【Microsoft×生成AI連載】【最新情報】Copilot Studioエージェントビルダーのナレッジにチャットとサイトが対応しより便利に

Microsoft Copilot Studioエージェントビルダー上のナレッジ機能にて、Teamsチャットとサイト・自身のメールが追加できるようになり、より便利になりました!

本記事では、追加機能の紹介と追加機能を利用したエージェントの作成を行います。

Copilot Studioエージェントビルダーの最新機能が気になる方、AIエージェントに興味がある方はぜひご覧ください。

これまでの連載

これまでの連載記事一覧はこちらの記事にまとめておりますので、過去の連載を確認されたい方はこちらの記載をご参照ください。

blog.jbs.co.jp

Copilot Studioエージェントビルダーの概要

Copilot Studioエージェントビルダーは、自然言語のみでコードを書くことなく業務に特化したAIエージェントを作成できるツールです。Microsoft 365 Copilotと業務データを連携することで、特定のタスクや業務に特化したAIエージェントを作成し業務効率を向上させることができます。

Copilot Studioエージェントビルダーは、Microsoft 365 Copilot Chatの画面より選択することが可能です。チャット画面右側「エージェントの入手」「エージェントの作成」を選択することで入手と作成が可能になります。

Copilot Studioエージェントビルダーの選択画面

今回は、ナレッジ機能に焦点を当てて、エージェントの作成から実際にAIエージェントを作成するところまでを実践してみたいと思います。

エージェントの作成には次の2通りの作成方法があります。

  1. 対話形式で各設定値を生成AIに決めてもらう
  2. 設定値を一つ一つ自身で設定する

本記事では、前者の対話形式でエージェントを作成したいと思います。

※ 各設定値を入力する作成方法については別の記事にて紹介しているため、興味のあるかたは閲覧してみてください。

【Microsoft×生成AI連載】Copilot Studio エージェントビルダーでエージェントを作成してみた - JBS Tech Blog

ナレッジ追加の新機能紹介

エージェントビルダーでAIエージェントを作成する際には、エージェントが参照可能な追加のデータである[ナレッジ]を選択することができます。

ナレッジ機能ではこれまで以下を追加可能でした。

  • オンライン上にあるファイル
  • 一般公開されているWebサイト

Webページは4件まで、SharePointは20個まで追加が可能でした。

今回新たに追加することが可能になったナレッジです。

  • (New)SharePointサイト
  • (New)参加しているTeamsチャット
  • (New)自身のMicrosoftアカウントに紐づくメール

なお、チャネルやチャットは最大5つまで選択可能です。

エージェントビルダー上のUIもそれに併せて変更されています。

ナレッジ機能の新しいUI

今回は、新しい機能を活かすためのエージェントであるQAナレッジエージェントを作成したいと思います。

現在私の所属部署では、社内の技術に関するQAをTeamsのチャネルに投稿して管理しています。ですが、自身の聞きたいことがあるときに投稿をさかのぼり、似たようなQAが無いかを探すのに毎回一苦労するため、これをエージェントに代わりに行ってもらいたいと思います。

QAで使用している社内チャネル

AIエージェントの作成

今回はナレッジの追加に焦点を当てるため、作成手順は一部割愛します。

まずは、エージェントを作成するために、ナレッジの追加以外の、名前・説明・指示文・スタータープロンプトを設定しました。

設定した指示文は以下です。

あなたは社内技術QAチャネル(Teams)の過去投稿をナレッジとして取り込み、ユーザーからの技術的な“ギモン”に対して、過去投稿に類似する質問や回答を検索し、該当箇所を提示するエージェントです。

## 振る舞い
1. ユーザーの質問意図を正確に汲み取り、キーワードや技術用語を抽出します。
2. ナレッジベース(Teamsチャネルの投稿)から、ユーザーの疑問に最も合致する過去投稿(質問+回答)を検索します。
3. 複数の候補がある場合は、関連度の高い順に上位3件まで提示し、投稿日時とチャンネル名も付記します。
4. 過去投稿が見つからない場合は「過去の投稿には該当するものが見当たりませんでした」と回答し、必要に応じて新規質問の投稿を促します。
5. 回答時は、引用箇所を引用符(“”)で囲むか、箇条書きで要約し、オリジナルの文意がわかるよう努めます。

## 出力フォーマット
- **質問の要約**:(ユーザーの質問を要約)
- **候補1**  
  - 投稿日:YYYY/MM/DD  
  - 投稿名
  - 内容(要約 or 引用)  
- **候補2**  
  - …  
- **該当なしの場合**  
  過去の投稿には該当するものが見当たりませんでした。必要であれば新規に投稿してください。

## 注意事項
- 検索結果の正確さを最優先し、根拠となる投稿を必ず示してください。
- ユーザーには丁寧かつフレンドリーな口調で回答してください。

また、設定したスタータープロンプトは以下です。

タイトル メッセージ
同様の技術質問を検索 Teams 技術QA チャネルの過去投稿から、以下の質問と類似する疑問や回答を上位3件まで探してください。 【質問】「{あなたの質問内容}」
キーワード指定で検索 ナレッジベース中で、キーワード「{キーワード}」を含む投稿を検索し、関連度の高い順に3件まで提示してください。 該当がなければ「該当なし」と回答してください。
新規投稿が必要か確認 過去投稿を検索して、以下の質問に類似するものがまったく見当たらないかどうかを判定してください。 【質問】「{あなたの質問内容}」 — 見当たらなければ「新規投稿を検討してください」と促してください。

ナレッジ以外を作成したエージェント

続いて、ナレッジを追加からTeamsのチャネルを追加したいと思います。

まず最初に、Teamsチャネルのリンクを取得します。今回追加したい[05 Question_ask]のチャネルの右側三点リーダーを選択し、[チャネルへのリンクを取得]よりリンクを取得します。

Teamsチャネルのリンクを取得

続いて、エージェントビルダーに戻り、取得したURLを入力しEnterキーを押します。

ナレッジにURLを挿入

すると、以下のようにナレッジが追加されたことがわかります。

追加されたナレッジの表示画面

これでエージェントの設定は全て完了です。では、実際に作成したエージェントを試してみたいと思います。

過去にAzure Virtual Desktop(AVD)に関する質問が上がっていたか、スタータープロンプトを使って質問してみます。

スタータープロンプトを使用し質問を投げる

すると、想定した通りに回答が返ってきていることがわかります。

エージェントの回答

自分の気になった内容があれば、リンク先から投稿内容を確認することができます。

クラウド関連の技術はアップデート等により変更されることが多々ありますが、投稿日も併せて出力してくれるので、とてもありがたいですね。

ナレッジ追加の際の注意点

今回チャネルをナレッジへ追加する際にURLの入力により行いましたが、チームやチャットはエージェントビルダー上のUIから追加をすることも可能です。

ナレッジを入力する際にサイトを検索又は選択することで追加することができますが、この方法でチャネルを追加した場合はチーム内のチャネル全体を閲覧するため、必要な範囲を絞りたい場合は先ほどのようにチャネルのURLを入力することをおすすめします。

エージェントビルダー画面からサイトを選択可能

ファイルについては、[クラウドのファイルを添付]を選択することで、以前と同様のUIでファイルをナレッジに追加することが可能になっていますので、併せて使用してみてください。

クラウドのファイルを添付するを押下

利用シーンと注意点

利用シーン

これまでのエージェント作成よりもさらに広範囲の情報を収集できるようになったことで、よりエージェントのユースケースが拡大しました。利用シーンをいくつかご紹介します。

  • プロジェクト把握エージェント
    • プロジェクトに関連するチャネル・チャット・ファイルをナレッジに追加
    • 新たにプロジェクトにアサインしたメンバの支援や、既存メンバに現在の情報共有を行うためのエージェント
  • タスク管理エージェント
    • 自身の参加しているチャットとメールをナレッジに追加
    • メールやチャットを参照することで、自身に振られたToDoを収集し、タスク管理を行うためのエージェント

メリット

記事内で繰り返し言及していますが、これまでのCopilot Studioエージェントビルダーと比較して、より広範囲の内容をナレッジとして取得することができるようになりました。

注意点

  • より広範囲のナレッジを追加できるようになりましたが、用途に応じて範囲を絞ってナレッジの追加を行うことが求められます。
  • チャットをナレッジに追加する機能はとても便利ですが、新たに関連するチャットが派生した際にエージェントに追加する作業が必要となるため、運用にも注意が必要です。

まとめ

Copilot Studioエージェントビルダーのアップデートにより、Teams チャネルやチャット・メール・SharePoint サイトをワンクリックで検索対象にできるようになりました。

従来のファイルや公開 Web のみしか参照できなかった頃と比べ、業務データをより広範囲で扱える汎用RAG プラットフォームへ進化しつつあることをわかっていただけたかと思います。

Copilot Studioエージェントビルダーのアップデートは日々行われているので、本ブログをチェックして最新機能の情報収集に役立てていただければと思います!

おまけ(Copilot Chatによる本記事の要約)

Copilot Studioエージェントビルダーの新機能まとめ

Microsoft Copilot Studioのエージェントビルダーに、Teamsチャット・SharePointサイト・自分のメールをナレッジとして追加できる機能が加わり、より柔軟なAIエージェント作成が可能になりました。

記事では、技術QAチャネルの過去投稿を検索・提示するエージェントを例に、対話形式での作成手順やナレッジ追加の方法(チャネルURLの活用など)を紹介。用途に応じたナレッジ範囲の絞り込みや、運用時の注意点も解説されています。

このアップデートにより、Copilot Studioはより実用的な業務特化型RAGプラットフォームへと進化しています。

執筆担当者プロフィール
宅見 健太朗

宅見 健太朗(日本ビジネスシステムズ株式会社)

Data&AI事業本部に所属。AzureをメインにAI関連サービスなどを勉強中です。

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執筆担当者プロフィール
渋谷 優輝

渋谷 優輝(日本ビジネスシステムズ株式会社)

Microsoft Azure、特に生成AIやデータパイプラインのインフラ構築を行っています。

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