファイルを確認します。

出力されたExcelファイルをダウンロードしてインプットのファイルと比較すると、下記のようになりました。

PDFファイルを確認すると、下記のように日本語がうまく出力できていませんでした。

インプットに使用したファイルの日本語を英語に変更して再度実行すると、下記のPDFファイルが出力されました。

日本語の出力はうまくできませんでしたが、Excelの処理と出力はうまくできた印象です。

エージェントの指示で実装

Microsoft Copilot Studio(Microsoft Copilot Studio)を開き[エージェント]の「+新しいエージェント」から新しいエージェントを作成します。

任意の名前を入力し「作成」を押します。

このエージェントでコードインタープリターを有効にします。

「設定」を押します。

[生成AI]の「コードインタープリター」を「オン」に設定し「保存」を押します。

ファイルをアップロードするトピックを作成します。

[トピック]を押して「+トピックの追加」の「最初から」を押します。

トリガーの説明に「「開始」を入力された場合に実行します」と入力します。

「質問する」を追加します。

下記の通りに設定します。

  • メッセージ:ファイルをアップロードしてください。
  • 特定:ファイル

任意の名前を付けてトピックを保存します。

[概要]に戻り指示に下記を入力します。

あなたはデータ分析エージェントです。
「開始」と入力された場合、下記の順番で処理を実行します。
1. ファイルアップロードトピック を実行。
2. コードインタープリターを使用して下記を実行
# コードインタープリター:
1. インプット:
- Excelファイル:商品の売り上げの日付、商品名、個数、総売上が記載されています
inputfile 

2. 処理:
- Excelファイルでの処理:
- 売上フラグ:
    - 総売上が5,000以上のセルにフラグ
- 個数フラグ
    - 個数が10以上の取引にフラグ
- 上記の満たすフラグに下記の処理を実施:
    - 売上フラグ:該当の総売上列のセルを赤色でハイライト.
    - 個数フラグ:該当の商品列のセルにコメントを追加 (例,  "売上多い").
            
3. サマリを生成:
- 全てのフラグの取引.
- フラグの理由.
        
4. アウトプット:
- ハイライトとコメントが追加されてアップデートされたExcelファイル.
- サマリが記載されたtextファイルとPDFファイル.

上記ステップ1の「ファイルアップロードトピック」は、「/」を入力すると作成したトピックが表示されるため、そのトピックを選択します。

入力が完了したら「保存」を押します。

テスト画面で実際に動かしてみます。

Excelファイルは下記のように出力されました。

数度試してみましたが、PDFファイルはうまく出力できませんでしたが、Excelファイルの出力はうまくいきました。

利用シーンとメリット、注意点

利用シーン

今までMicrosoft Copilot StudioでExcelファイルなどを編集する場合、PowerAutomateのアクションと連携する必要がありました。

しかしコードインタープリターの機能を使用することで比較的簡単な方法で下記のようなことが可能です。

  • Excel上のデータのグラフの生成
  • 複雑な計算やその結果の出力
  • Excel上のデータの編集

メリット

コードインタープリター機能が利用できるようになるまではファイルの編集や複雑な処理は実装が難しかったり、実装することができないことがありました。

しかしコードインタープリターを使用することで簡単な指示で実装が可能になります。また扱うことができるファイルの種類が増えたり実装が自然言語で行えるため、多くの人が利用できる機能だと思います。

注意点

Microsoft Copilot Studioのコードインタープリター機能はまだプレビューの機能のため、処理がうまく実行されない場合や今後仕様が変更される可能性があります。

また今回検証したExcelファイルの処理でセルのデータが計算式(例. =C1+D1)の場合、値の取得がうまくできず「値が○○以上の場合ハイライトする」などの指示がうまくできませんでした。

その他制限事項は下記の通りです。

  • 1 つのプロンプトでアップロードされた複数のファイルの分析はサポートされていません。
  • 1 つのプロンプトで複数のファイル出力を返すことはできません。
  • アップロードされたファイルについて複数のターンで質問することはサポートされていません。

まとめ

今回はMicrosoft Copilot Studioのコードインタープリター機能を試してみました。

ファイルの操作など今後使うことが多い機能になりそうだと感じました。

今後のアップデート情報や実際に使ってみて、できること/できないことを把握していきます。

おまけ(Copilot Chatによる本記事の要約)

コードインタープリター概要(Microsoft Copilot Studio)
機能

  • Pythonコードの生成・実行
  • Excel、Word、PowerPoint、PDFファイルの処理
  • 複雑な計算、統計分析、データ操作・視覚化

前提条件

  • Microsoft Copilot Studioのライセンスが必要
  • コード実行にはCopilotクレジットを消費


実装方法

  • Power Platform管理センターで有効化
  • [Copilot] → [設定] → 「コード生成と実行」をオンに設定


プロンプトで利用

  • 「コードインタープリターを有効化」を設定
  • Excelファイルをアップロードし、条件に応じてセルをハイライトやコメント追加
  • 出力:更新されたExcel、サマリ付きテキスト、PDF


エージェントで利用

  • 新規エージェント作成 → コードインタープリターをオン
  • トピックでファイルアップロードを設定し、処理を実行

 

検証結果

  • Excelファイルの処理は成功
  • PDF出力は日本語対応に課題あり(英語なら正常)


利用シーン

  • Excelデータの編集やグラフ生成
  • 複雑な計算やデータ分析

メリット

  • 自然言語で簡単に高度な処理が可能
  • ファイル種類の対応範囲が広い

注意点

  • プレビュー機能のため仕様変更や不具合の可能性あり
  • 計算式セルの処理は不完全

制限事項:

  • 複数ファイルの同時処理不可
  • 複数ターンでの質問不可

 

まとめ
コードインタープリターは、Copilot Studioでのファイル操作やデータ処理を簡単にする強力な機能。今後のアップデートで改善が期待される。

執筆担当者プロフィール
寺澤 滉

寺澤 滉(日本ビジネスシステムズ株式会社)

Csol本部 DAPf部所属。AI関連(Azure OpenAIやCopilot Studioなど)を勉強中です。

担当記事一覧