Copilot StudioのプロンプトでOfficeファイルを処理する

Copilot Studioでプロンプトの機能を利用する際、入力に使用できるドキュメントのはPDFのみで、Word / Excel / PowerPointなどのOfficeファイルは処理できません。ですが、前処理を実施することでOfficeファイルを処理できるようになります。

今回は、プロンプトの機能でOfficeファイルを利用できるように実装する方法を検証します。

おことわり

今回の記事は、プロンプトの機能に触れたことがある方を想定して記載します。そのため、プロンプトの機能の概要についての説明は割愛します。

プロンプトに追加できる入力

プロンプトでは、生成AIに対する指示文を与えるだけでもアイデア出し等のタスクを実行できますが、与えられた入力に対するタスクを実行させることも可能です。

記事執筆時の2026年1月時点では、以下の入力をサポートしています。本記事は、画像またはドキュメントの入力に焦点を当てて記載します。

  • テキスト
  • 画像またはドキュメント
  • Power Fx

参照:プロンプトに入力を追加する - Microsoft Copilot Studio | Microsoft Learn

プロンプトに入力できる画像またはドキュメントの種類

記事執筆時の2026年1月時点で、プロンプトに入力できる画像またはドキュメントの種類は以下の通りです。

  • PNG
  • JPG
  • JPEG
  • PDF

参照:プロンプトに入力を追加する - Microsoft Copilot Studio | Microsoft Learn

ドキュメントではPDFのみに対応しており、Word / Excel / PowerPointなどのOfficeファイルには標準でサポートしていません。

プロンプトでOfficeファイルを処理する

標準ではOfficeファイルの入力に対応していませんが、前処理を行うことでOfficeファイルを処理できるようになります。ここからは、プロンプトでOfficeファイルを処理する方法を説明します。

本記事では、以下の流れで実装を行います。

  1. まず、前処理を実施しない状態での動作を確認する
  2. その後、Officeファイルに対応する前処理を実装する

なお、今回の記事では以下の前提で実装を行います。

  • Microsoft 365 Copilot (以下、M365 Copilot)からエージェントを利用する
  • Wordのみを対象として動作を確認する

前処理を行わない時点での動作確認

まずは、Copilot Studioで受け取った添付ファイルを、前処理を行わずプロンプトに渡した場合の動作を確認します。

エージェントの作成

Copilot Studioでエージェントを作成します。

トピックの作成

エージェントにトピックを追加します。

  1. [トピック] - [トピックの追加] - [最初から]でトピックを作成します。

  2. トリガーの説明を記載します。

添付ファイルの受け取り

トピック内で添付ファイルを受け取れるように実装します。

  1. 新しいノードを追加し、[質問する]をクリックします。

  2. [特定]は[ファイル]を選択し、ユーザーに表示するメッセージと[ユーザーの応答を名前を付けて保存]は、任意の変数名で設定します。

  3. 3点リーダーから[プロパティ]をクリックします。

  4. [エンティティの認識]をクリックします。

  5. [ファイルのメタデータを含める]にチェックを入れます。チェックを入れると、[ユーザーの応答を名前を付けて保存]の型がfileからrecordに変わります。

プロンプトの作成

ファイルを処理するためのプロンプトを作成します。

  1. 新しいノードを追加し、[ツールを追加する] - [新しいプロンプト]をクリックします。

  2. 指示内で[/]を入力し、[画像またはドキュメント]をクリックします。

  3. [名前]に任意の値を設定し、[サンプル データ]にテストデータをアップロードします。

  4. 入力で受け取った画像またはドキュメントを要約するように指示文を記載します。

  5. [テスト]をクリックしてモデルの応答を確認します。内容が問題なければ、[保存]をクリックしてプロンプトを閉じます。

  6. トピック内に作成したプロンプトが追加されるため、[入力]には[質問する]ノードで受け取った変数の[Content]を、[出力]には任意の変数名を設定します。

プロンプトの実行結果を出力

プロンプトの実行結果をメッセージで出力するように実装します。

  1. 新しいノードを追加し、[メッセージを送信する]をクリックします。

  2. 送信するメッセージとして、プロンプトの出力変数の[text]を設定します。

現状の動作確認

現時点での実行結果を確認します。

  1. テスト画面からPDFを添付すると、プロンプトで要約した結果が出力されます。

  2. テスト画面からWordを添付すると、対応していないファイルとしてエラーが出力されます。

Officeファイルへの前処理実装

ここからは、Officeファイルに対する前処理を実装します。ファイルの拡張子に応じて条件分岐を行い、Officeファイルの場合はコネクタを利用してPDFに変換することで、プロンプトで処理可能な形式とします。

ファイルを取り扱う変数の共通化

後続の処理で条件分岐が発生するため、共通して利用できるように一度変数の値を移し替えます。

  1. [質問する]ノードの直後に新しいノードを追加し、[変数管理] - [変数値を設定する]をクリックします。

  2. [設定する変数]に任意の変数名を設定し、[設定する値]には[質問する]ノードで受け取った変数の[Content]を設定します。

ファイルの拡張子取得

ファイルの種類に応じて処理を分岐させるため、対象のファイルの拡張子を取得します。

  1. 新しいノードを追加し、[変数管理] - [変数値を設定する]をクリックします。

  2. [設定する変数]に任意の変数名を設定し、[設定する値]では[計算式]からPower Fxを設定します。[質問する]ノードで受け取った変数の[Name]からファイルの拡張子のみを取得しており、後続の処理ではファイルの拡張子の値に応じて条件分岐を行います。

      Last(Last([Split(Topic.File.Name, ".")]).Value).Value
    
条件分岐の追加

取得したファイルの拡張子に応じて、処理を分岐します。

  1. 新しいノードを追加し、[条件を追加する]をクリックします。

  2. 先ほど取得したファイルの拡張子が、[docx]に等しい場合の条件を追加します。今回はWordのみを対象として動作を確認しますが、ExcelやPowerPointを対象としたい場合は、xlsxやpptxなどの拡張子を条件に追加してください。

ファイル変換コネクタの追加

Officeファイルの場合に、PDFへ変換するようコネクタを追加します。

  1. ファイルの拡張子がdocxに等しい場合の条件内で新しいノードを追加し、[ツールを追加する] - OneDrive for Businessの[パスを使用したファイルの変換]をクリックします。このコネクタを利用してOfficeファイルをPDFに変換することで、プロンプトの入力として渡せるようにします。xlsxやpptxなどの変換にも対応していますので、docx以外の拡張子にも応用が可能です。*1*2

  2. [入力]の[Target type]には、変換先のファイル形式として[PDF]を設定し、[File Path]には、/Microsoft Copilot チャット ファイル/[質問する]ノードで受け取った変数の[Name]を結合して設定します。

      "/Microsoft Copilot チャット ファイル/"&Topic.File.Name
    

    ※ M365 Copilotに添付したファイルは、[Microsoft Copilot チャット ファイル]フォルダに格納されているため、このフォルダを指定します。Teamsからエージェントを利用される場合は、[Microsoft Teams チャット ファイル]を指定する必要があります。

  3. コネクタの[出力]として、以前の手順で作成したファイルを取り扱う共通の変数を設定します。

  4. 以前作成したプロンプトの[入力]を、コネクタの[出力]で設定した変数に変更します。これで修正は完了ですので、トピックを保存します。

トピックの全体像

作成したトピックの全体像は以下の通りです。

エージェントの動作確認

それでは、Officeファイルに対する前処理を実装したエージェントの動作確認を行います。

テストデータ

テストデータとしてこちらのファイルを使用します。PDFとWordで全く同じ内容で、入社時の対応事項をまとめています。

エージェントの公開

エージェントを公開し、M365 Copilotで開きます。

動作確認

公開したエージェントの動作を確認します。

  1. まず、PDFを添付して動作を確認します。

  2. テストデータの内容を要約した結果が出力されます。

  3. 次に、Wordを添付して動作を確認します。

  4. Wordに関しても、問題なく処理することが出来ました。前処理でPDFに変換しているため、PDFを添付した場合とほとんど同じ内容が出力されています。

おわりに

今回は、Copilot StudioのプロンプトでOfficeファイルを処理できるように実装を行いました。

実際の業務ではOfficeファイルを利用することが多いので、Officeファイルが取り扱えるようになると、プロンプトの活用の幅が広がると思います。

今回の内容が、ぜひ皆さんの参考になれば幸いです。

執筆担当者プロフィール
大嶋 柾也

大嶋 柾也(日本ビジネスシステムズ株式会社)

Data&AI事業本部 ソリューション部所属。最近はCopilot Studioの案件を中心に担当。

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