AI Builderは、Power Platformに統合されたAI機能で、ノーコードでAIを構築することができ、誰でも簡単にAIモデルを構築することができるツールです。
AI Builderには様々なAIモデルが用意されていますが、今回はその中でも感情分析の機能についてご紹介します。
AI Builderの感情分析
感情分析とは、テキストデータを解析して、その内容がポジティブ、ネガティブ、ニュートラルのいずれの感情を持つかを評価する機能です。
AI Builderにおける感情分析は、主にPower AppsやPower Automateと連携し、アプリやフローと組み合わせて使用することができます。
本記事では、Power Automateフローで使用する方法をご紹介します。
活用例:Formsのアンケート結果を感情分析で評価する
実際の活用例として、Microsoft Formsで作成したアンケートの結果を感情分析し、否定的意見と肯定的意見で分類するPower Automateフローを作成してみます。
Formsアンケートを用意
今回は、架空の部署のメンバーに向けたアンケートを想定し、以下の通りFormsを作成しました。

テキストデータからの感情分析を行いたいので、「現在の部署についてどう思うか」についての自由記述の質問を1つ用意しました。
Power Automateフローの作成
続いて、Power Automateのフローを作成します。
AI BuilderをPower Automateで使用する場合、フローのアクションを使います。
まず自動化したクラウドフローを作成し、トリガーにMicrosoft Formsの「新しい応答が送信された時」を選択して、「フォーム ID」に作成したアンケートを指定します。

これで、アンケートから回答が収集された際にフローが実行されます。
次に、Microsoft Formsカテゴリの「応答の詳細を取得する」アクションを追加し、以下の通り設定します。
- フォームID
- 作成したアンケートを指定
- 応答ID
- トリガーの「新しい応答が送信された時」で取得した「応答ID」を指定

続いて、AI Builderカテゴリの「テキスト内の肯定的または否定的な感情を分析する」アクションを追加します。

追加後、以下の通り設定します。
- 言語
- 日本語(任意の言語)
- テキスト
- 「応答の詳細を取得する」アクションで取得した項目の内、感情分析をする対象となる質問を選択(動的コンテンツ)

これでAI Builder部分の設定は完了です。
今回はここで得られた分析結果を回答内容とともにSharePointリストに格納する想定でフローを作成してみます。
事前にアンケート結果を格納するために以下のようなリストを用意しました。

回答内容、分析結果という2つの列を追加したシンプルなリストです。ここに、上のアクションで取得した結果を格納していきたいと思います。
SharePointの「項目の作成」アクションを追加し、サイトのアドレスとこちらのリストを指定します。
各列には以下の通り値を設定します。
- サイトのアドレス
- 「アンケート結果リスト」を作成したサイト
- リスト名
- 「アンケート結果リスト」
- 回答内容
- 「応答の詳細を取得する」アクションで取得した項目の内、感情分析をする対象となる質問を選択(動的コンテンツ)
- 分析結果
- 「テキスト内の肯定的または否定的な感情を分析する」アクションで取得した項目の内、「テキスト全体の感情」を選択(動的コンテンツ)

以上でフローの作成は完了です。
フローの全体図は以下の通りです。

実行結果
では、実際にフローを動かしてみましょう。
まず、以下のような肯定的な意見でアンケートに回答してみます。

フローの実行結果は以下の通り、成功となりました。

感情分析アクションの結果を詳しく見てみます。
少しわかりにくいですが、以下の画像の赤枠部分がテキスト全体の感情分析の結果を表しているようです。

「sentiment」という項目が「positive」となっており、この回答が肯定的と判断されたことがわかります。
SharePointリストを見てみると、この結果が問題なく格納されていることがわかります。

では、今度は逆に以下のような否定的な意見で回答をしてみます。

先程と同様に実行結果から感情分析アクションの詳細を見てみると、今度は「sentiment」が「negative」となり、否定的と判断されたことがわかります。

SharePointリストにも以下の通り結果が格納されました。

また上述の2つの回答以外にも、良い意見と悪い意見が混ざった回答をいくつか行ったところ、以下のような結果になりました。

一見中立的に見える意見でも、「negative(否定的)」と判断されたものがありました。
また「○○は良い。××は悪い。」のように、肯定的な意見と否定的な意見が並列で書かれていると、「mixed」と判断されました。
この結果から、肯定的な意見と否定的な意見が同程度含まれているものでも、微妙な表現の違いによって、どちらかに偏った意見と判断される場合があるようです。
まとめ
今回は、AI Builderの感情分析モデルについてご紹介しました。
ご紹介した活用例では部内のアンケートを想定しましたが、イベントや研修などの感想アンケートや、新製品・サービスについての意見収集等、他にもいろいろな場面で活用することできるかと思います。
また、AI Builderには他にも様々なAIモデルが用意されていますので、ぜひ皆さんもAI Builderを利用してみてください。