普段の業務で「毎回同じ説明を繰り返している」、「自分の意図をもっと正確に汲み取ってほしい」と感じることはありませんか?実は、Copilotを“自分仕様”にすることで、この問題を解決できます。
Copilotを“自分仕様”にできる秘密、それがCopilotの個人設定に追加された「Copilot メモリ」と「カスタム指示」機能です。
「Copilot メモリ」と「カスタム指示」の2つを組み合わせることで、Copilotは単なるAI支援ツールから“あなたの相棒”へと進化します。
この記事では、それぞれの特徴や活用のコツを紹介していきます。
これまでの連載
これまでの連載記事一覧はこちらの記事にまとめておりますので、過去の連載を確認されたい方はこちらの記載をご参照ください。
「Copilot メモリ」と「カスタム指示」の概要
Copilot メモリとは
Copilot メモリは、ユーザーの役割や担当領域やよく使う表現などを覚えてくれる機能です。
一度登録しておけば、毎回同じ情報を伝える必要がなくなりやり取りの効率が大幅に向上します。
たとえば「Azure関連の案件を担当している」と登録しておけば、質問時に前提を説明しなくてもCopilotがその背景を理解したうえで回答してくれます。
ポイントを以下にまとめます。
- 利用者の“文脈”を理解して応答を最適化
- 回答の一貫性が高まり、説明の手間を削減
- 必要に応じて編集や削除も可能
カスタム指示とは
カスタム指示は、Copilotの回答スタイルや出力形式を事前に設定できる機能です。
たとえば、「回答は必ず3つの箇条書きで」「ビジネス文体で」などを設定しておくと、毎回指示をしなくても統一された形式で答えてくれます。
ポイントを以下にまとめます。
- 出力形式や文体を自由にカスタマイズ可能
- チームや顧客向け資料でも統一感を担保
- プロンプト入力の手間を削減
Copilot メモリとカスタム指示の使い方
共通手順
Microsoft 365 Copilotの「Chat画面」を開きます。
画面右上の[・・・]>[Settings]をクリックします。
[個人用設定]にて[カスタム指示]と[Copilot メモリ]のどちらも確認することが出来ます。
カスタム指示の設定
個人用設定から[カスタム指示]をクリックします。
「カスタム指示」画面に遷移したことを確認し、任意の指示を記載して[保存する]をクリックします。
Copilot メモリの設定
個人用設定から[Copilot メモリ]をクリックします。
「Copilot メモリ」編集画面に遷移すると更新された内容が保存されていることを確認します。
なお、Copilot Chatで会話をしているとチャット内容の下に「メモリが更新されました」と表示されることがあります。
また、Copilot Chat画面で以下のように質問することで、メモリに保存された内容を確認することが出来ます。
Copilotメモリに保存されている内容教えて
確認だけではなく、Copilot メモリに保存したい内容の編集や追加もチャットで明示的に指示することでが可能です。
利用シーンとメリット、注意点
Copilot メモリ
利用シーン
- 繰り返し同じ前提を説明しているとき
- 例:プロジェクトや担当領域を毎回伝えずに済むようにする
- 個人の役割や専門領域を踏まえて回答してほしいとき
- 例:「Azure関連案件の担当者」として最適化された回答を得る
メリット
- 一度覚えさせるだけで繰り返しの説明が不要
- 回答の一貫性が保たれ、資料作成や社内共有がスムーズ
- 利用者ごとの文脈を理解し、より“自分に合った”支援が受けられる
注意点
- 登録内容が古いままだと誤解を招く可能性があるため定期的な更新が必要
- 個人情報やセンシティブな内容を登録する際は社内ポリシーを遵守する必要あり
- メモリはユーザーごとに適用されるため、チームで共有するものではない点に注意
カスタム指示
利用シーン
- 毎回同じフォーマットで回答してほしいとき
- 例:「必ず3つの箇条書き」「結論から先に記載」などを固定化
- 資料やメール文面を一定のトーンで仕上げたいとき
- 例:「ビジネス寄りでフォーマルな文章」「カジュアルな口調」などを事前設定
メリット
- プロンプト入力の手間が省け、回答スピードが向上
- 文体や表現が統一され、チームや顧客向けの成果物でも一貫性を担保できる
- 利用者のニーズに合わせて柔軟に調整可能
注意点
- 設定内容が限定的すぎると柔軟性が下がり、想定外の質問に対応しづらくなる
- 複数人で使う場合、個人の指示がチーム全体に影響するわけではない点に留意
- 回答品質は指示内容に依存するため、設定の仕方を工夫する必要あり
まとめ
「Copilot メモリ」と「カスタム指示」は、それぞれ異なる角度からCopilotを“自分仕様”にできる機能です。
メモリはユーザーの役割や背景を覚えてやり取りの前提を省略できるようにし、回答の一貫性を高めます。一方でカスタム指示は、回答のスタイルや出力形式を事前に決めることで、常に同じトーンやフォーマットを維持できます。
この2つを組み合わせると、Copilotは「あなたを理解し、あなたの望む形で答える相棒」へと進化します。繰り返しの説明が不要になり、回答内容も表現も自動的に最適化されるため日々の業務効率や資料作成の品質が大きく向上します。
日常的にCopilotを使う人ほど、この2つの機能を活用することで“ただのAI”ではなく“あなたのパートナー”としての真価を実感できるでしょう。
おまけ(Copilot Chatによる要約)
Microsoft 365 Copilotには、「Copilot メモリ」と「カスタム指示」という2つの個人設定機能があります。Copilot メモリは、ユーザーの役割や専門領域などを記憶し、毎回の説明を省略できる機能です。一方、カスタム指示は、回答の文体や形式を事前に設定でき、常に自分好みのスタイルで応答を得られます。
この2つを組み合わせることで、Copilotはユーザーの文脈を理解し、最適な形で支援してくれる“相棒”のような存在になります。業務効率やアウトプットの品質を高めたい人にとって、非常に有効な機能です。
馬場 遼太郎(日本ビジネスシステムズ株式会社)
Data&AI事業本部に所属しています。Azureを使った生成AIサービスの構築業務に携わっており、最近はCopilotの勉強をしています。
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