Oracle AI World 2025 in Las Vegasレポート

2025年10月13日~10月17日にアメリカ・ラスベガスで開催されたOracle AI Worldの現地レポートをお届けします。

日本からは約400人が参加しました。

参加したセッション

4日間で12セッションに参加しました。まずは一覧をご覧ください。

日付

セッション

10/13

Oracle Database: Giving Customers Choice and Flexibility at Oracle AI World 2025

10/13

Oracle Cloud Infrastructure Customer Summit at Oracle AI World 2025

10/14

Oracle AI: Powering Your Business

10/14

Oracle Vision and Strategy

10/14

The “AI for Data” Revolution is Here–How to Survive and Thrive

10/15

Building the Cloud for You

10/15

Enterprise-Ready, AI-First: What’s New with Oracle Database@Azure

10/15

Multicloud Panel: Hear It from Amazon, Google, Microsoft, and Oracle

10/15

Talcott’s Transformation Journey with Oracle Database@Azure

10/15

Things You Should Know: Oracle Multicloud on GCP and Azure

10/16

Accelerate Azure Migrations by Unlocking Access to Microsoft Experts & Programs

10/16

Pros, Cons, and Tips to Drive Innovation on Oracle Database@Azure

ここから、それぞれのセッションの概要やポイントを共有します。

Oracle Database: Giving Customers Choice and Flexibility at Oracle AI World 2025

このセッションでは、Oracleが考える今後の戦略について解説がありました。ポイントは下記になります。

  • 世界で最も強力なAIモデルを訓練・運用するリーダーとして、ビジネスプロセスにAIエージェントを統合
  • マルチクラウド戦略
    • パブリック、プライベート、専用、政府、ソブリンクラウドの選択肢を提供
    • 異なるクラウド間でデータを柔軟に移動し、AI機能を活用可能
  • 今後の計画
    • リアルアプリケーションセキュリティ(RAS)導入でデータアクセス制御とセキュリティ強化
  • パートナーの役割
    • 顧客のクラウド移行を支援する重要な存在

Oracle Cloud Infrastructure Customer Summit at Oracle AI World 2025

このセッションでは、Oracleが考える「パートナーがOCIやOracleを利用してプロジェクトを成功させるためのポイント」について解説がありました。ポイントは下記になります。

  • クラウドとAIの重要性
    • コスト削減
    • セキュリティ強化
    • 業務効率の向上
    • イノベーションの加速
  • パートナーへの期待
    • Oracleのテクノロジーを顧客に積極的に提案
    • 顧客の変革を支援
    • 新しいビジネスチャンスを見つける
  • 成功のためのポイント
    • Oracleのトレーニングを受ける
    • Oracle Marketplaceに参加する
  • 具体的なアクションプラン
    • パートナープログラムに登録
    • 営業チームの準備
    • 無料のトレーニングを活用
    • 顧客に最新のAI/クラウドソリューションを提案

Oracle AI: Powering Your Business

このセッションでは、OCIやOracleを導入して良かった点について、登壇企業がエンドユーザー視点で紹介しました。

各社のポイントは下記になります。

  • Exelon:米国最大規模の電力網運用。予測分析により不具合を事前検知し、現場作業員にデジタルツールを提供。
  • Avis Budget Group:Oracle Database 23ai を用い、自然言語クエリによるデータ操作を実現。調達プロセスの自動化と判断スピード向上に寄与。
  • Marriott International:複数システム統合・操作UI統一により、従業員が顧客対応に集中できるように設計。
  • Biofy:ベクトルデータベースを使い、細菌耐性の分析モデルを構築。診断時間を5日から4時間に短縮。

Oracle Vision and Strategy

このセッションでは、OracleおよびOCIのアップデート情報などが共有されました。ポイントは下記になります。

  • AIインフラに対する投資・構想:テキサス州アビリーン(Abilene)で、45万台以上のNVIDIA GPUを備えた巨大なAIデータセンターを建設中。
  • AIのフェーズ論と今後の方向性:モデルを訓練する時代(Training)から、企業が自社データで推論し価値創出する時代(Reasoning)へ。
  • AIとデータベース・データプラットフォームの統合:Oracle AI Database 26aiを発表。ベクトル化・インデックス化など(RAG対応)を含むAI統合を強化。
  • 業界応用とユースケース:医療分野(Cerner)を含む幅広い領域でのAI活用の可能性に言及。

The “AI for Data” Revolution is Here–How to Survive and Thrive

このセッションではOracle AIの新機能について紹介がありました。ポイントは下記になります。

  • Oracle AI データベースの主な特徴
    • AIベクターという新しいデータ型を導入
    • ドキュメントや画像の類似性検索が高速に可能
    • 自然言語での質問に対し、データベース内の情報から回答を生成
    • データベース管理にAIアシスタントを統合
    • データ開発ワークフロー全体にAIを組み込み
  • Oracle AI データプラットフォームの特徴
    • エンタープライズデータを統合
    • 様々なAIモデルとフレームワークをサポート
    • 開発者向けのワークベンチを提供
    • ビジネスユーザー向けのAIエージェントハブを用意
    • セキュリティとガバナンスを強化

Building the Cloud for You

このセッションではOCIのメリットや今後予定しているアップデートなどが紹介されました。ポイントは下記になります。

  • OCIの目標:最高のパフォーマンス、最低コスト、最も安全なインフラを提供すること。
  • 設計思想:ベアメタルサーバーに焦点を当て、セキュリティと拡張性を重視。
  • 新技術「Acceleron」:セキュリティとI/O高速化のための新しいソフトウェアアーキテクチャを発表。
  • AIインフラへの投資:AI時代を見据えた基盤投資を継続。

「高性能・低コスト・安全性」を同時に高めようとする方針が明確で、実運用の観点で今後のアップデートがどこまで効いてくるかが特に気になりました。

Enterprise-Ready, AI-First: What’s New with Oracle Database@Azure

このセッションではOracle Database@Azureの新機能や、今後リリース予定の機能について紹介がありました。ポイントは下記になります。

  • MicrosoftとOracleのパートナーシップの目的
    • 顧客のクラウド移行を支援
    • セキュリティとAI活用の機会を提供
    • エンタープライズ向けデータベースソリューションを統合
  • 主な特徴
    • Microsoft Azureリージョン内でOracleインフラストラクチャを直接実行
    • ライセンスと技術サポートの簡素化
    • 高可用性とディザスタリカバリの実現
  • セキュリティと技術統合
    • Azure Key Vaultとの暗号化統合
    • ネットワークセキュリティ機能の強化
    • Microsoft Sentinelおよびセキュリティ関連サービスとの連携
  • AIとデータ分析
    • Power BIやAzure AI Servicesとの統合
    • エンタープライズデータからの洞察提供
    • 開発支援(Copilotなど)との連携の可能性

全体として、顧客にシームレスで効率的なクラウドソリューションを提供することが狙いだと理解しました。

Multicloud Panel: Hear It from Amazon, Google, Microsoft, and Oracle

このセッションではAmazon、Google、Microsoft、Oracleの代表者が集まり、データベースのクラウド移行について議論しました。ポイントは下記になります。

  • セキュアで進めやすいデータ移行
  • 高性能なインフラストラクチャの提供
  • 生成AIとの統合
  • コスト効率の高いソリューション

顧客には、重要度の高いデータから段階的に移行を進めることが推奨されていました。

Talcott’s Transformation Journey with Oracle Database@Azure

このセッションではTalcottがOracle Database@Azureに移行した際の課題や、得られた効果について紹介されました。ポイントは下記になります。

  • 背景:Oracle Cloud Infrastructure(OCI)とMicrosoft Azureの2つのクラウドを活用し、多クラウド環境を簡素化。
  • 主な課題:クラウド間のデータ遅延、データ分離、災害復旧設計の複雑さ。
  • 対応:Autonomous Database(ADB)をAzureに移行。
  • 効果:スケーラビリティ向上、パフォーマンス向上、コスト削減、セキュリティ/コンプライアンス強化。
  • 今後:AIサービスの活用とさらなるデータ統合を検討。

Things You Should Know: Oracle Multicloud on GCP and Azure

このセッションではOracle Database@AzureとOracle Database@Google Cloudを利用した場合のメリットや注意点について解説がありました。ポイントは下記になります。

  • Oracle Exadataデータベースを、OCI、Microsoft Azure、Google Cloud、Amazon Web Servicesなど複数のクラウド環境でプロビジョニングする方法
  • 共通の設計パターンと、ネットワーキング、セキュリティ、リソース共有の課題
  • マルチクラウド環境でのデータベース移行と管理の容易さ
  • 成功の鍵は、各クラウドの特性を理解したうえで、セキュリティ/ネットワーク/アクセス管理を設計すること

Accelerate Azure Migrations by Unlocking Access to Microsoft Experts & Programs

このセッションではOracleとMicrosoftが考えるOracle Database@Azure導入のメリットについて紹介がありました。ポイントは下記になります。

  • 共同顧客向けに、ライセンスと価格設定の整理を進めている
  • セキュリティ、移行、イノベーションに焦点を当てたプログラムを提供している
  • クラウド移行後の性能向上や運用負荷低減が期待できる

Pros, Cons, and Tips to Drive Innovation on Oracle Database@Azure

このセッションではOracle Database@Azureのメリット・デメリットなど、役立つ情報が事例を通して紹介されました。ポイントは下記になります。

  • GSFグループは施設管理サービスを提供する企業で、PeopleSoftのERPシステムをクラウドに移行しました。
  • DNCとOracleの支援を受け、Microsoft AzureとOCIのマルチクラウド環境に移行しました。移行の目的は、コスト最適化、パフォーマンス向上、イノベーションの実現です。
  • プロジェクトでは、セキュリティ強化、データベースのアップグレード、AI機能(デジタルアシスタント、モバイルアプリケーションなど)の導入も行いました。
  • 移行により、サポートコストを75%削減し、新しい技術基盤を構築しました。
  • 今後は、他アプリケーションの統合や、さらなるデジタル化、生成AIの活用を計画しています。

セッションの様子です。

Keynoteの様子です。

まとめ

Oracleは「AIとクラウドの融合」を単なる技術トレンドではなく、顧客価値創出のための実践的な戦略として提示している点が印象的でした。

特に、セキュリティとガバナンスを重視しながら、企業データへAIを安全に適用する仕組みは、現場での導入ハードルを下げる重要な要素だと感じました。

また、Microsoft Azureとの連携やパートナー支援策から、エコシステム全体で顧客を支える姿勢が強く伝わってきました。

ラリー・エリソンを会場で見られなかったのは残念でしたが、来年に期待です。

執筆担当者プロフィール
森 尊臣

森 尊臣(日本ビジネスシステムズ株式会社)

ハイブリッドクラウド本部所属。 SQL ServerやAzureを中心としたシステムの設計・構築に携わっています。

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