Microsoft SharePoint Onlineのサイトを構築し、運用をしていく上で「情報管理ポリシー」という言葉を1度は聞いたことがあるかもしれません。
また、「アイテム保持ポリシー」という言葉とセットで聞いて違いが分からないという方もいらっしゃるかと思います。
今回は、この「情報管理ポリシー」の概要や「アイテム保持ポリシー」との違い、使い方をご紹介できればと思います
※ なお、本記事はSharePoint Onlineのモダンサイトを対象にしています。また、以降SharePoint OnlineはSPOと略称します
情報管理ポリシーとは
情報管理ポリシーとは、MSからの公式情報を引用すると以下のようになります。
情報管理ポリシーとは、コンテンツ タイプに関する一連のルールです。 情報管理ポリシーを使用すると、組織はコンテンツの保持期間や、そのコンテンツに対してユーザーが実行できるアクションなどを制御および追跡できます。 情報管理ポリシーは、組織が法律上または行政上の規制を遵守したり、内部のビジネス プロセスを徹底するのに役立ちます。情報管理ポリシー入門 - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn
もう少しかみ砕いて説明すると、ドキュメント類やリストのアイテムに対してイベントを設定し、そのイベントに応じて処理を自動的に行うようにルールを作成したものが、情報管理ポリシーになります。
例えば、「ドキュメントライブラリにファイルをアップロードし、登録日時から1年経過したファイルは自動的にゴミ箱へ移動する」といったように、ルールと処理を決めることができます。
情報管理ポリシーとアイテム保持ポリシーの違い
アイテム保持ポリシーについて、MSの公式情報を引用すると以下のようになります。
アイテム保持ポリシーを使用して、コンテンツを保持するか、削除するか、あるいは保持した後に削除するかを事前に決定することにより、組織のデータを管理します。アイテム保持ポリシーを使用すると、コンテナー レベルで同じ保持設定を割り当てて、そのコンテナー内のコンテンツに自動的に継承することで、この作業を非常に効率的に行うことができます。 たとえば、SharePoint サイトのすべてのアイテム、ユーザーの Exchange メールボックスのすべてのメール メッセージ、Microsoft Teams で使用するチームのすべてのチャネル メッセージなどが挙げられます。 アイテム保持ポリシーを使用してコンテンツを自動的に保持または削除する | Microsoft Learn
こちらもかみ砕いて説明すると、コンテンツに対していつまで保管・保管後に削除しておくかをルール化して、データの保護や管理を行うことができる機能となっております。
一見、情報管理ポリシーと同じだと思うかもしれません。
しかし、情報管理ポリシーと大きく違うのは、情報管理ポリシーはSPOの各サイトコンテンツのみに設定できるのに対して、アイテム保持ポリシーはSPOに限らず、ExchangeやTeamsなど他のサービスアプリケーションにも適用できることです。
情報管理ポリシーは影響範囲はSPOのみであるのに対し、アイテム保持ポリシーはSPOに限らず、他のサービスアプリケーション等、テナント全体に影響があります。
また、情報管理ポリシーとアイテム保持ポリシーを説明する上で必ず把握しておかなければいけないことが1点あります。それは、「情報管理ポリシーとアイテム保持ポリシーを両方設定していた場合、アイテム保持ポリシーの方が適用される」です。
例えば、とあるSPOのサイトコンテンツに情報管理ポリシーを適用していたとしても、テナント全体でSPOにアイテム保持ポリシーを適用した場合は、情報管理ポリシーは無効化されてアイテム保持ポリシーが優先的に適用されるようになります。
情報管理ポリシーの設定方法
ここからは、実際に情報管理ポリシーを設定する手順をご紹介します。
サイトのポリシーをアクティブ化する
情報管理ポリシーを適用したいサイトへログインし、サイトの設定へ移動します。*1
「サイト コレクションの機能」を押下します。
ページを下にスクロールし、「サイト ポリシー」をアクティブ化します。
コンテンツに情報管理ポリシーを適用する
今回は、ドキュメントライブラリに情報管理ポリシーを適用します。
ドキュメントライブラリの設定画面へ移動し、「情報管理ポリシーの設定」を押下します。
「ライブラリとフォルダー」を選択します。
「保持ステージを追加する」を押下します。
ドキュメントの日付情報(下記画像では登録日時)をもとに、保持する期間を決めることができます。
保持する期間については日、月、年単位で決めることができます。
処理する内容は下記画像のように決めることができます。今回は「ゴミ箱へ移動」を選択します。
ルールが追加されていることを確認したら、適用を押下し、OKを押下します。
これで情報管理ポリシーの設定が完了しました。
情報管理ポリシーが実行されるタイミング
情報管理ポリシーは、週次で実行されるため、即時反映ではないということに注意してください。
また、情報管理ポリシーの仕様として、初週はポリシーの確認のみとなります。実際に削除されるのはさらにその1週間後となりるため、最短でポリシーが実行されるのは2週間後となります。
例として、2024/2/29にポリシーを作成した場合の例を考えてみましょう。
- 2/29(木)
- ポリシーを作成
- 3/2(土)~3/3(日):ポリシー作成後の最初の週末
- ポリシーが適用された事を確認するのみ
- 削除自体は実行されない
- 3/9(土)~3/10(日):ポリシー作成後の2回目の週末
- この間のどこかで削除処理が実行される
なお、週末に実行されるパターンが多いですが、週末のどの時間帯に削除が実行されるかは公式情報には記載はありませんでした。
実際に検証環境でも確認しましたので、ご紹介します。
情報管理ポリシーが適用されたドキュメントライブラリに、サンプルでファイルを格納します
この時点で、情報管理ポリシーは設定済みであったため、初週の「ポリシーの適用を確認」は終えています。
ファイルの作成日は2/21(水)なので、次の週末である2/24(土)~25(日)に削除が実行される想定です。
2/26(月)に確認すると、情報管理ポリシーが実行され、ゴミ箱へ移動していることが確認できました。
まとめ
今回は情報管理ポリシーについてご紹介しました。内容を簡単にまとめると以下のようになります。
- コンテンツの保持期間や処理のルールを作成したものが情報管理ポリシーである
- 情報管理ポリシーはSPOの各サイトコンテンツにのみ適用できるが、アイテム保持ポリシーは他のアプリケーションサービスにも適用することができる
- 情報管理ポリシーとアイテム保持ポリシーでは、アイテム保持ポリシーの方が優先的に適用される
- 情報管理ポリシーは週次で実行され、即時反映ではない
情報管理ポリシーを有効活用できると、ドキュメントなどの管理も効率的に行うことができるようになるため、ぜひ活用いただけたらと思います。
*1:サイトコレクション管理者権限のアカウントが必要になります