Azure上でA10 vThunderをデプロイする手順

はじめに

A10 Thunder ADCシリーズはA10ネットワークスが提供するロードバランサ製品です。基本的な負荷分散機能に加え、アプリケーションレベルでの高い可用性・セキュリティ機能を備えています。

シリーズの1つであるA10 vThunderは仮想環境に対応した製品で、現在AzureやAWS、Oracle Cloudで利用可能です。

今回はAzure上でA10 vThunderをデプロイする際の手順を簡単にまとめます。

構築手順

Azure Marketplaceからプランを選択

Marketplaceで「A10」を検索し、「A10 vThunder ADC for Microsoft Azure」を選択します。

 

課金モデルには従量課金とライセンス持ち込みがあります。パフォーマンスレベルも複数用意されているので、用途に応じてプランを選択します。

「プランと価格」のタブから各プランのコストを確認できます。最初の月は無料試用版として利用できるようです。

無料であるのはA10の部分で、セットで構築するVMやディスク等のAzureインフラ部分は通常通り課金されますので注意です。

 

仮想マシンの作成

プランを選んだら仮想マシンを作成します。

作成の流れは一般的なAzureの仮想マシンと同様のため割愛しますが、A10にログインするためのNSG設定を追加する必要があります。

NSGの受信ルールにCLIログインのためのTCP22番ポートと、ウェブGUIログインのためのTCP8443番ポートのアクセス許可設定を追加します。

A10へログイン

デプロイが完了したら、CLI/GUIでそれぞれログインしてみます。

注意点として、一般的な仮想マシンへのログインと異なり、仮想マシン作成時に設定した管理者アカウント名/Passではログインできません。

A10物理アプライアンスと同様に、以下のA10の初期ユーザ名/パスワードでログインする必要があります。

初期ユーザ名:admin

初期パスワード:A10

A10 vThunderのIPアドレスに対して、SSHでログインできました。

また、ここでウェブGUIへのアクセスを許可するために以下を設定します。

ウェブGUIへは「https://[A10 vThunderのIPアドレス]:8443」でブラウザアクセスし、以下の画面よりログインします。

ウェブGUIからもログインできました。

インターフェースに関する注意事項

A10 vThunderは物理アプライアンスとはインターフェースの設定が少し異なります。

vThunderではインターフェースに固定IPアドレスを割り当てられないため、以下のようにDHCPでIPを取得するよう設定します。

また、vThunderではインターフェースをデフォルトでethernet1の1つしか持たない構成となっています。

インターフェースを追加したい場合は仮想マシンを停止した上で、ネットワークの設定画面からNICを追加する必要があります。

1つ追加すると、managementインターフェースが利用できるようになりました。

追加したNICにethernet1が割り当てられ、パブリックIPアドレスを持った元のNICがmanagementインターフェースに変わる挙動のようです。

2つ目を追加するとethernet2が割り当てられました。

割り当てられる最大NIC数は仮想マシンのサイズによって異なるので、要件に合わせて仮想マシンのサイズを選択してください。

まとめ

Azure上でA10 vThunderをデプロイし、設定可能な状態にするまでの簡単な手順を書きました。

仮想アプライアンス固有の設定に少し戸惑うところもありますが、簡単に構築でき、無料試用期間もあるため検証用途でも気軽に使えます。

本記事が少しでも皆様の参考になれば幸いです。

執筆担当者プロフィール
H
.Kasai

H .Kasai(日本ビジネスシステムズ株式会社)

ネットワーク/クラウドセキュリティ分野を担当しています。沖縄が好きです。

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