Formsフォームに回答があった際、フォームの所有者宛てに「回答があった旨」を通知することは可能ですが、通知先を変更したり、メール本文に回答内容を含める等、任意の内容を送信したいと感じた経験はないでしょうか。
そのような時は、Power Automateを併用すると、Formsフォームに回答があった際に任意の内容でメール通知を行うことが可能になります。
その際、 通知先としてTeamsチームに紐づくMicrosoft 365グループのメールアドレスを指定することで、複数人宛にメール通知を行うことが可能かつ、フロー側でメール通知先をメンテナンスすることなく既存のチームメンバーに通知を行うことができて便利です。
今回はMicrosoft 365グループ宛にメール通知を行うフローの作成手順とポイントをご紹介します。
フロー概要と通知メールのイメージ
フロー概要
今回のフローの概要は下図のとおりです。
Formsフォームに回答があった際にフローが実行され、任意のMicrosoft 365グループのメールアドレス宛に下記2点を含めた内容のメールが送信されます。
- 回答者の表示名
- 回答内容
▼フロー全体図
通知メールのイメージ
Forms既定の通知メールでは「フォームへの回答があった」旨のメッセージのみ通知されますが、本フローで送信される通知メールの場合、回答者や回答内容も併せて通知されます。
▼送信された通知メール
▼Forms既定の通知メール
事前準備
事前準備として、下記の手順でMicrosoft 365グループのメールアドレスを調べておきます。
Microsoft 365グループのメールアドレスを調べる手順は以下の通りです。
- 対象のTeamsチームの[一般] チャネルの[投稿] タブを選択します。
- 画面右上の[・・・] - [SharePointで開く] をクリックします。
- チームに紐づくSharePointサイトが開いたら、画面左端の[スレッド]をクリックします。
- Outlook on the webでグループの受信トレイが開いたら、画面上部のグループ名をクリックします。
- メールアドレスを確認します。
フロー作成手順
- Power Automate にサインインします。
https://make.powerautomate.com/ - 左側のナビゲーションから[作成]を選択します。
- [自動化したクラウドフロー]をクリックして下記2点を入力後、[作成]をクリックします。
フロー名:任意のフロー名(入力しなくてもフローの作成は可能)
フローのトリガーを選択してください:新しい応答が送信される時
※該当のトリガーが表示されない場合は、検索ボックスに「Forms」と入力し、表示された候補から選択します。
- 「新しい応答が送信されるとき」のフォームIDにて該当のフォームを選択します。
- 「応答の詳細を取得する」アクションを追加し、下記を選択します。
フォームID:該当のフォーム
応答ID:動的なコンテンツ「応答ID」 - 「ユーザープロフィールの取得(V2)」アクションを追加し、下記を選択します。
ユーザー(UPN):動的なコンテンツ「Responder’s Email」 - 「メールの送信(V2)」アクションを追加し、下記を選択します。
宛先:通知メールを送信するMicrosoft 365グループのメールアドレス
件名:任意の件名
本文:任意の本文(例は下図の通り) - 画面右上の[保存]をクリックし、作成したフローを保存します。
ポイント
メール通知するフローを作成しても、ユーザーが見落としてしまっては効果がありません。
そこで、本フローでメール通知を送信するMicrosoft 365グループに含まれるユーザーが、Microsoft 365グループ宛のメールに気づきやすくなるポイントを紹介します。
ポイント1:”強制フォロー” の設定
既定ではMicrosoft 365グループの受信トレイにメールが入った際、メンバー個人の受信トレイにはメールは入らず、わざわざMicrosoft 365グループの受信トレイを開かないと新着メールに気づくことができません。
そこで、Microsoft 365グループの所有者にて、グループメンバーに強制的にグループの受信トレイをフォローさせるよう設定することで、グループ宛のメールが各メンバー個人の受信トレイにも入るようになります。
設定手順は以下の通りです。(グループ所有者にて可能な操作です)
- Outlook on the webにて該当のMicrosoft 365グループの受信トレイを開きます。※前述の「事前準備」の手順をご参照ください。
- 画面中央のグループ名の下に表示されている[・・・] ‐ [設定]をクリックします。
- [グループを編集]をクリックします。
- [メンバーはグループのすべてのスレッドとイベントをメンバーの受信トレイに送信します。必要に応じて、メンバーは後でこのグループのフォローを停止できます]のチェックをオンにして、[保存]をクリックします。
ポイント2:自分が差出人のグループ宛のメールのコピーを受信できる設定にチェックオン
本フローによる通知メールの差出人はフローの作成者、宛先はMicrosoft 365グループのメールアドレスになります。
既定では差出人がご自身のアカウントのMicrosoft 365グループ宛のメールは、グループをフォローしていてもご自身の個人の受信トレイには入らないため、Outlook on the webにて自分が差出人のグループ宛メールを、自分の受信トレイに届くよう設定する必要があります。
設定手順は以下の通りです。
- Google ChromeなどのWebブラウザーにて、下記URLを入力しOutlook on the webにアクセスします。
https://outlook.office.com/mail/ - 画面右上の[設定](歯車のアイコン)をクリックします。
- 設定画面の[メール] - [グループ] を選択します。
- [グループに送信するメールのコピーを自分に送信する] チェックをオンにします。
- [保存] をクリックします。
ポイント3:外部からのメール受信を許可
本フローでは、Formsフォームへの回答が届いた場合にメール通知を行いますが、グループのフォームの場合、該当のフォーム自体の設定にて下記の「各回答の通知をメールで受け取る」の設定をオンにしておくことで、万一フローの実行が失敗した場合でも、Formsからの通知をメールで受け取ることが可能です。
なお、Microsoft 365グループが外部(Microsoft Forms)からのメールを受け取るには、下記設定の実施する必要があります。
設定手順は以下の通りです(グループ所有者にて可能な操作です)
- Outlook on the webを開き、該当のMicrosoft 365グループの受信トレイを開きます。
- 画面中央のグループ名の表示の下の表示されている[・・・] ‐ [設定]をクリックします。
- [グループの編集]をクリックします。
- [組織外のユーザーにグループのメールの送信を許可する]にチェックを入れ、[保存]をクリックします。
まとめ
本記事では、Formsフォームに回答があった際にMicrosoft 365グループにメール通知を行うフローについてご紹介しました。
メールの通知先をTeamsチームに紐づくMicrosoft 365グループにすることで、通知したい相手に変更があった際にPower Automateのフローを編集しなくてもTeamsチーム側でメンバー変更を行えば良いところが、このフローの便利な点です。
また、フォームへの回答があった場合に、より気づきやすくなるポイントについてもご紹介しましたので、Microsoft 365グループに通知メールを送りたい場合には是非本記事の内容をご活用いただけますと嬉しいです。
柳生 紗弥(日本ビジネスシステムズ株式会社)
プロフェッショナルサービス本部に所属。現在はサービスデスク業務にて、主にMicrosoft 365やPower Platformのユーザーサポートを行っています。趣味はキャンプです。
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