Exchange Online では、自分以外のメールアドレスを送信元アドレスとしてメールを送信することができる機能が存在します。これを、代理送信といいます。
本記事では、代理送信の権限の種類や、設定方法について記載します。
代理送信権限とは
代理送信権限とは、他人のユーザーアドレスやグループアドレスを送信元アドレスとしてメールを送信する際に必要な権限となります。
代理送信権限には「SendAs」と「SendonBehalf」の2種類があります。それぞれの違いは下記の通りです。
- SendAs
- ユーザーの代わりに所有者として代理でメールを送信できる権限
- 受信者はメールが代理送信されたことが確認不可
- SendonBehalf
- ユーザーの代わりに代理でメールを送信できる権限
- 受信者はメールが代理送信されたことが確認可能
代理送信権限の設定手順
実際に、ユーザーメールボックスとグループへの権限付与手順を記載します。
※ 今回はMicrosoft のデモ環境を使います。ユーザーなどもデモ環境であらかじめ作成されたものとなります。
ユーザーメールボックスへの設定手順
まず、ユーザーメールボックスへの権限付与を行います。
今回は、Adel VanceがDiego Sicilianiのメールアドレスで代理送信が出来るようにします。代理送信権限はSendAsとします。
- 権限付与元:Diego Siciliani
- 権限付与先:Adele Vance
- Exchange 管理センターにサインインします。
- [受信者] > [メールボックス]をクリックします。
- 権限付与元のユーザーメールをクリックします。
※権限付与元=メールアドレスを利用される側のユーザーメールボックス
- [委任]タブを選択します。
- 本手順では、SendAs権限の付与を行います。[メールボックス所有者として送信する]の[編集]をクリックします。
※ SendonBehalfの場合は[代理人として送信する]の[編集]をクリックします
- [メンバーの追加]をクリックします。
- 代理送信を行うユーザーを選択し、[保存]をクリックします。
- [確認]をクリックします。
- 下記の画面が表示されることを確認し、手順完了となります。
グループへの設定手順
続いて、グループアドレスを送信元として利用するケースを考えます。
今回は、Adel Vanceが[Group_配布]のメールアドレスで代理送信を出来るようにします。こちらも、代理送信権限はSendAsとします。
- 権限付与元:Group_配布
- 権限付与先:Adele Vance
※ 本手順では[配布リスト]に対して代理送信権限を設定しますが、[メールが有効なセキュリティグループ]にも同様の手順で権限付与が可能となります。
- Exchange 管理センターにサインインします。
- [受信者] > [グループ]をクリックします。
- [配布リスト]タブを選択し、権限付与元のグループをクリックします。
- [設定]タブをクリックします。
- [代理人の管理を編集する]をクリックします。
- [代理人を追加する]から代理送信を行うユーザーを追加し、[権限の種類]で[メールボックス所有者として送信]を選択し、[変更の保存]をクリックします。
- 下記の画面が表示されることを確認し、手順完了となります。
補足
本記事では、ユーザー単位で代理送信権限を付与する方法をご紹介しましたが、メールが有効なセキュリティグループを権限付与先に指定することも可能です。
グループを指定することにより、グループメンバー全員に対して権限を付与することが出来ます。この場合、グループメンバーのが変更された場合でも、変更したメンバーに対応して権限が付与されます。
グループのメンバー全員に対して代理送信権限を付与したい場合は、グループを[メールが有効なセキュリティグループ]として作成し、このグループをSendonBehalf/SendAs権限で指定することで実現可能となります。
※ 配布リストは指定不可のため、グループ単位で権限を付与する場合は、[メールが有効なセキュリティグループ]として作成する必要があります
送信元アドレスを変更してメールを送信する手順
代理送信権限の付与後、Outlookで送信元アドレスを変更してメールを送信する方法について記載します。
- Outlookアプリを開きます。
- [新しいメール]をクリックします。
- [オプション]タブの[差出人]をクリックします。
- [差出人(M)]をクリックし、[他の電子メールアドレス]をクリックします。
- [差出人(R)]をクリックし、アドレス帳を開きます。
- アドレス帳から権限付与元を選択し、[OK]をクリックします。
※グループの場合も同様となります。
- 権限付与元アドレスが入ったことを確認し、[OK]をクリックします。
- 宛先やCC、件名、本文に任意の値を入れ、[送信(S)]をクリックします。
- 以上で代理送信は完了となります。
さいごに
以上、代理送信権限の付与手順についてご説明しました。
本記事では補足でしか触れていませんが、グループメンバー全員で代理送信を行う必要があるケースでは、ユーザー個別ではなくグループ単位で代理送信権限を付与する手順が便利です。運用負荷の軽減にもなりますので、ぜひそちらも試してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。