Azure Virtual Desktop(以降、AVD と略)をご検討されている方、導入して既に運用をされている方、導入後の分析はご検討/実施されておりますでしょうか?
以前 AVD は、クラウド VDI ソリューションというお話をさせていただきました。
まだ閲覧していない方は、下記のリンクからお読みください!
VDI は、導入したら終わりではありません。
導入してからパフォーマンスやコストなどを見て環境に合わせて最適化していく必要があります。
しかし、最適化をするには分析が必要です。
今回は、AVD のデータ収集・分析・見える化によって分析をお手伝いする、Microsoft 提供のツール をご紹介します。
概要
Microsoft Azure には、Azure Monitor と呼ばれるテレメトリを収集、分析、それに対応するための包括的な監視サービスがあります。
様々なサービスの監視を対象にすることができますが、その中には仮想マシンも含まれます。
AVD を利用するユーザーが接続する VDI リソースの実態は仮想マシンとなりますが、通常の監視対象の追加では、汎用的な仮想マシンの監視項目を収集できますが、AVD に特化した監視項目ではありません(分析に不要なデータまで収集してしまいます)。また、収集したデータを分析するにはクエリの検索といった視覚的/直感的な分析が難しい内容となっています。
そこで Microsoft では、AVD に特化した監視項目を収集し、視覚的なデータの加工を簡易的に導入することができるツール『Azure Monitor for AVD』が用意されています!
大まかな流れ
大まかなな流れは以下の通りです。
- セッションホストを使用する
- セッションホストにインストールされたエージェントがデータを収集し、Log Analytics ワークスペースに送信する
- 受信したデータを Log Analytics ワークスペースが保管する
- Log Analytics ワークスペースのデータを参照し、ダッシュボード化する
- ダッシュボードで分析情報を確認する
システム要件
Azure Monitor for AVD を使用する前に次の設定をする必要があります。
- 監視するすべての AVD 環境が、Azure Resource Manager と互換性のある最新リリースの AVD に基づいている必要がある。
- 少なくとも 1 つの Log Analytics ワークスペースが構成されている。
- AVD セッション ホストに対して指定された Log Analytics ワークスペースを使用して、パフォーマンス カウンターとイベントが AVD 展開のセッション ホストからのみ収集されるようにする。
- Log Analytics ワークスペースで、次の項目のデータ収集を有効にする。
- AVD 環境からの診断
- AVD セッション ホストからの推奨されるパフォーマンス カウンター
- AVD セッション ホストからの推奨される Windows イベント ログ
環境に合わせて下記の内容も必要となる場合があります。
- AVD リソースを保持する Azure リソース グループへの読み取りアクセス
- AVD セッション ホストを保持するサブスクリプションのリソース グループへの読み取りアクセス
- Log Analytics ワークスペースへの読み取りアクセス
- 複数の Log Analytics ワークスペースが使用されている場合は、それぞれに読み取りアクセス権を付与して、データの表示を許可する必要がある。
最新/詳細の情報は、下記の公開情報よりご確認ください。
Azure Virtual Desktop Insights を使用して監視する方法 - Azure | Microsoft Learn
ダッシュボード(UI)
導入すると AVD または ホストプールのリソース画面のメニューにある「分析情報」から確認することが出来ます。
複数のタブがあり、タブ移動することで様々な分析情報を確認することが可能です。
例:ホーム画面
例:接続のパフォーマンス画面
例:ホストのパフォーマンス画面
分析項目
Azure Monitor for AVD の既定のダッシュボードにある分析項目を下記にまとめます。
概要
- 容量(ホスト プールのサマリ、リージョン情報など)
- ホストプールの詳細
- 接続診断: 接続可能なユーザーの割合 (%)
- 接続のパフォーマンス:接続までの時間 (新しいセッション)
- 使用率
- 月間ユーザー数 (MAU)
- 毎日のユーザー数 (DAU)
- 毎日の接続と再接続
- 毎日の接続時間
- 毎日のアラート
接続の診断
- 接続の(再)確立した成功率(接続の割合(%))
- 接続結果ごとの接続量
- 接続の成功率
- 接続の確立の成功率(接続できるユーザーの割合)
- 接続結果ごとのユーザー数
- ユーザーベースの成功率
- 潜在的な接続の問題
- 接続アクティビティ ブラウザー
- Connection アクティビティに影響を与えるエラーのランク付け
接続のパフォーマンス
- ラウンド トリップ時間
- RTT(ゲートウェイ リージョン別)
- all regions の RTT 中央値と 95 パーセンタイル
- 上位 20 ユーザー(RTT 中央値別)
- 接続するまでの時間
- 接続してサインインするまでの時間(エンド ツー エンド)
- ホストプール
- 接続ステージ: All host pools
- Winlogon ステージ: All host pools
- サービスによってユーザーがホストにルーティングされるまでの時間
ホスト診断
- ホストプールの詳細
- パフォーマンスカウンター
- イベント
- ホストブラウザー
- CPU 使用率
- 使用可能なメモリ
ホストのパフォーマンス
- ホストごとの入力遅延
- プロセスごとの入力遅延
- 時間の経過に伴う入力遅延の中央値
- ホストの CPU とメモリに関するメトリック
- ホストのディスクのタイミングに関するメトリック
- ホストのディスクキュー長
ユーザー
- <ユーザー名> の時間の経過に伴う接続
- <ユーザー名> の時間の経過に伴うフィードの更新
- クライアントとバージョンごとの接続数
- クライアントとバージョンごとのフィードの更新数
- 使用されたリモート アプリ
- ホストごとの接続時間
- キー使用法の暗号
- 接続までの時間
- <ユーザー名> の接続アクティビティブラウザー
- <ユーザー名> の Feed アクティビティに影響するエラーの順位付け
使用率
- セッション
- セッションの概要
- セッションの履歴
- 使用可能なセッション
- コア情報
- コアあたりのユーザーの概要
- コアあたりの最大ユーザー数
- セッションホスト数
- 月間アクティブ ユーザー(MAU)
- 毎日の接続と再接続
- 毎日の接続時間
- 接続時間別の上位 10 人のユーザー
- 接続時間別の上位 10 件のホスト
- すべてのユーザーの接続時間
- すべてのユーザーの使用状況
- 接続の種類
- ゲートウェイ リージョン
- リソース
クライアント
- アクティビティの種類 [Connections / Feed refreshes / Connections and Feedrefreshes]
- クライアント バージョン別の使用状況
- Active users by client type over time
- all clients のクライアント バージョン別の使用状況
- 古くなった可能性のあるクライアントを使用しているユーザー(すべての種類のアクティビティ)
アラート
- 一定期間内のアラート
- 重要度別アラート一覧/サマリ/詳細
おわりに
いかがでしょうか。
私個人としては、既定の内容にしては分析情報が多く、運用面において十分貢献できる印象を受けました。
Azure Virtual Desktop を導入する上で必須の設定ではないものの、設定しないには勿体無い内容だと感じますので、唯一コストが発生する Log Analytics ワークスペースの保存容量の調整をしつつ、低コストで有益な情報を運用に活用頂きたいと考えます!
ではでは。
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杉山 俊輔(日本ビジネスシステムズ株式会社)
ハイブリッドクラウド部に所属。 Microsoft Azure(IaaS/PaaS)と VDI ソリューション(Microsoft/Citrix/VMware)が専門のエンジニアです。
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