【Microsoft Ignite 2025】現地レポート基調講演

Microsoft Igniteは、最新のITトレンドや革新的ソリューションを体験できる世界最大級のイベントです。

今回、サンフランシスコで開催されているMicrosoft Ignite 2025に参加しており、現地から基調講演の内容や会場の雰囲気をお届けします。

Microsoft Igniteとは？
基調講演内容
会場の雰囲気
まとめ

Microsoft Igniteとは？

Microsoft Ignite は、Microsoftが毎年開催する世界最大級のテクノロジーカンファレンスです。

目的：
- クラウド、AI、データ、セキュリティ、開発者向け技術の最新情報を発表し、企業やITプロフェッショナルに未来のIT戦略を示す場
対象：
- IT管理者、開発者、データサイエンティスト、経営層など幅広い層
特徴：
- 基調講演でMicrosoftの最新ビジョンを発表
- ハンズオンラボやデモで新技術を体験
- ネットワーキングで世界中の専門家と交流

Igniteは「Microsoftの今と未来」を知るための最重要イベントであり、Azure、Copilot、AI、セキュリティなどの最新情報が集約されます。

基調講演内容

今年のIgniteは、単なるAI強化ではなく「エージェント化（Agentic）」という大きなパラダイムシフトがテーマです。

Microsoftは、従来の“チャットAI”から、業務を主体的に遂行する「エージェント」への進化を全面的に打ち出しました。

Agent 365：業務を自律的に遂行するエージェント時代へ

各業務に特化したエージェントが、ユーザーの指示を待たずに主体的にタスクを遂行
IT部門は組織内の全エージェントを可視化し、ID管理・ガバナンス・データアクセス制御を実現
企業は「人＋エージェント」のハイブリッドワークモデルへ移行

Work IQ：ユーザー“らしさ”を理解する知能レイヤー

メール、会議、ファイル、チャットを分析し、ユーザーの働き方や嗜好を学習
「あなたらしい」エージェントを推薦し、業務を最適化
単なるAI支援ではなく、パーソナライズされた業務遂行を実現

Azure Copilot & Agentic Cloud Ops

Agentic Cloud Ops：Azureにエージェント導入、構成変更・アプリ配置・コスト最適化・障害対応を自律実行
UI進化：チャットだけでなく、コンソールやCLIからもシームレス利用可能

セキュリティ・アイデンティティの進化

Microsoft Entra Agent ID：エージェントにIDを付与し、人間同様にアクセス制御・監査対象化
Security Copilotエージェント：脅威ハンティングやマルウェアトリアージを自律実行

クラウド＆インフラ強化

Azure App/Functions改善：Windows依存アプリ移行基盤やMCP対応
Azure Copilotのクラウド管理：複数エージェントがパフォーマンス・コスト・稼働性を調整し、Copilotがレポート

会場の雰囲気

まずは会場の外観です。今年は、サンフランシスコの「チェイスセンター」で基調講演が開催されました。

NBAのステファン・カリーの所属するゴールデンステート・ウォリアーズのホームとしてお馴染みのところです。

基調講演の会場内の様子をご紹介します。チェイスセンターには、約2万人の参加者が集まりました。

会場周辺の交通状況は非常に混雑しており、会場までの無料バスが目的地まで到達できず、途中で降車して会場まで走って向かう方もいたようです。

会場で提供されたお昼ご飯です。

色鮮やかリンゴにポップコーンとアメリカらしさがでており、ほっこりしました。

基調講演の「基調講演参加者向けに2万枚のTシャツを発注する」というデモでは、ECサイトのバックエンド処理や、Copilotを活用した見積り作成、さらにCopilotによるセキュリティ管理など、多様な業務ユースケースでCopilotがどのように機能するかを実演しました。これにより、Copilotが単なる支援ツールではなく、ビジネスプロセス全体に組み込まれる実践的な価値を示していました。

以下はCopilotによるオーダーから生産ライン制御までの自動化を表現している画像です。

まとめ

今回の基調講演の最大のテーマは「エージェント化（Agentic）」であり、従来の指示待ち型チャットAIから、業務を主体的に遂行する自律エージェントへの進化が強調されました。

具体的には、組織全体のエージェントを統合管理するAgent 365、ユーザーの働き方を理解して最適なエージェントを推薦するWork IQ、Azureにおける構成変更や障害対応を自律実行するAgentic Cloud Ops、さらにセキュリティ面ではMicrosoft Entra Agent IDによるエージェントのID管理やSecurity Copilotによる脅威ハンティングなどが発表されました。

また、クラウド基盤の強化としてWindows依存アプリの移行支援や複数エージェントによるパフォーマンス最適化も紹介され、Copilotは単なるチャット支援から業務プロセス全体を担う存在へと進化しています。

今後の展望としては、企業のIT環境において「人＋エージェント」のハイブリッドモデルが標準化し、業務の多くが自律的に実行される時代が到来すると考えられます。

エージェントは単なる補助ではなく、意思決定や運用の一部を担う存在となり、IT部門はエージェントのガバナンスやセキュリティ管理に重点を置く必要があります。

また、Work IQによるパーソナライズが進むことで、個々の働き方に最適化された業務体験が実現し、クラウド運用やセキュリティ対応も自律化が加速することが考えられます。結果として、企業はより迅速で効率的なIT運用を実現し、競争力を高めることが期待されると思われます。