Connect SyncからCloud Syncへ ― Microsoftの移行方針と今確認すべきこと

オンプレミスActive DirectoryとMicrosoft Entra IDの同期基盤として、Microsoft Entra Connect Sync(旧 Azure AD Connect)は多くの組織で採用されてきました。

現在も広く利用されていますが、2026年に入りMicrosoftはCloud Syncへの移行に関する情報を続けて公開しています。

  • Connect Syncはすぐ使えなくなる?
  • Cloud Syncへ移行しないといけない?
  • 自社環境は移行できる?

このような疑問を持つ管理者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、Microsoft が Cloud Sync への移行を推進している背景や、Connect Sync とCloud Syncの違い、そして管理者が今確認しておきたいポイントについてご紹介します。

Cloud Syncが今注目される背景

Cloud Sync自体は2026年に新しく登場した機能ではありません。Connect Syncよりは後発ではあるものの、従来から Microsoft Entra ID とオンプレミス Active Directory を同期するオプションの1つとして提供されていました。

しかし近年、Microsoft は Cloud Sync を今後の主力同期方式として位置付ける方向性を示しています。以下はその一例です。

従来の Connect Sync は専用サーバー上で構成・管理を行う必要があった一方で、Cloud Sync は軽量なエージェント方式を採用しており、設定や管理の多くを Microsoft Entra 管理センターから実施できます。

また、今後は新しい機能追加も Cloud Sync を中心に進められる方針が示されており、Cloud Sync を前提とした構成を検討するケースがますます増えていくと考えられます。

Connect SyncとCloud Syncの比較

Cloud Syncへの移行を検討する上で、まずは両者の特徴を把握しておくことが重要です。主な違いを以下の表にまとめました。

項目 Connect Sync
(旧 Azure AD Connect)
Cloud Sync
管理場所 サーバー

Entra管理センター

(Microsoft管理のクラウド上)

同期の仕組み 専用サーバーによる同期処理

軽量エージェントによる同期処理

高可用性 専用サーバーとして冗長構成が必要

複数サーバーにエージェントを配備することで対応

(専用サーバーをたてる必要はない)

新機能追加 限定的 継続的に機能追加予定
(Microsoftとして今後の機能強化を進める主力方式)
Pass-through Authentication (PTA) 対応 制限あり
Hybrid Entra Join 対応 注意が必要
カスタム同期ルール 柔軟 制限あり
デバイス書き戻し 対応 非対応

Cloud Syncが今後の主力方式ではあるものの、カスタム同期ルールやデバイス書き戻しなどの対応に差異があるため、移行前に慎重な確認が必要です。

Cloud Sync への移行はどのように進むのか ― 管理者が知っておきたい流れ

MicrosoftはCloud Syncへの移行を一斉に案内するのではなく、テナントの構成やサポート状況を踏まえ、移行可能と判断した組織から順次案内を行う方針を示しています。

一方で、案内を受けたら直ちに移行に取り掛からないといけないわけではなく、実際の移行タイミングは各組織で調整することができます。

そのため、Connect Syncで利用中の現行構成の確認やCloud Syncへの移行可否の整理を進めながら、Microsoft からの案内に備えておくことが望ましいと考えられます。

Microsoft による移行案内は段階的に展開されます。そのため、他の組織で案内が届き移行を開始していたとしても、自組織も移行対象となっているとは限りません。

Microsoft からの案内を確認した上で、移行計画を検討するようにしてください。

Cloud Syncへの移行に注意が必要なケース

Cloud Syncでは、Connect Syncで必要だった専用サーバーの運用負荷を軽減できるメリットがあるほか、Microsoftが今後の主力方式として機能拡張を進めている点も魅力的です。

一方で、現時点ではConnect Sycとの機能差異も残されているため、すべての環境に対して一律に移行をおすすめできるわけではありません。

例えば、次のような構成を利用している場合には注意が必要です。

  • Hybrid Entra Join を利用している
    • Hybrid Entra Joinを利用している環境では、ユーザーだけでなくデバイス情報も同期に関与しているため、移行前に慎重に検討する必要があります。
  • Pass-through Authentication(PTA)を利用している
    • PTAを利用している環境では、同期方式だけでなく認証方式についてもあわせて検討する必要があります。
  • 複雑なカスタム同期ルールを利用している
    • Connect Sync 独自の設定を活用している環境では、そのまま移行できない可能性があります。
  • デバイス書き戻し機能を利用してMicrosoft Entra ID上のデバイス情報をオンプレミスActive Directory側へ連携している
    • Cloud Syncではデバイス書き戻し機能が利用できないため検討が必要です。

このような構成を利用している場合には、移行に伴って構成変更が必要になる可能性がありますので、事前確認いただくことをおすすめします。

Cloud Syncへの移行を考えていない場合にも確認したいこと

上記のようにCloud Syncへの移行が難しい環境や、移行を見送ることを検討している環境もあるかもしれません。しかし、そのようにConnect Syncを継続利用する場合であっても、確認しておきたいポイントがあります。

Microsoft は2026年9月30日以降、バージョン2.5.79.0未満のEntra Connect Syncでは同期が実行できなくなることを案内しています。

未対応であれば、オンプレミスActive Directoryで実施したユーザーやグループの追加・変更がMicrosoft Entra IDに反映されなくなる恐れがあります。

そのため、現在利用中のConnect Syncバージョンを確認し、必要に応じて2026年9月30日までにバージョン2.5.79.0以上へアップグレードすることをおすすめします。

管理者が今やっておきたい確認事項

ここまでConnect SyncとCloud Syncの違いや移行を検討する際の注意点をご紹介してきましたが、まずは現在の環境を正しく把握することが重要です。

はじめの一歩として、次の3つを確認してみましょう。

  1. 現在の同期構成を棚卸しする
    • まずは自社がどのような構成になっているのか把握しましょう。
  2. Connect Sync のバージョンを確認する
    • Cloud Syncへの移行に関わらず、Connect Syncを古いバージョンで利用している場合にはサポート切れとなる恐れがあるため、確認が必要です。
  3. Cloud Sync 関連情報を継続的に確認する
    • Microsoft の移行ガイドや FAQ は随時更新されています。将来的な移行判断に備えて最新情報をウォッチしておくことをおすすめします。

おわりに

Microsoft は Cloud Sync を今後の主力同期方式として位置付けています。

しかし、すべての環境に対して移行をおすすめできるわけではなく、利用している構成によって対応方針が変わってくるのが現状です。

まずはConnect Syncで運用中の同期構成について情報を整理し、移行可否の判断を始めてみることをおすすめします。

本記事が、今後のEntra IDの同期方法の検討を進める際の参考になれば幸いです。

執筆担当者プロフィール
Hiroyuki, Suzuki

Hiroyuki, Suzuki(日本ビジネスシステムズ株式会社)

Microsoft 365を中心に扱っているエンジニアです。利活用案件に関わりながら、現場で得た知見をゆるく発信していきます。最近はCopilotやCoworkなどのAIまわりにも面白さを感じています。 プライベートでは洋楽が好きで、好きなアーティストの来日を心待ちにしながら日々過ごしています…

担当記事一覧