【Microsoft×生成AI連載】【やってみた】Copilot in Excelの「ブックルール」(.Rulesシート)でブック専用の指示書を作ってみた

この記事は 【Microsoft×生成AI連載】週次連載開催! の連載記事です。

【Microsoft×生成AI連載】今回はMicrosoft 365 CopilotのExcel向け機能「ブックルール」を取り上げます。

Excelでの作業をAIが手伝ってくれるCopilot in Excel(以下、Copilot)には、チャットで依頼するだけで表の整形や集計をブック上で直接実行してくれる機能があります。便利な一方で、「金額は千円単位にして」「見出しはこの色で」といった細かい指定を毎回プロンプトに書くのは手間がかかりますし、人によって書き方が違えば仕上がりもばらつきます。

今回は、そうした「ブックごとの約束事」をブック自体に埋め込んでおける機能「ブックルール」を紹介します。.Rulesという名前のシートにルールを書いておくと、そのブックでは誰がCopilotを使っても同じルールが適用される、というものです。実際にExcel for the webで.Rulesシートを作り、ルールの有無でCopilotの仕上がりがどう変わるかを検証しました。

※この記事の情報は2026年8月時点のものです。

これまでの連載

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ブックルールとは

ブックルールは、特定のブックにおけるCopilotの振る舞いを標準化するための機能です。本章の内容は、Microsoft Supportの公式ドキュメント「Excel での Copilot ブックのルール」に基づいています。

仕組み

ルールの実体は、ブック内に作る.Rulesという名前のワークシートです。このシートのA列に、1セルにつき1件ずつ指示を書いておきます。たとえば「金額は千円単位で表示する」「見出し行は濃い緑にする」といった内容です。Copilotはそのブックを編集する際にこのシートを参照し、結果に反映します。

実際に書くと次のようなイメージです(後述の検証で作成したものです)。

.RulesシートのA列の記載例。見出しセルの## 書式と## 表の下に、ルールが1セルに1件ずつ入力されている
図1:.Rulesシートの記載例。A列に見出しセル「## 書式」「## 表」でルールを1セルに1件ずつ記載する

ポイントは、ルールが「ブックに保存される」ことです。ルールはファイルと一緒に移動するため、ブックを共有すると共有先にもルールがそのまま引き継がれます。共有先でルールを設定し直す必要はありません(ブックルールを利用できる環境であることは前提となります)。チームで同じフォーマットのファイルを運用する場面に向いた機能と言えます。

Copilot in Excelには、ユーザー単位で好みを保存する「個人用設定(Personalization)」という機能も別にあります。個人用設定が「自分のすべてのブック」に適用されるのに対し、ブックルールは「そのブックを使う全員」に適用される、という関係です。

ルールの書き方

公式ドキュメントでは、ルールを書く際のポイントとして以下が挙げられています。

  • 記載場所:.RulesシートのA列に、1セルにつき1ルールを記載する
  • グループ化:「## NUMBERS」のような見出しセルを置いて関連ルールをまとめる
  • 具体性:短く具体的に書き、望む結果の例を添える
  • 動的なルール:IF関数などの数式で、状況に応じて内容が変わるルールも書ける

これらのポイントにならって実際に書いた例が、前掲の図1です。見出しセル「## 書式」「## 表」で関連ルールをグループ化しています。

数式を使ったルールの例として、公式ドキュメントには「ドロップダウンの選択値によって表示内容の指示を切り替える」といった書き方が紹介されています。ルールをデータの状態に連動させられるのは、シート上に置かれているからこその面白い特徴です。

提供状況

ブックルールは2026年6月に発表された機能で、発表時点の対象はWindows版とMac版ExcelのInsidersチャネル(新機能を先行提供するプログラム)とされていました。筆者の環境のExcel for the webでは、後述のとおりルール作成用のメニューは見当たらなかったものの、.Rulesシート自体は動作しました。提供状況は変わっていく段階のため、利用できる範囲はお使いの環境でご確認ください。

ブックルールを使ってみた

ここからは実機での検証です。操作はExcel for the web(Microsoft 365 Copilotライセンスあり)で行い、画面上の名称は実機の表記に準拠して記載します。モデルは[オート]のまま使用しました。

検証に使うブックの用意

検証用に、架空企業の月次売上を記録したブックを用意しました。4製品×6か月の売上金額が入っているだけで、書式設定は何もしていない状態です。

検証用ブックの初期状態。書式設定のない売上データが売上データシートに入力されている
図2:検証用ブックの初期状態(書式なしの売上データ)

ルールなしでの指示

比較のため、最初はルールを作らずにCopilotへ整形を依頼します。

図2の画面右下に写っている丸いアイコンが[Copilot とチャット]ボタンです。これを選択すると、画面右側にCopilotのチャット画面が開きます。「ブックを編集しましょう」という見出しの下に入力欄があり、モードが[編集を許可]になっていれば、Copilotが提案を返すだけでなくブックを直接編集してくれます。

ボタン選択後に開いた直後のCopilotチャット画面。モデルの[オート]とモードの[編集を許可]に赤枠を付けている
図3:[Copilot とチャット]ボタンから開いた直後のCopilotのチャット画面。モデルの選択([オート])とモード([編集を許可])が確認できる
初回の実行

入力欄に「売上データシートの表を整えて、製品別の合計列と月別の合計行を追加してください。」と入力して送信します。送信するとCopilotが編集の計画を示し、そのままブックの編集を進めていきます。今回は送信から約2分で編集が完了しました。

ルールなしでCopilotが整形した売上データの表。金額は円単位の通貨表示になっている
図4:ルールなし・1回目の整形結果(Copilotが選んだ配色)

合計列・合計行の追加や罫線・列幅の調整はきちんと行われており、金額は「¥1,250,000」のような円単位の通貨表示になりました。配色を含め、指定しなかった部分はCopilotの判断に委ねられた仕上がりです。

これはこれで十分きれいですが、「会社の書式ルールとは違う」という場面もあります。

結果を確認したら、編集内容の末尾に表示される[元に戻す]でいったん書式なしの状態に戻します。Copilotの編集は[完了]で確定、[元に戻す]で取り消しを選べるようになっています。

2回目の実行

同じ依頼をもう一度試します。前の会話の影響を避けるため[新しいチャット]にしてから、まったく同じプロンプトを送信しました。

ルールなしで2回目に整形した売上データの表。1回目とは配色や見出しの体裁が異なっている
図5:ルールなし・2回目の整形結果。タイトルの配置や見出しの配色など、1回目とは細部の体裁が変わった

同じ依頼文でも、タイトルの配置や見出しの配色、応答の手順数(1回目は4ステップ、2回目は3ステップ)といった細部は1回目と揃いませんでした。ルールなしでは、指定しなかった部分の仕上がりが実行のたびにぶれる、ということです。

ここでも結果を確認したあと[元に戻す]で書式なしに戻しました。

ルールありでの指示

.Rulesシートの作成

次に、このブックに.Rulesシートを作ります。

公式ドキュメントには、Copilotのチャット画面からルール作成のテンプレートを生成する方法が案内されています。ただ、筆者のExcel for the web環境では、ルール作成に相当する項目は見当たりませんでした。入力欄の[+]を選択して表示されるメニューは、[作業コンテンツを追加する]と[画像とファイルのアップロード]の2件のみでした。

Copilotの入力欄の+メニュー。作業コンテンツを追加すると画像とファイルのアップロードの2項目のみが表示されている
図6:入力欄の[+]メニュー。ルール作成の項目は表示されていない(Excel for the web、2026年8月時点)

そこで今回は、.Rulesシートの作成自体をCopilotに依頼しました。公式ドキュメントでも、手動でのシート作成やCopilotへの依頼が作成方法として紹介されています。依頼したルールは、前述の「ルールの書き方」にならって見出しセルでグループ化した次の6行です。

  • ## 書式
  • 表の見出し行の背景は濃い緑、文字は白にする
  • 金額は千円単位で表示し、見出しに(千円)と明記する
  • 合計行・合計列は太字にし、背景を薄い黄色にする
  • ## 表
  • 新しく作る集計表は罫線を細い実線で統一する

「このブックに「.Rules」という名前のワークシートを作成し、A列に次のルールをそのまま1行ずつ入力してください。内容の実行はまだしないでください。」と上記の6行を添えて送信すると、約1分で.Rulesシートが作成されました。ルールを日本語のまま記載しているのは意図的なもので、理由は「注意点」の言語に関する項目で説明します。

Copilotへの依頼で作成された.Rulesシート。A列のルール6行とシート見出しの.Rulesタブに赤枠を付けている
図7:Copilotへの依頼で作成された.Rulesシート。A列にルール6行が入力され、シート見出しにも.Rulesが表示されている

シート見出しにも「.Rules」がそのまま表示されており、先頭がピリオドの名前でも通常のシートとして扱われることが分かります。なお、図7のチャット画面上部に見える「元に戻されました」という応答は、直前にルールなしの編集を取り消した際のものです。ルール作成の前提条件ではありません。

初回の実行

.Rulesシートを用意できたら、ルールなしのときとまったく同じプロンプト「売上データシートの表を整えて、製品別の合計列と月別の合計行を追加してください。」を送信します。

このとき、直前の会話にルール本文が残っていると、.Rulesシートではなく会話の文脈を参照してしまいます。そのため、ここでもチャットは[新しいチャット]でリセットしてから送信しました。これにより、Copilotが手がかりにできるルールを.Rulesシートだけに限定して検証ができます。

結果は、.Rulesシートに書いた指定がすべて反映された表になりました。

ルールありでCopilotが整形した売上データの表。濃い緑の見出しと千円単位表示になっており、応答の「濃緑の見出し、薄黄色の合計、千円表示、細罫線を適用」の行に赤枠を付けている
図8:ルールあり・1回目の整形結果。応答の変更内容にも「濃緑の見出し、薄黄色の合計、千円表示、細罫線を適用」と明記されている

見出し行は濃い緑の背景に白文字になり、金額は「1,250」のような千円単位の表示に変わりました。合計列・合計行は太字かつ薄い黄色の背景で、罫線は細い実線に統一されています。いずれもプロンプトには一切書かず、.Rulesシートのルールで指定した内容です。

Copilotの応答にも「濃緑の見出し、薄黄色の合計、千円表示、細罫線を適用」と、ルールを踏まえた変更内容が明記されています。所要時間は約1分半で、ルールなしのときと大きな差はありませんでした。

表のタイトルの末尾まで「(2026年上期・千円)」と単位付きに書き換えられていたのは想定以上でした。毎回長いプロンプトを書かなくても、短い依頼で「そのブックの書式ルールどおり」の結果が得られるのがブックルールの価値です。

2回目の実行

ルールなしと同じく、ルールありでも[新しいチャット]から同じプロンプトをもう一度送信しました。

ルールありで2回目に整形した売上データの表。1回目と同じく濃い緑の見出し・千円表示・薄黄色の合計になっている
図9:ルールあり・2回目の整形結果。濃い緑の見出し、千円表示、薄黄色の合計と、1回目と同じ書式で仕上がった

2回目も、濃い緑の見出し・千円単位表示・薄黄色の合計・細罫線と、.Rulesに書いた指定どおりの仕上がりで、1回目とほぼ同じ体裁に揃いました。

ルールなしでは実行のたびにぶれた部分が、ルールありでは毎回同じになります。これがブックルールの再現性です。

ルールの内容確認

ルールが本当に認識されているかは、Copilotに直接確認できます。

新しいチャットで「このブックに設定されているブックルールがあれば、その内容を箇条書きで教えてください。」と質問すると、.Rulesシートに書いた書式・表のルールがそのまま列挙されました。

ブックルールの内容を質問したCopilotの応答に赤枠を付けている。数式バーにはセルB4の実際の値1250000が表示されている
図10:ブックルールの内容を質問した応答。数式バーでは、千円表示のセルB4の実際の値が1250000のままであることも確認できる

なお図10の数式バーに見えるとおり、千円単位への変更は表示形式で実現されており、セルの実際の値は「1250000」のまま保持されていました。合計などの数式が壊れない、実務的にありがたい挙動です。

利用シーンとメリット、注意点

ブックルールの利用シーンと、メリット・注意点を整理します。

利用シーン

ブックごとに書式や作法が決まっている業務で特に効果を発揮します。

  • 定例レポート:毎月更新する売上報告や重要業績評価指標(KPI)の集計ブックにルールを埋め込み、更新のたびの整形指示を省けます。
  • チーム共有のテンプレート:部署標準のフォーマットをルール化し、メンバーの誰がCopilotを使っても同じ体裁に揃えられます。
  • 経理・会計資料:千円単位表記や勘定科目の表記ルールなど、社内規定のある資料の書式をルールで固定できます。

メリット

効率化と生産性向上の両面でメリットがあります。

  • 効率化(時間短縮)
    • 書式指定をプロンプトに毎回書く必要がなくなり、依頼文を短くできます。
    • 指定漏れによる手直しややり直しも減らせます。
  • 生産性向上
    • ルールがブックと一緒に共有されるため、利用者ごとの仕上がりのばらつきを抑えられます。
    • 属人化しやすい「ブックの暗黙の決まりごと」をCopilotが読める形式でファイル自体に残せる点は、ドキュメント整備の観点でも価値があります。

注意点

注意点は、公式ドキュメント(前掲「Excel での Copilot ブックのルール」)の記載と、今回の検証で確認できた挙動の両方から整理しています。

  • 言語
    • 公式ドキュメントには、ルールが完全にサポートされるのは英語のみで、英語以外の言語でのサポートは一貫していない旨が記載されています。
    • 今回の検証では日本語で書いたルールがすべて反映されましたが、確実性を重視する場合は英語での記載も検討してください。
  • 挙動の変化
    • ルールの動作はモデルや機能の進化によって変わる可能性がある旨が公式に記載されています。
    • 重要なブックでは、ルールが意図どおりに効いているかをときどき確認することをおすすめします。
  • 非表示シート
    • 非表示にした.Rulesシートはルールとして使用されません。
    • 一方で今回の検証では、非表示にしてもチャットで質問すればシートの内容自体は読み取れたため、.Rulesシートには機密情報や見せたくない指示を書かないようにしてください。
  • 編集内容の確認
    • ルールが効いていても編集結果が常に期待どおりとは限りません。
    • 編集後の[完了]/[元に戻す]で内容を確認してから確定する運用をおすすめします。
  • 提供状況
    • 提供環境は今後変わる可能性があります。
    • チームで使う場合は、メンバーの環境でブックルールが有効かどうかも確認してください。

参考情報

本記事の内容に関連する公式情報はこちらです。

まとめ

.Rulesシートを1枚作るだけで、同じ依頼文でも仕上がりが「そのブックの書式ルールどおり」に変わるのを確認できました。プロンプトの工夫を個人のスキルで終わらせず、ブックという共有物に埋め込めるのが、ブックルールのいちばんの魅力だと感じます。

まずは毎月更新しているブックを1つ選び、そこに小さなルールを3〜4件書くところから始めると、効果を実感しやすいはずです。

おまけ(Copilot Chatによる本記事の要約)

本記事ここまでの執筆内容をCopilot Chatに転記し、記事内容の要約をしてもらいました。要約には、Excel内のCopilotではなくMicrosoft 365 Copilot Chatを利用しています。以下はその要約結果です(外部からの引用ではありません)。

  • ブックルールは、Excelブック内の「.Rules」シートにルールを記載することで、Copilotの編集結果をブック単位で標準化できる機能です。
  • ルールはブックと一緒に保存・共有されるため、利用者が変わっても同じ書式や作法をCopilotに適用できます。
  • 検証では、同じプロンプトでもブックルールを設定することで、見出し色や数値表示形式、合計行の書式などが指定どおりに反映されました。
  • 定例レポートや共有テンプレート、経理資料など、書式ルールが決まっている業務で特に効果を発揮し、手直しや指示の手間を削減できます。
  • 利用時は言語サポートや提供状況、非表示シートの扱い、ルール適用結果の確認などに注意が必要です。

総括:ブックルールは、Copilotへの細かな指示をブック自体に埋め込むことで、作業効率と成果物の一貫性を高められる機能です。

執筆担当者プロフィール
松本 孝祐

松本 孝祐(日本ビジネスシステムズ株式会社)

Microsoft 365を中心に、Copilotの活用支援を担当。 合計4000人を超える受講者にCopilotを活用した業務効率化のコツを伝えています。 Copilotは使い方次第であなたの強力なパートナーになります、一緒にコパりましょう!

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