間接業務の効率化で企業の競争力向上につなげる

少子高齢化に伴う生産年齢人口減少や、DX推進などを背景として、業務を抜本的に見直す必要性が高まり、BPRが注目されています。

DXという言葉もBPRという言葉も一般的となり、一度は取り組み推進されている企業も多いかと思いますが、検討範囲としては、直接的に企業の利益や売上を生み出す為の業務を対象としている事が多くなっています。間接業務は企業運営を支える基盤であり重要度が高いものの、優先度は低くなりがちではないでしょうか。

利益や売上を生み出す直接業務を先行して、DXへの取り組みを進める事も非常に重要ですが、間接業務自体が非効率的となると企業の競争力の向上の足かせにもなりかねません。

例えば、経費精算一つにおいても、紙対応とデジタル化対応をしている企業では、デジタル化企業の方が、入力ミスによる手戻り抑制や入力の省力化などにより、直接部門の生産性にも差が生じてきます。

このように間接業務の効率化を通し、非効率的な間接業務を圧縮し、

直接業務に費やす時間を捻出する事が、企業の競争力向上の礎となるため、間接業務に着目すべきなのです。

間接業務の効率化推進に向けての重要なポイントを最初にまとめておきます。

Point!!
  • システム/ツール導入を目的にしてはいけない!
  • 活動の意図を明確に設定し伝える!
  • 抜本的にやるのであればゼロベースでの再設計を!
  • スモールスタートで知見の蓄積を!
  • PDCAサイクルを入れて継続的にまわすべし!

上記ポイントを踏まえて効率化の進め方を解説していきます。

間接業務効率化を推進する上での大前提

近年でのDXがトレンドとなっているなか、「自社でも何かを手を打たなければ・・・」と考え、むやみにシステム・ツール導入を進めてしまうケースがあります。

しかし、システム・ツール導入をしたからと言って、業務が抜本的に効率化されるわけではありません。
一定の判定基準に沿った反復業務のRPA自動化などは効果が出るケースもありますが、最悪の場合、ただ置き換えになっただけで、導入したのに使われなかったり、かえって業務が非効率になったりなど、お荷物のシステムになる可能性もあります。

ケース1:システム導入が先行した場合

ケース2:現行業務のムリ/ムダ/ムラを排除し業務の再設計した場合

上記のケース1と2を比べても一目瞭然で、ケース2の方が断然効果が高い事が分かりますね。

このように、最大限の効果を発揮させるためには、システム・ツール導入から入るのではなく、

業務自体のムリ/ムダ/ムラの排除から入ることが優先事項となります。

成功させるためのプロセス

実際に抜本的に業務を効率化していくために、押さえておきたいステップは以下の通りです。

1.目的・目標・スコープ設定

【目的・目標設定】

まず、推進していくには各部署の現場メンバーが目的を理解し協力しあえる体制が必須となります。

目的が共有されていない/曖昧な状態で、スタートさせても通常業務の波にのまれてしまい、後回しになりがちです。

  • 「なぜ効率化を実施すべきなのか」
  • 「効率化することでどんな組織を目指すのか」
  • 「効率化は定量的に〇〇%を目指すのか」

推進させるためにも上記の様な目的・目標を設定し、

取り組みを実施することで、自分達の業務・組織がどう変わっていくのかを現場メンバーがイメージできるように落とし込み、伝え続け、巻き込んでいく事がポイントです。

また、定量的な数値で設定しておくことも重要です、数値設定することで、改革の進捗度合いを図りやすく、実現に向けたアプローチ検討もしやすくなります。

【スコープ設定】

次に、対象業務の選定ですが、以下理由から、難易度が高く時間も要するERP導入・改修の様な長期的な範囲の業務でなく、2~3か月の範囲で対応可能な業務からスモールスタートしていきましょう。

  • 「成功事例から得た知見をもとに更に推進力を高めていくため」
  • 「万が一失敗したときのリスクヘッジ」

2.現行業務の可視化

続いて、可視化です。
前項で記載した通りにシステム・ツール導入からでなく、まずは実態の可視化が必須です。
可視化の中身としては、以下を整理していきましょう。

  • 「どんな業務を」
  • 「どのように」
  • 「どのくらいの工数がかかっているのか」

業務の流れを洗い出して止まってしまうケースもよくありますが、「関係メンバーがどれくらい工数をかけたのか。」は、期待効果を図る上でも、着手する優先度を検討する為にも必須になってくるので、しっかりと可視化していきましょう。

業務の可視化については今後、詳細を上げていきたいと思います。

3.現行業務のムダ分析

可視化ができたら、次はムダ分析です。

ポイントとしては、抜本的に見直しをかける場合には、従来のやり方にとらわれないことです。
例えば、申請一つにしても、「紙申請で入力に負荷がかかっている」から「申請をデジタル化しよう」と検討に入るのではなく、「〇〇申請はなんの為にやっているのか?申請自体廃止できないのか?廃止できないまでも件数は減らせないのか?」と、 業務の目的の再確認とゼロベースでのマインドを持ちながら進めることが、効果の最大化へのポイントです。

業務のムダの着眼点ノウハウは別途公開予定です。

4. To-Be業務検討

分析ステップで洗い出した課題を踏まえ、新しい業務フローを設計します。
業務フローでは以下を具体化していきます。

  • 「インプット・アウトプットは何か」
  • 「どんな業務を実施するか」
  • 「どの部署が対応するか」
  • 「利用するシステム・ツールは何か」
  • 「期待効果(コスト・工数など)はどれくらいか」

を整理していきながら、関係者にて机上でまずは運用が回るのか、課題はないかを擦り合わせていきます。

5.効果検証

実際に期待した効果が出ているのかを以下の3つのポイントで評価を行っていきます。

  • 新業務プロセスは上手く機能しているか。問題はないか
  • 期待効果が出ているか。
  • 効率化の余地は残っていないか。

「実行して終わり」ではなく、期待効果を評価し、継続的に改善していく事で最大限の効果が発揮されていくので、PDCAサイクルをしっかりと取り入れていきましょう

最後までお読み頂きありがとうございました。

この記事が、ほんの少しでもお役に立てる事を願っています。

執筆担当者プロフィール
八朔日 淳

八朔日 淳(日本ビジネスシステムズ株式会社)

システム化構想策定からDynamics 365/Power Platformの導入を推進しています。直近では、DX推進として"カイゼン文化の醸成"をテーマにバックオフィス系のBPR + Power Platform活用としてユーザー部門の方と寄り添いながら、最終的には顧客自身の努力で上昇し続けることができる仕組みを作る事に注力。

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