配布リストは、メールの受信者をあらかじめメンバーとして指定します。
個人単位でメンバー登録をすることは可能ですが、グループ単位で登録することは可能でしょうか。
本記事では、配布リストのメンバーに配布リストを含める”入れ子(ネスト)構造”で作成した場合の動作を説明します。
配布リストに含めることができるメンバーの種類
配布リストに含むことができるメンバーは、以下の通りです。
- 組織内(テナント内)ユーザー
- Entra IDに登録されたゲストユーザー
- Exchangeの連絡先に登録されたユーザー
- 配布リスト(入れ子)
- 動的配布リスト
- メールが有効なセキュリティグループ
※メールが無効なセキュリティ グループはメールアドレスを所持しないグループのため、配布リストにメンバーとして追加することはできません。
配布リストの"入れ子(ネスト)構造"の動作検証と結果
配布リストのメンバーとして配布リストを含めたいという要望があったため、配布リストに配布リストをネスト化することは可能なのか、実際に検証してみました。
動作検証
Q. 配布リストのメンバーとして、配布リストを”入れ子(ネスト)構造”で作成したときの動作はどうなるでしょうか?
配布リストAと配布リストBを作成し、下記のようにそれぞれのメンバー内に配布リストを含めました。
組織内ユーザーから配布リストBにメール送信を送った場合の動作を確認しました。
結果
A. 配布リストBのメンバーと、メンバーに含まれる配布リストAのメンバー全員にメールの受信を確認できました。
配布リストのメンバーとして、配布リストを”入れ子(ネスト)構造”で追加することは可能です。
また配布リストを上記の図のように"入れ子 (ネスト) 構造" で作成した場合、一つのメッセージ ID 内で重複して配送されることはないため、配布リストB(b-ml@xxx.co.jp)のメンバーに同じメールが重複して配送されることはありませんでした。
登録手順
配布リストのメンバー登録は、Exchange管理センターおよびPowerShellで設定が可能です。*1
Exchange管理センターでの登録方法は、通常のユーザーメールボックスをメンバーとして登録する設定と同様のため今回は割愛し、PowerShellでの登録方法を本記事ではご紹介します。
配布リストのメンバーとして配布リストをPowerShellで登録する場合も、通常のユーザーメールボックスをメンバーとして登録する設定と同様で [Add-DistributionGroupMember] のコマンドレットを利用します。
[構文]
Add-DistributionGroupMember -Identity <配布グループアドレス> -Member <配布リストのアドレス>
※ Window PowerShell にて上記の設定を行う場合、事前準備として Exchange Online PowerShell に接続する必要があります。
メリット・デメリット
配布リストのメンバーに配布リストを含めた入れ子構造で構成した場合のメリットとして、組織やプロジェクトの階層構造を反映できることが挙げられます。
例えば、部門ごとに配布リストを作成し、それらを組織全体の配布リストにネスト化することで、組織内の情報共有やコミュニケーションを効率的に行うことができます。
デメリットとしては、配布リストをネスト化すると、メンバーシップの管理が複雑になる可能性があります。
特に、組織やプロジェクトの階層構造が複雑な場合、誰がどの配布リストに含まれるべきかを正確に管理することが難しくなる場合があります。
注意事項
配布リストをメールの一括配送目的ではなく、アクセス権限の継承を目的とする場合は、該当グループのメンバーとして "配布リスト" を登録する入れ子 (ネスト) 構造を利用する際に、付与されたアクセス権限が正常に動作しない可能性があります。
ご留意ください。
最後に
以上、配布リストのメンバーに配布リストを含める場合についてご説明しました。ぜひ参考にしていただければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
*1:Outlook on the Webでの設定も可能ですが、少々複雑な操作になるため今回は割愛します。