ZscalerのZero Trust Exchangeは、「クラウドでスケールするセキュリティ基盤」と説明されることが多く、小規模な拠点から数万ユーザー規模まで柔軟に対応可能です。しかし、なぜここまで大規模にスケールできるのか、その内部構造まで理解している方は意外と少ないかもしれません。
内部構造を理解することで、トラブルシューティングや設計判断、最適な導入計画の策定に役立てることができます。
本記事では、Zero Trust Exchange(ZIAを中心とした構成)を Control Plane / Enforcement Plane(Public Service Edge)/ Logging Plane の3つのレイヤに分け、ユーザー通信がどのように処理されるのかを整理して解説します。
- Zero Trust Exchangeの全体像
- Control Plane(頭脳)
- Enforcement Plane(Public Service Edge)
- Logging Plane(記録と可視化)
- まとめ
Zero Trust Exchangeの全体像
従来のオンプレミス型セキュリティでは、以下の機能が1つの装置や限られた経路に集中していました。
- ポリシー管理
- 認証
- 通信検査
- ログ保存
Zscaler Zero Trust Exchangeでは、各機能を役割ごとに完全に分離しています。
- Control Plane:ポリシー・認証・管理
- Enforcement Plane:通信の検査・制御
- Logging Plane:ログの保存・配信

この分離構造こそが、グローバル規模でのスケーラビリティを実現しています。
Control Plane(頭脳)
Control Planeは、Zero Trust Exchangeの頭脳に当たります。
Control Planeの主な役割は、以下の通りです。
- ポリシー管理
- 認証(IdP連携)
- 管理コンソール
- API(設定変更・自動化)
認証はすべてControl Planeで行われ、ユーザーや管理者は認証後に「セキュリティトークン(Identity Token)」を取得します。このControl Planeは複数のデータセンターに分散配置されており、高可用性を前提に設計されています。
Enforcement Plane(Public Service Edge)
ユーザー通信が実際に接続するのが Public Service Edge(PSE) であります。ここがいわゆる Zero Trust Exchangeの接続ポイント となります。
PSEの主な特徴は以下の通りです。
- 実通信を受ける
- ポリシーを適用
- ユーザーや企業の情報は保持しない
ユーザーはControl Planeで認証後、取得したセキュリティトークンを提示してPublic Service Edgeに接続します。Public Service EdgeはそのトークンをもとにControl Planeへ「このトランザクションにはどのポリシーを適用すべきか?」という形で問い合わせします。
取得したポリシーはキャッシュされ、以降の通信ではユーザーやデバイスの詳細を知らなくてもポリシーを適用できます。
Logging Plane(記録と可視化)
すべてのトランザクションは セキュリティトークン単位 でログ化されます。
ログには、以下のような特徴があります。
- すべてのデータが暗号化されている
- 高い圧縮率で保存される
- ユーザー情報は難読化される
ログは Logging Plane に送信され、SIEM / SOC / SOAR へは Log Streaming API を使って連携可能です。
また、管理者は RBAC(ロールベースアクセス制御) により、ログの閲覧可否やユーザー情報の復号可否を制御できます。
まとめ
Zero Trust Exchangeは、以下の機能によってグローバルかつ高性能なセキュリティ基盤を実現しています。
- 機能分離(Control / Enforcement / Logging)
- 軽量なポリシー配布
- トークンベースの設計
- シングルスキャンアーキテクチャ
ZIAを理解する上では、「どこで認証され、どこで検査され、どこにログが残るのか」の3点を押さえることが重要です。
Ei Chaw Mone(日本ビジネスシステムズ株式会社)
2022年度中途入社。金融・保険事業本部。Zscaler SSEの導入支援を中心に、ネットワークセキュリティ領域、エンドポイントセキュリティを深堀中。趣味はスノーボード。
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