【Azure Lab Servicesを語る:第2話】Azure Lab ServicesによるテンプレートVMのカスタマイズ

※ 2024/7/16に、Azure Lab Servicesのサービス提供停止が案内されました。2027/6 /28でサービスが利用出来なくなります。また、2024/7/15までにAzure Lab Servicesを利用したことが無いサブスクリプションでは、新規のラボが作成できなくなるようです。本記事を参照してAzure Lab Servicesを利用出来ないケースもありますのでご了承ください。本記事は参考情報として消さずに残しておきます。*1

Azure Lab Services(以下、Lab Services)という、トレーニングやハッカソンのためのハンズオン環境を作成・運用するためのサービスについて解説する連載です。

第一回では、サービスの概要と利用までの大まかな流れを解説しました。

blog.jbs.co.jp

今回は、Lab Services Web サイトを使った、テンプレートVMのカスタマイズの流れについて解説します。

テンプレートVMのカスタマイズが必要なケース

テンプレートVMをカスタマイズする必要なケースは様々だと思いますが、自分が経験した中では下記のようになります。

  • 利用者用の仮想マシン(以下、利用者用VM)にあらかじめワーク用のスクリプトやISOファイル、作成済みの仮想マシンなどを保存しておく
  • Hyper-VやIISなどの役割や機能をあらかじめインストールしておく
  • 日本語化を実施しておく

例えば日本語化であれば利用者に実施してもらう方法もありますが、言語パックのダウンロードと適用、再起動で30分程度かかることもあり、なかなか馬鹿にならない時間が必要です。

ですので、講師など主催者としては省けるのであれば省きたい作業になります。

テンプレートVMのカスタマイズ

Lab ServicesでテンプレートVMをカスタマイズする際の特徴として、Azureポータルでの操作が不要で、Lab Services Web サイトで完結する事が挙げられます。

今回は、実際の流れを見てみましょう。

テンプレートVMの起動と接続

まず、Lab Services Web サイトにアクセスします。

https://labs.azure.com/

「テンプレート」を開き、「テンプレートの開始」か右側の「停止」のトグルボタンを押して、テンプレートVMを起動します。

起動に関する警告が出ますので、確認して続行します。

開始するまでしばらく待ちます。

実行中になったら、「テンプレートに接続する」をクリックすると、RDPファイルをダウンロードする事が出来ます。

テンプレートVMのカスタマイズ

ここは仮想マシンの時と基本的には変わりません。今回はWindows VMなので、先ほどダウンロードしたRDPファイルを使ってリモートデスクトップで接続し、カスタマイズします。

今回は、Cドライブ直下にBlog フォルダを作って、テスト用のテキストファイルを配置しておきます。

カスタマイズ後は、リモートデスクトップ接続を切断し、Lab Servicesから停止します。

なお、sysprepによる一般化の必要性についてはMicrosoftのドキュメントには明記がありませんでした。

ですが、これまで使ってきた限りでは一般化を行わなくても問題なく利用できていますので、基本的には不要だと思われます。*2

ラボ テンプレートを管理する - Azure Lab Services | Microsoft Learn

テンプレートVMの公開

最後に、Lab Services Web サイトから「公開」を実行すれば、ラボ内の利用者用VMに反映されます。

この時、ラボ内の利用者用VMは新しいテンプレートで作り直されます。これまでの操作内容は全てリセットされるので注意が必要です。

公開には時間がかかるので、しばらく待ちましょう。

利用者用VMの確認

最後に、テンプレートVMへの変更が利用者用VMに反映されているか、確認してみましょう。

受講者用のLab Services Web サイトにアクセスし、仮想マシンを起動します。

リモートデスクトップで接続し、Cドライブ直下にBlog フォルダが作成されており、テスト用のテキストファイルがあることを確認します。

これで、テンプレートVMのカスタマイズ内容が利用者用VMにも反映されている事が確認できました。

おわりに

本記事では、Lab Services Web サイトを使った、テンプレートVMのカスタマイズの流れについて解説しました。

Azure仮想マシンでも、カスタマイズした仮想マシンをマネージドイメージやAzure Compute Gallery に保存して管理する事は可能ですが、Lab Servicesの場合は専用UIであるLab Services Web サイトの簡単な操作で完結する点が魅力かと思います。

次回は、気になるコスト面の考え方や、コスト削減にもつながる利用時間の管理機能についてご紹介します。お楽しみに!

*1:https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/lab-services/retirement-guide

*2:Lab Servicesのテンプレートとして特殊化されたVMも一般化されたVMも利用できる事は明記されています。Azure Lab Services で Azure Compute Gallery を使用する - Azure Lab Services | Microsoft Learn

執筆担当者プロフィール
舟越 匠

舟越 匠(日本ビジネスシステムズ株式会社)

人材開発部に所属。社内向けの技術研修をしつつ、JBS Tech Blog編集長を兼任。2024年8月からキーマンズネットPower Automateの連載を開始。好きなサービスはPower AutomateやLogic Apps。好きなアーティストはZABADAKとSound Horizon。

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