Cowork(Copilot)に、Microsoft Fabric / Power BI のデータへチャットから直接つないで分析できる Fabric IQ プラグイン が用意されています。
従来、Power BI のデータを確認するにはレポートを開いてビジュアルやフィルターを操作し、必要に応じて DAX を自分で書く必要がありました。Cowork の Fabric IQ プラグインを使えば、チャットで質問するだけで、対象のセマンティックモデル / レポートの実データを根拠とした回答やチャートが得られるようになります。
本記事では、Cowork 上で利用できる Fabric IQ プラグインについて、できることや実際の使い方を作成したサンプルデータで交えながら紹介します。
※ Microsoft Fabric / Power BI のセマンティックモデルおよびレポートに関する基礎的な知識を有していることを前提としています。 ※本記事で使用するデータは、著者にて作成されたサンプルデータを使用しております。
これまでの連載
Microsoft Fabric × Copilot に関するこれまでの連載記事は、以下にまとめています。
Fabric IQ プラグインの概要
Cowork の Fabric IQ プラグインは、Cowork(Copilot)から Microsoft Fabric / Power BI のセマンティックモデル・レポートに接続し、自然言語でデータ分析を行うための連携機能です。
レポートを手作業で開いたり、DAX を一から書いたりすることなく、チャットで質問するだけで利用できます。プラグインが内部で「対象アーティファクトの特定 → スキーマやレポート構造の確認 → クエリの実行」までを行い、結果を分かりやすくまとめて返します。
回答はあくまでモデルが返した実データに基づいて生成され、レポートに設定されたフィルターや、モデル作者が定義した検証済み回答(Verified Answers)・独自指示(Custom Instructions)に忠実に処理されます。クエリが空・失敗した場合はその旨を明示し、データを推測で補完しない点が特徴です。
プラグインでできることは以下の通りです。
| できること | 概要 |
|---|---|
| アーティファクトの探索 | キーワードや Power BI の URL から、対象のレポート / セマンティックモデルを特定する |
| レポート構造の把握 | レポートのページ・ビジュアル・適用中フィルターを読み取り、構成を要約する |
| データモデルの理解 | テーブル・列・メジャー・リレーションシップ、作者の独自指示・検証済み回答を読み取る |
| データへの問い合わせ | 自然言語の質問を内部でクエリに変換して実行し、実データを取得する |
| 根拠付きの回答 | 使用したモデル / レポート名と適用フィルターを示しながら回答する |
| 可視化 | 取得結果を棒・折れ線・円・ゲージ等のチャートとして表示する |
実際の使い方
ここでは、Cowork の Fabric IQ プラグインの基本的な利用イメージを紹介します。いずれもチャットで質問するだけで利用できます。
Cowork からレポートを呼び出す(URL を貼り付ける)
特定のレポートを対象にしたいときは、Power BI のレポート URL をチャットに貼り付けるのが最も確実です。手順は次のとおりです。
- Power BI サービス(app.powerbi.com)で対象のレポートを開く
- ブラウザのアドレスバーの URL、または [共有]→[リンクをコピー] で URL を取得する
- その URL を Cowork のチャットに貼り付け、知りたいことを続けて質問する
URL に含まれる /reports/<レポートの GUID> の部分がレポートを一意に特定するため、プラグインはこの URL から対象アーティファクトを正確に解決します。
実際にCowork からレポートを呼び出す流れです。まずはチャットに「このレポート(URL)の内容を読み込んでほしい」と入力します。

Coworkがセマンティックモデルを参照し、質問に対して回答してくれます。

なお、新しく作成したレポートは検索インデックスに未反映でキーワード検索では見つからない場合があります。そうしたときも、URL を直接貼り付ければ確実に参照できます。
データの集計を尋ねる例
たとえば、売上のセマンティックモデルに対して、製品カテゴリ別の売上を尋ねるケースです。
チャットに「売上モデルで、今四半期の製品カテゴリ別の売上合計を教えて」と入力します。

プラグインは対象のセマンティックモデルを特定し、テーブルやメジャーを確認したうえで、製品カテゴリ別に集計した結果を表として返します。結果はそのまま後続の質問やチャート化に活用できます。
データからインサイトを抽出する例
Power BI の URL を貼り付けて、レポートが何を表示しているかを尋ねる例です。
チャットに「このデータから何かインサイトを読み取ることはできるか?」と入力します。

プラグインがデータを読み取り、インサイトを回答します。
インサイトを可視化する例
抽出した情報からグラフを作成して表示することが可能です。
チャットに「売上インサイトを見える化してほしい」と入力します。

データを読み込みインサイトを出力してくれます。
さらに深掘りして、グラフなどを作成することも可能です。

結果を元に資料を作成する例
取得した結果は、さまざまな形式のファイルとして出力できます。ここでは、HTML 形式で出力してみます。
チャットに「HTMLで資料を作成して、出力してほしい」と入力します。

出力した資料にさらにアレンジを加えたい場合は、続けて指示を出すことで編集できます。
利用シーンとメリット
利用シーン
前述の「プラグインでできること」に沿うと、次のような場面で活用できます。
- 対象のレポート / セマンティックモデルを素早く見つけたい場合
- キーワードや Power BI の URL から、目的のアーティファクトを特定する(アーティファクトの探索)
- 既存レポートの構成を把握したい場合
- ページ・ビジュアル・適用中フィルターを読み取り、レポートが何を表示しているかを確認する(レポート構造の把握)
- データモデルの中身を理解したい場合
- テーブル・列・メジャーや、作者の独自指示・検証済み回答を確認する(データモデルの理解)
- 数値をレポートを開かずに確認したい場合
- 自然言語の質問でセマンティックモデルの実データを取得する。
- フィルターを一時的に変えた年度比較やセグメント比較も行える(データへの問い合わせ)
- 根拠のはっきりした回答が欲しい場合
- 使用したモデル / レポート名と適用フィルターを示しながら、スコープの分かる回答を得る(根拠付きの回答)
- 集計結果を可視化して共有したい場合
- 取得結果を棒・折れ線・円・ゲージ等のチャートとして表示する(可視化)
メリット
- DAX を書かずに済む
- 自然言語の質問から内部でクエリを生成・実行するため、専門知識がなくてもデータにアクセスできる
- 根拠が明確
- 使用したモデル / レポート名と適用フィルターが提示され、回答のスコープが分かりやすい
- 推測で埋めない
- クエリが空・失敗した場合はその旨を明示し、根拠のない数値を記載しない
- 作者の定義を尊重
- 検証済み回答や独自指示に従い、レポートと整合した結果を返す
- 可視化まで一気通貫
- 取得した結果をそのままチャートとして表示できる
注意点
Cowork の Fabric IQ プラグインを利用するにあたっては、いくつか注意点があります。
- 対応アーティファクトは Power BI のレポートとセマンティックモデルのみ で、ページネーションレポートやダッシュボード等は対象外
- Power BI アプリ内のレポートや、自分に共有されているだけのレポート(My workspace に表示されるもの)はアクセスできない場合がある
- 利用には Power BI へのアクセス権限 が必要で、テナント側で機能が有効化されている必要がある
- 生成結果は AI による推論を伴うため、重要な数値は結果の検証を推奨する
- 新しく作成されたアーティファクトは検索インデックスに未反映の場合があり、その際は Power BI の URL を直接指定する必要がある
まとめ
Cowork の Fabric IQ プラグインは、Microsoft Fabric / Power BI のデータ分析を チャットからシームレスに行える 連携機能です。
「集計も、レポート確認も、比較も、可視化も — チャットで質問するだけ」 —— この手軽さが、これまでレポート操作や DAX 記述を要していたデータ確認のハードルを大きく下げてくれます。
Power BI のデータを扱う機会のあるアナリスト・ビジネスユーザーの方は、ぜひ一度試してみてください。
おまけ(本記事の要約)
Cowork(Copilot)の Fabric IQ プラグインは、Microsoft Fabric / Power BI のセマンティックモデルやレポートにチャットから接続し、自然言語でデータ分析を行える連携機能です。
対象アーティファクトの探索、レポート構造やデータモデルの把握、データへの問い合わせ、根拠付きの回答、チャートによる可視化までを、チャットで質問するだけで一気通貫に行えます。
DAX を書かずにデータへアクセスでき、回答はモデルの実データと作者の定義(検証済み回答・独自指示)に基づくため、推測で補完されません。
一方で、対応アーティファクトは Power BI のレポートとセマンティックモデルに限られ、アクセス権限やテナント側の有効化が前提となる点には注意が必要です。
廣川 太一(日本ビジネスシステムズ株式会社)
AIトランスフォーメーション事業本部AIテクノロジー推進部所属。 Microsoft Fabric、SnowflakeのデータをAIに連携し誰でもデータ探索ができるよう活動中。 新潟出身の優しい筋肉。
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