前回、WindowsデバイスからLinuxサーバー(Red Hat Enterprise Linux 8.7)へのリモートデスクトップ接続の方法をご紹介しました。
今回は、Hyper-V上のUbuntuサーバーにXRDPをインストールし、Windowsデバイスからリモートデスクトップ接続する方法をご紹介します。
事前準備
仮想マシンを作成する前に、Windowsデバイスにて以下の準備を行います。
- Hyper-Vのインストールと有効化
- UbuntuサーバーのISOイメージのダウンロード
- Ubuntuの公式サイト(https://ubuntu.com/download/server)からダウンロード可能
- 今回はubuntu-24.04.2-live-server-amd64.isoを使用
- Hyper-V上での仮想マシンの作成と設定
- クイック設定は利用せずに作成
- Windowsデバイスと通信が出来るように仮想ネットワークを設定
- ダウンロードしたUbuntuサーバーのISOイメージをマウント
- その他の設定は任意
XRDPの概要については過去の記事をご参照ください。
仮想マシンのインストール手順
作成した仮想マシンにUbuntuサーバーをインストールする手順となります。
仮想マシンの起動
1. Hyper-V マネージャーを開いたら[接続...]をクリックします。
2. 起動後、Ubuntuのインストールメニューが表示されるので、[Install Ubuntu]を選択します。ここからインストールが始まります。
3. 表示されている言語のリストから、使用する言語を選択します。
※ ここで選択した言語はインストールや設定プロセスの他、インストール後にシステム全体で利用されます。
4. キーボードの設定を行います。使用しているキーボードに合わせてレイアウト(配列)を選択します。
5. Ubuntuのインストールプロセスにおいて、インストールするタイプを選択します。[Ubuntu Server]がデフォルトのインストールであり、サーバー用に調整されたパッケージのセットが含まれています。
6. ネットワーク設定の画面です。サーバーが他のマシンと通信するために、少なくとも1つのインターフェースを設定する必要があります。
7. プロキシサーバーの設定画面です。企業や特定のネットワーク環境で、システムがインターネットに接続するために、プロキシサーバーを使用する必要がある場合に入力します。
8. ストレージ設定画面です。サーバーのディスクをどのように設定するかを選択します。
9. ストレージ設定の概要を表示する画面です。ファイルシステムの構成や利用可能なデバイス、使用中のデバイスに関する情報がまとめられています。確認して問題なければ先に進みます。
10. インストール開始前の最終確認画面です。「Continue」ボタンを選択するとインストールプロセスが始まり、選択したディスク上のデータは失われます。確認して問題なければ先に進みます。
11. サーバーまたはコンピュータのユーザーアカウントを作成する際のプロファイル構成を行います。
- Your name
- ユーザー名を入力します
- Your server's name
- サーバーの名前を入力します
- 他のコンピュータと通信する際に使用されます
- Pick a username
- システムにログインする際に使用するユーザー名を選びます
- ここで指定したユーザーはシステム内で特定の権限を持ちます
- Choose a password
- 上記のユーザー名に関連付けるパスワードを設定します
- ログイン時に必要となります
- Confirm your password
- 上記で設定したパスワードを再入力して確認します
12. Ubuntu Proへのアップグレードを促す画面です。今回はアップグレードせずにそのまま続けます。
13. SSH(Secure Shell)の設定画面です。この設定を行わないと、リモートからSSHで接続することはできません。
※ Hyper-Vでは、ゲストOS間でのコピー&ペースト機能が制限されているため、リモートでの管理やアクセスが必要になる場面が多いです。そのため、OpenSSHサーバーをインストールし、SSH接続を有効にしておくことをお勧めします。
14. UbuntuなどのLinuxディストリビューションのインストールプロセス中に表示される「Updating system」画面です。システムのインストールと設定を行っている様子がログとして表示されています。
15. [Reboot Now]を選択し、再起動します。
仮想マシンのインストール確認
仮想マシンの起動-項11で設定したユーザー名とパスワードを入力します。ログイン後に以下のプロンプトが返ってくることを確認します。
ユーザー名@ホスト名:~$
XRDPのインストール
XRDPをインストールします。これにより、Windowsや他のOSからUbuntuサーバーのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)にアクセスすることができます。
Ubuntuの更新
Ubuntuのパッケージを最新の状態に更新します。
sudo apt update
sudo apt upgrade -y
XRDPのインストール
XRDPをインストールします。
sudo apt install -y xrdp
デスクトップ環境のインストール
XRDPを使用するためには、デスクトップ環境が必要です。ここでは軽量なXfceをインストールします。
sudo apt install -y xfce4 xfce4-goodies
XRDPの設定ファイルを編集
1. XRDPセッション開始時に startxfce4 を実行するように .xsession ファイルに書き込みます。
echo "startxfce4" > ~/.xsession
2. XRDPのセッション設定ファイル /etc/xrdp/startwm.sh を以下のように編集します。
vi /etc/xrdp/startwm.sh
#!/bin/sh
startxfce4 ←☆追加
# xrdp X session start script (c) 2015, 2017, 2021 mirabilos
# published under The MirOS Licence
# Rely on /etc/pam.d/xrdp-sesman using pam_env to load both
# /etc/environment and /etc/default/locale to initialise the
# locale and the user environment properly.
if test -r /etc/profile; then
. /etc/profile
fi
if test -r ~/.profile; then
. ~/.profile
fi
test -x /etc/X11/Xsession && exec /etc/X11/Xsession
exec /bin/sh /etc/X11/Xsession
サービスの起動とシステムの自動起動
以下のXRDPサービスを起動し、システム起動時に自動的に開始するように設定します。
sudo systemctl start xrdp
sudo systemctl enable xrdp
リモートデスクトップ接続をする
インストールが完了したら、WindowsデバイスからXRDPサーバーに接続が可能になります。
リモートデスクトップクライアントの準備
1. リモートデスクトップクライアントを開きます。サーバーアドレスを入力したら、[接続(N)]をクリックします。
2. リモートデスクトップ接続の警告画面が表示されたら[はい(Y)]をクリックします。
接続の確立
1. XRDPの接続画面が表示されたら[username]と[password]を入力して[OK]をクリックします。
2. 以下の画面が表示され、リモートデスクトップ接続に成功したことが分かります。
おわりに
前回紹介した内容と使用するOSも環境も異なるため、設定やインストール手順においても若干の違いがありましたが、XRDPのインストールプロセス自体は基本的に共通しています。
どちらの環境でも、リモートデスクトップ接続を通じてGUI環境にアクセスできることは大きな利点です。
石黒 允規(日本ビジネスシステムズ株式会社)
ネットワークインテグレーション部に所属しており、主にAzureに関する業務を行っています。 JBS野球部にも所属しており、週末を楽しく過ごしております
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