Windows Hello for BusinessでPINの回復が利用できない事象の解決方法

Windows Hello for Business(以下WHfB)の検証時、正常に暗証番号(以下PIN)の回復が出来ないという事象が発生しました。

本記事では、この事象の解決方法と回避策を紹介します。

事象

WHfBでは、ユーザーがPINを忘れてしまった場合でも、Microsoft PINリセットサービスを使用して回復することができます。

しかし、サインイン画面から[PINを忘れた場合]をクリックしても反応せず、回復ができない事象が発生しました。(下図)

解決方法

本章では、PINを回復できない事象の解決方法を記載します。

Windowsのビルド番号の更新

ロック画面からPINの回復ができない件については、既知の問題であることが判明しています。

上記のビルド番号以上の、最新の更新プログラムを適用することで事象は改善されます。

※ 本事象が発生している際はPINでサインインが出来ないため、パスワードを使用してサインインした上でアップデートを行ってください。

レジストリ値(Enable LUA)の値を有効化

上記のWindows アップデートを実行し、最新の更新プログラムを適用したにも関わらずPINの回復ができない場合は、「EnableLUA」のレジストリ値が無効になっている可能性がありますので、有効にする必要があります。

※レジストリ値(Enable LUA)を有効化する場合は、パスワードを使用してサインインした後にグループポリシーエディターから編集するか、GPOを使用して端末に配布してください。

Enable LUAはUser Account Control(以下UAC)を有効にするかどうかを制御し、アプリケーションが管理者権限を必要とする操作を行う際に、ユーザーに確認を求めるセキュリティ機能になります。PINの回復機能はUACの仕組みを前提に設計されており、Enable LUAが無効だと動作しないため、利用する際には有効にしてください。

  • レジストリパス:
    • HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\System
  • 名前:
    • Enable LUA
  • 設定値:

回避策

運用上、Windows Updateでビルド番号を更新する場合やEnable LUAを更新するのが難しい場合は、下記の手順でWHfBのPINをリセットすることで回避する事も可能です。

  1. [サインインオプション]をクリックしします。

  2. 鍵マークをクリックし、パスワードでサインインします。

  3. スタートボタンをクリックし、サインインしているユーザーからサインアウトします。

  4. [他のユーザー]をクリックします。

  5. ユーザー名を入力し、[PINを忘れた場合]をクリックします。

  6. パスワードを入力し、[やり直す]をクリックします。

  7. ユーザー名とパスワードを入力し、サインインします。

  8. 「PINのリセット」画面が表示されたら、[PINのリセット]をクリックしてPINの回復を実施します。

最後に

今回はWHfBでPINの回復ができない事象について説明しました。

もし、同じような事象に直面した方がいましたら、本記事が参考になれば幸いです。

執筆担当者プロフィール
金山 翔太

金山 翔太(日本ビジネスシステムズ株式会社)

Microsoft製品(主にMicrosoft 365やIntune)などの設計に携わったことがあります。趣味はゲームとキャンプです。業務上で学んだことを発信していきます。

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