既存電話環境の見分け方:PBX刷新やクラウド化の前に押さえたい調査のポイント

オフィスや店舗、工場などに設置されている電話環境がどのような回線構成であるかを正確に把握することは、PBXの刷新やクラウドPBXへの移行、回線整理を円滑に進めるための重要な出発点となります。

しかし実務の現場では、回線種別の特定やPBX、いわゆる主装置の所在確認、さらにはインターネット網の利用有無といった、構成把握に不可欠な基本情報が不明確なまま運用されているケースも少なくありません。

この記事では、難しい専門知識がなくてもパッと見て判断できるポイントを中心に、電話回線の種類や見分け方を整理しました。特に、目に見える配線のつながり方や、置いてある機器の形に注目して、今の環境を正しく把握するためのコツを分かりやすく紹介します。

電話回線の種類を整理する

電話回線には複数の種類がありますが、法人向けに導入されている主なものは次の4つです。

  • アナログ:メタル線によるアナログ伝送(1回線につき1通話)
  • デジタル:銅線か光ファイバーによる伝送(2chまたは23chが選択可能)
  • IP電話(GW経由):専用装置で変換して既存のPBXに収容する方式
  • IP電話(VoIP直結):直接SIP通信を行う、多チャネル・高拡張性な方式

機器と配線を観察する

専門的な設定画面を見なくても、主装置(PBX)の周りにある機器や配線をチェックするだけで、多くのことがわかります。

ここでは、代表的な回線ごとのチェックポイントをまとめました。

アナログ回線(加入電話)を確認する

壁面などから出ている線の状態や、接続先をチェックします。

  • 壁面などからモジュラージャックが1本出ており、電話機またはPBXに直結されている。
  • 配線には2芯の電話線(白黒)が用いられていることが一般的で、外線ごとに1本の回線が必要。

ISDN回線(INSネット)を確認する

専用の変換装置の有無に注目して確認します。ISDN回線の特徴は以下の通りです。

  • 「INSネット64」や「INS1500」の契約で提供されるデジタル回線である。
  • 「DSU」や「TA(ターミナルアダプタ)」という小型装置がPBXや電話機の間に挟まれる。
  • 1回線で2通話路使える(INS64の場合)
  • 1回線で23通話路使える(INS1500の場合)

IP電話(ひかり電話などのGW経由方式)を確認する

ONU(光回線終端装置)とホームゲートウェイ(HGW)経由で接続される方式です。

  • ONUとホームゲートウェイ(HGW)を経由して接続される。
  • OGもしくはVGと呼ばれる機器がONUと電話交換機の間に設置されている。
  • OGやVGから電話交換機にLAN配線かメタル配線が敷かれている。

IP電話(VoIP直結方式)を確認する

アダプタを介さず、IPネットワークで直接通信を行う最新の方式です。

  • OGやVG等の変換アダプタを介さず、IPネットワーク経由でPBXと直接SIP通信を行う。
  • LAN配線(RJ45)でPBXや電話端末が接続されている。
  • クラウドPBXとの接続時は、物理的なPBXが存在しないこともある。

請求書・契約情報から裏付けをとる

現場の観察だけで確定できない場合は、通信キャリアの請求書や契約情報から契約内容を判別できます。代表的な記載例は以下の通りです。

  • INSネット64等の表記:ISDN(INS)回線の契約
  • OG/VGレンタル料:IP電話(GW経由方式)の契約
  • 番号利用料だけの記載がある場合:VoIP直結方式(SIPトランク)の契約

また、グローバルIPアドレス付与などの記載がある場合は、VoIP直結(SIPトランク)用に固定IPが割り当てられている可能性が高くなります。これはゲートウェイを介さず、IPネットワークで直接外線を受容している重要な証拠となります。

まとめ:構成把握の精度を上げる3つの視点

  • 配線の種類と収容先の特定
    • モジュラーケーブル(RJ11)か、LANケーブル(RJ45)かを確認。また、それがPBXのどのユニットに収容されているかを特定します。
  • 設置機器の型番とインターフェースの確認
    • ONU、HGW、VoIPゲートウェイ(OG/VG)の有無、およびPBX側のIP受容ポートの状態を確認します。
  • 請求書・契約明細による裏付け
    • サービス名称(ひかり電話、SIPトランク、IP Voice等)と、付加サービス(固定IP、アダプタ保守等)の有無を確認します。

これらのステップを確実に押さえることで、クラウドPBXへの移行、SIP化による回線集約、FAX回線の分離、レガシーPBXの撤去といった、次ステップの施策に向けた確実な判断材料が整います。

執筆担当者プロフィール
高山 智行

高山 智行(日本ビジネスシステムズ株式会社)

入社24年目、パケット音声にまつわる技術をJBSにため込みたいと考えています。 そのため、レガシーPBXからクラウドPBXまた通信端末として電話機やスマホに詳しいです。 WindowsよりLinuxやAsteriskに精通しています。 音声パケット通信のためのネットワーク構成もここに残します。

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